『アトリの空と真鍮の月』は2009年にWIN用として、TOPCATから発売されました。
『果てしなく青い、この空の下で…。』(2000年)の続編であり、ブランド復帰作でもありました。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
なお、テキストは縦書きにもできます。
あらすじ・・・私は生まれた時から死んでいた――。
掟に縛られた山奥の村で過ごす、切なく優しいミステリー!
6年ぶりに戻ってきた芦日村で、主人公と少女達との一年間が始まろうとしていた。
切なく優しいヒロイン達との想い出を作る主人公だったが、その村は遥か昔から棲み着く、異形の神々を信仰していた。
時が経つにつれて明らかになる、太古の慣習と大人達が隠し通そうとする、血塗られた村の歴史。
主人公とヒロイン達は出会い、そして数奇な運命に導かれていく…。
<感想>
『果てしなく青い、この空の下で…。』は、好きな人は好きなようですが、私は世間の評判程には楽しめませんでした。
そのため、続編である本作にも、あまり興味が持てませんでした。
ただ、TOPCATというブランドは好きでして。
『MESSENGER FROM DARK NIGHT』、『ZAP! THE MAGIC』、『Works Doll』と、初期は個性的な作品が多かったですからね。
それでブランドを応援したいという意味もあり、購入したのが本作でした。
まぁ、本作を発売日に購入するのを躊躇ったのには、もう一つ理由がありまして。
それが、原画が異なるということです。
似た雰囲気の後継作とか、前作とつながっていないとかなら良いのですが、本作は前作の6年後の話であり、前作のキャラも登場します。
それで絵柄が変わってしまうことに、どうしても違和感がありました。
世間の評判をみるに、前作の方が独特で本作の方が一般的らしいのですが、私は前作のキャラデザが凄く好きでしたので、むしろ本作の方に違和感を覚えます。
少数派なのかもしれませんけどね。
キャラデザに違和感があるとはいえ、CGの構図であるとか、塗りの雰囲気であるとか、一枚のCG単体で考えるならば、本作も前作同様に良かったと思います。
ただ、確かに一枚一枚のクオリティは文句ないのですが、終盤のここにCGが欲しいという場面にCGがなかったりするので、グラフィック全体という観点からは、必ずしも大満足とはいかないように感じました。
ストーリーは伝奇になります。
本作発売当時には、ラノベの伝奇作品も増えていたと思いますが、王道的な伝奇作品ではなく少し崩した伝奇作品が既に増えていましたので、本作の持つ90年代的な雰囲気の伝奇作品は、一周回って逆に新鮮に感じられたのではないでしょうか。
その辺はとらえ方次第ですので、単純に古臭いと感じられた方もいたかもしれませんけどね。
田舎を舞台にし、のんびりとした雰囲気で始まる本作は、やがて壮大なストーリーへと発展していきます。
また、各ルートをクリアし、オールクリアすることで、プレイヤーに真相が分かるタイプの作品であり、考察好きとか、好きな人には好きなタイプの作品といえます。
ただ、『果て青』も世間の評判は良いですが、私からするとストーリーがありがちに感じてしまい、楽しみきれませんでした。
本作も同様で、想定したとおりというか、意外性を感じられず、あまり楽しみきれませんでした。
このシリーズは、基本的に伝奇初心者向けの作品なのだと思います。
さて、部分的にみると、良いところもありそうな本作なのですが、他に問題がないわけではありません。
主人公の存在感が薄く、主人公のストーリーという観点からは弱いです。
また、何周も同じような展開を見ることになり、プレイしていて飽きてしまいかねません。
プロット段階というか、作品の根本的な部分がまずかった様に思います。
この内容であれば、いっそのことヒロインたちを主人公にしてストーリーを再構成すれば(そうなるとエロゲ的には百合ゲーとなるのかもしれませんが)、もう少し良くなったのではないでしょうか。
男性主人公に複数の女性ヒロインという一般的なエロゲという枠組みに無理やりに押し込んだせいで、書いている方も読んでいる方も窮屈になってしまったような印象を受けました。
<評価>
本作もプレイしていて普通に楽しめる作品ではあります。
ただ、前作をどう評価するかにもよりますが、前作よりは1ランク下がる作品だと思います。
また、私個人はプレイする必要はなかったかなということもあり、総合では凡作としておきます。
伝奇作品ではあるのですが、この手のジャンルに詳しい人だと、かえって楽しめないように思います。
伝奇って何、和風ファンタジーってあまり馴染みがないかも、でもちょっと興味あるかもって人の方が楽しめるのではないでしょうか。
とはいえ、そういう初心者向けという観点からも、前作の方が優れていますし、前作あっての本作ですから、気になる方は、まず前作をプレイしてみてほしいと思います。
ランク:D(凡作)
DL版
Last Updated on 2024-04-18 by katan

