ミナミからの手紙

2007

『ミナミからの手紙』は2007年にWIN用の同人ゲームとして、#defineから発売されました。

催眠描写に優れた作品でありつつ、恋愛と凌辱の両方が楽しめる作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
――君は、どっちの‘ミナミ’なんだ?
画面越しの文字だけの出会い。
だからこそ、強く興味をっもったのかもしれない。
主人公、草薙和志は、好奇心といくばくかの下心から
出会い系サイトの世界に足を踏み入れた。
変わらない日々の中で生まれた、ほんの小さな波紋。
それは、俺の生活を大きく変えるきっかけに……なるのかもしれない。

<感想>

出会い系でメル友になったミナミという女性は、自分の知っている2人のミナミのどちらなのかという、ミステリーっぽく始まる作品になります。
また、2人のミナミには、それぞれ恋愛と凌辱のルートがあることから、計4本のストーリーが楽しめました。

最近は恋愛と凌辱のどちらかに分かれる作品が多いです。
しかし私は、こういう選択次第で恋愛にも陵辱にも分かれうる方が、ゲームらしくて好きですね。
しかも、両方が含まれる作品であっても、大半はどちらかに偏っているため、その両方が良いとなると、これは商業作品でも中々見つからないですし。

♯defineは催眠術の描写に定評のある同人サークルで、本作でも片方のミナミの陵辱ルートに登場します。
催眠要素以外にも、露出羞恥要素とかもありますし、陵辱ルートは多彩な属性に対応していて非常に良かったです。
惜しかったのは、低価格作品のボリュームの枠内でいろいろやろうとしたために、若干ボリューム不足になったことでしょうか。
本作のライターの真骨頂は、私は陵辱ルートにあると思います。
しかし、本作ではどちらかと言うと恋愛ルートに比重が置かれていました。
それもあって、ライターの一番の魅力が完全には出し切れないままで終わってしまったように思われます。

本作にはミナミが2人いるのですが、どちらがメル友のミナミなのかは比較的早く決まります。
ここはミステリーとして期待していた人、つまりミナミはどっちなんだろうと悩むのを期待していた人には、もしかしたら少し予想外に感じるかもしれません。
でもその分、本作には別の面白さが用意されているわけでして。
例えば陵辱ルートでは、上記のように片方ではMCルートに入っていきます。
もう片方では自分は相手の正体を知っているにもかかわらず、相手はこっちを知らずに何でもメールで話してくるという状況を活かした、駆け引きを使った陵辱が展開されます。

恋愛ルートもちょっと変わっていて、実はミナミの片方は他人に催眠を用いられ犯られてしまっています。
(これは物語の核ではないから、あまりネタバレにはならないですよね…)
主人公が催眠をかけるのではなく、既に他人にかけられているのを解除していくというのは、エロゲとしては、ありそうでいて意外に珍しいのではないでしょうか。
あまりない切り口から展開されるので、結構新鮮でした。

ただ、このルートは若干冗長気味だったかもしれませんね。
途中まではとても面白かったのですが、ラストに至るにつれ、少し間延びしてしまいましたから。
ここを少し削って陵辱に回しておけば、印象はかなり変わったのではないでしょうか。

かように問題もあるわけですが、基本的にとても面白かったです。
テキストも良くて序盤から楽しかったですし、シナリオとエロを高い次元で両立させたという点は大きいです。
最近はストーリー重視ならエロは薄く、エロ重視ならストーリーが弱い作品が非常に多いです。
ストーリーとエロのバランスの良いゲームとは何なのか、短いながらもその良いお手本とも言える作品かと思いますね。

また、原画はてんまそさんで、人気のある方のようですね。
私もそれなりに気に入った絵ではあるのですが、ファンの方ならもっと楽しめるのではないでしょうか。
特に本作のような陵辱系作品にはあまり関わってないだけに、より一層、貴重になってくると思います。

<評価>

総合では良作とします。

恋愛もあり陵辱もあり、ストーリーもエロも両方良い。
近年では珍しく、恋愛と陵辱双方が含まれた作品の中で、満足の出来る作品でした。
正直なところ、これは名作扱いでも良いかとも思いますし、他に名作扱いしたゲームより単純な楽しめた度合は上だったりします。
総合力では、同人の中では最上位クラスの1本でしょう。
しかし、名作と言い切るには、これという何かが足りないとも言えます。
同人ゲームに手を出す人は、他の部分は弱くとも何か1点でも他には負けない突出した要素があれば、それで良いって人も結構いるかと思います。
本作は、その部分が少し物足りなかったのですよ。
もちろん、最近では珍しく全てに秀でた作品という特徴もありますが、過去のフルプライスの同系統作品と比べると、小規模な分どうしても弱く感じちゃいますしね。
そのため、とても好きな作品ではありましたが、良作止まりなのかなと思います。
フルプライスできっちり作りこんでいれば、文句なしに名作だったんですけどね。
このライターは、基礎力のあるしっかりしたブランドでフルプライスで作れば、名作を作ることもできそうだと思いますので、今後に期待したいものですね。

ランク:B(良作)


ミナミ

Last Updated on 2024-06-12 by katan

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