ミッシングパーツ3 (MISSING PARTS 3 the TANTEI stories)

2003

『ミッシングパーツ3』は、2003年にDC用としてFOGから発売されました。

MISSING PARTSシリーズ完結編。
これまでに張られた伏線が回収され、コマンド選択式のミステリーADVの集大成のような作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
全6話のうち、本作には5話と6話が収録されています。
なお、オリジナルのDC版は各2話の全3作でしたが、PS2版は各3話収録の2作品に纏まっており、PSP版は1本に全て収録しています。

あらすじ・・・
file 5 <迷いの懐中時計>
久しぶりにスピリットに集まり飲んでいた夜、店を出た途端またしても殺人現場に遭遇する恭介達。
現場から逃走する不審な人影を目撃、しかしその姿を見た京香はなぜかひどく動揺し、この事件は自分が調査すると主張する。
戸惑いながらも一旦は任せるが、やはり上手くいかない。
恭介が独自に調査を進めると、無関係と思われていた別の事件に行き当たる。
単なる殺人事件ではないと感じた恭介は、ついに鳴海誠司の残した資料を読み解くことに…

file 6 <追憶のペンダント>
新築されたイベント会場で開催されるチャリティコンサートに出席するため、潤(第1話登場)が帰国するという。
出迎えに行こうとした恭介達の前で、久蔵が襲撃された。
かつて手がけたすべての事件を辿る推理と誠司の残した資料から、敵は強大な組織だと察していた恭介は、潤の兄・浩司や、やはりイベントで再会したアイドル唯(第2話登場)達の協力を得て、組織の正体を探り始める。

<感想>

ADVの主流がノベルゲーになってから何年が経つでしょうか。
これまでに、数多くのノベルゲーが発売されました。
ノベルゲーが増える事により、一般的にはストーリー重視な作品が増えたと言われています。
はたして本当でしょうか?

ゼロ年代のノベルゲーについて少し思う事があります。
途中までの盛り上がりは良いのです。
しかし、最後でこける竜頭蛇尾な作品ばかりじゃないかと。

起承転結の結が駄目とも言え・・・いや、ちょっと違いますね。
その場合だと起承転はしっかりしていることになってしまう。

結に問題があるだけでなく、その前段階にも問題があるように思います。
伏線と呼ばれるものが単に事実を伏せているだけの意味不明な物が多く、本当の意味で伏線足りえていないのです。

結局、どれをとっても悪い意味でラノベ的。
ストーリー重視ではなく、キャラ重視なんですよね。
穴がある部分を妄想で補うと言えば聞こえはいいですけど・・・
したがって、萌えを求める人には良いかもだけど、ハッキリ言ってストーリーに関しては退化すらしていると思います。

物語の結末から逆算してキッチリと構成し、伏線を張る。
エンディングでは全てが決着し、心から満足できる。
そんなADVは本当に少なくなってしまいました。
それをきっちりと実現できたのが、『ミッシングパーツ』シリーズなのではないかと思います。
この作品がなければ、もしかしたら私はADVに見切りをつけていたかもしれません。

エンディングを見ながらきっと思うでしょう。
あぁ、この瞬間のためにここまでやってきたんだなと。
ストーリー重視派の人、ぜひやってみてください。
きっと後悔することはないはずですから。

<ゲームデザイン>

ここから少し細かい部分も見ていきますが、ゲームシステムはコマンド選択式のADVになります。
もっとも、ちょっとした時間の概念が混ざっているため、全部のコマンドを試す事はできません。
加えて、プレイヤーがとった行動によりエンディングが若干異なってきます。

この構造については、人によって捉え方が変わってくるでしょう。
コマンドを全部試して、その反応を楽しむのが好きという、昔ながらのというか、ゲーム機やPC98時代のコマンド選択式のファンには少し不満かもしれないからです。
他方で、必要なコマンドを選べば進められることから、80年代のPCのコマンド選択式が好きな人には、好ましく見えるでしょう。
また、出来の悪い選択式にありがちな総当り的なダルさからも開放されますので、ノベルゲー好きにも向いているシステムといえます。
そのため、おそらく今であれば、多くの人に好意的に受け止められるかと思います。

便宜上、本作はコマンド選択式であるとはいいましたが、本質的なところをみると、少し違和感がありますかね。
これは、ノベル書きがコマンド選択式の形を借りて作ってみたって感じです。
昔からの選択式の作り方とは、雰囲気が異なるんですね。
ここは説明は難しいけど、古くからのADVファンならわかってくれるかと思います。

<グラフィック>

グラフィックも非常に良好です。
すっかりメジャーになった、一枚絵の拡大・縮小による演出方法。
アダルトゲームでは2004年頃から認知度が高まったように思いますが、MPシリーズは2002年のMP2の時点で既に取り入れています。
加えて、もともとの1枚絵のレベルも非常に高いので、本作でも十分に長所と言える出来と言えるでしょう。

<ストーリー>

MP3には、2本のシナリオ、具体的には5話と6話が収録してあります。
MPシリーズは上記の通り1~3まであり、全部で6話から構成されています。
一つ一つは別個の事件ではありますが、黒幕がいて根っこで繋がっています。
6話はこれまでの総決算ですので、故に5話までのプレイが前提になります。
したがって、1から始めないと最後の纏めである6話は、完全に意味不明でしょう。
一応どのシナリオからでも楽しめるということになっていますが、ストーリーの良さが特徴のゲームですので、ストーリーが理解できないと話になりません。
MP3から始めようという人もいないと思いますが、くれぐれも1作目からプレイするようお願いします。
そういう構造なので、評価的には単独っていうのは事実上不可能でしょう。
そのため、個人的なランクも、全作品をクリアしたことを前提としています。
感想としては冒頭に書いた通りで、プレイして良かったと心底思える内容でした。

<キャラ>

キャラは、もちろん女性キャラも良いのですが、むしろ主人公も含めて男性キャラの魅力が大きかったのかなと。
主人公には哲平という親友がいて、ホームズとワトソンみたいな感じで活躍します。
ヒロインとの交流より、むしろこの親友との交流の方が遥かに熱いです。
そのためか、BL好きな人には結構評判が良かったはず。
そういうわけで女性にもオススメですね、これは。

ちなみに、絵柄だけだと勘違いする人もいるかもしれないのですが、最近は恋愛ゲーが多い関係で、ヒロインの存在が欠かせません。
MPシリーズにも、ヒロインらしきキャラは登場しますが、本作はあくまでも推理ものってことで、ヒロインとの個別ENDなんてものはありませんので、ご注意ください。

<総合>

この年になって音声がない等、足りない面もありますが、それが気にならないくらい魅力の詰まった作品です。
総合でも文句なしに名作といえるでしょう。

現時点では、推理ゲーで傑作評価した最後の作品ですので、推理ゲー好きにはぜひともプレイしてもらいたい1本ですね。

ランク:AA-(傑作)

Last Updated on 2025-07-09 by katan

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