『CROSS†CHANNEL』は2003年にWIN用として、フライングシャインから発売されました。
田中ロミオ名義としては最初の作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
初期のにはバグがありましたが、今は解決されてるでしょうから特に問題はないでしょう。
あらすじ・・・
夏。学院の長い夏休み。
崩壊しかかった放送部の面々は、個々のレベルにおいても崩れかかっていた。
初夏の合宿から戻ってきて以来、部員たちの結束はバラバラで。
今や、まともに部活に参加しているのはただ一人という有様。
主人公は、放送部の一員。
夏休みで閑散とした学校、ぽつぽつと姿を見せる仲間たちと、主人公はふれあっていく。
屋上に行けば、部長の宮澄見里が、大きな放送アンテナを組み立てている。一人で。
それは夏休みの放送部としての『部活』であったし、完成させてラジオ放送することが課題にもなっていた。
以前は皆で携わっていた。一同が結束していた去年の夏。今や、参加しているのは一名。
そんな二人を冷たく見つめるかつての仲間たち。ともなって巻き起こる様々な対立。そして和解。
バラバラだった部員たちの心は、少しずつ寄り添っていく。
そして夏休み最後の日、放送装置は完成する―装置はメッセージを乗せて、世界へと―
<感想>
ストーリーはいわゆるループ系になります。
クロスチャンネルが発売されたのが2003年でしたね。
この頃、つまりゼロ年代に入った頃からなのですが、流行とまでは言い切れないにしても結構ループ物が多かった時期でした。
そのため、既に同系統の作品が何本もあったことから、またループ物かいって感じで、少し食傷気味でもありましたね。
ループ物が続くってことは、いい加減プレイヤーも最初から良い点も悪い点も解ってるわけでして。
まぁ、例え続いたとしても上手く処理してあれば問題ないのですが、本作はその部分の配慮は足りなかったかと思います。
ループ物の欠点の1つに同じ光景を何度も見ることになるというものがあり、そのままだとどうしても飽きてくるんですよね。
例えば前年の『腐り姫』なんかはループ物でもダイジェストを使用したりして、随所に飽きさせない構造がとられていました。
しかし本作は、漫然とループさせていて何度もそのままループしましたから、上記の欠点がそのまま残ってしまったわけです。
事前に分かりきっている欠点くらい対処しろよと思うわけで、それで物足りなく感じたんですよね。
また、この業界の悪いところだと思うのですが、それらしき難解な語句を並べておけば、後は一部のファンがありがたがって評価してくれるって傾向があります。
最近はどうなのか分からないですが、少なくともゼロ年代前半のユーザーには、そういう人が多かったのです。
本作もいろいろ設定やら語句やらが出てきますが、どうにも説明不足な点が多いです。
これを伏線が凄いとする意見もありますが、こんなのは伏線とは言わないです。
説明不足といい構造の荒さといい、どうにも中途半端なんですよね。
それはストーリー自体にしてもそうです。
SFというのは、どうしても架空の積み重ねでして、それ故に嫌いな人は嫌いなわけですが、架空とはいえ何でもありなわけではありません。
仮にこういう設定があったとしたらという前提の下、そこに論理的科学的に積み重ねていって、嘘とはいえもっともらしく感じさせてくれるのがSFです。
昔のガンダムが評価されたのだって、一定の前提を元に積み重ねていったからこそ、そこにリアリティを感じられたからですし。
本作のような設定の出し惜しみは、その部分で評価できません。
ふと思い出したことですが、種死でアカツキが敵の主砲をドラグーンのシールドで防いだ場面がありましたが、あれは物語的には盛り上がったけれど理屈的にはおかしかったわけでして。
それと似たようなチグハグさを、本作にも感じてしまうのです。
本作は人の狂気の面も扱っており、心情面に注目する考え方もあるでしょう。
しかし狂気にしても、アダルトゲームに稀にある本当に狂ったゲームに比べると、どうにも今ひとつヌルいんですよね。
また、何かあるとすぐに設定上の特殊性に逃げ込んでしまう感じがして、心情面の描写でも今ひとつに感じました。
さらに、これまた近年の悪い傾向だと思うのですが、メインテーマ以外の部分はいい加減でも良いって風潮があります。
ループとかの大仕掛けにばかり目がいき、学園の設定のいい加減さとかがスルーされてるんですよね。
うん、ここなんだよな~
上に書いた不満点は、ぶっちゃけ些細などうでも構わない部分なのですが、この土台の弱さが後述するようにライターの最大の欠点であり、それ故に楽しみきれないのです。
テキストもそれなりには楽しめたけれど、シモネタに頼る傾向はあまり褒めたものではないですし。
まぁ、ここら辺は好みですけどね。
総じて、どこを取っても中途半端なイメージが拭えないんですよね。
水準はキープしてるけど、それ程でもないって感じで。
こういう大掛かりな作品って、免疫がないと凄い作品に思いがちですが、慣れてる人ほど楽しめないよなって思ったんですよね。
そういう意味では、本作は初心者向けの作品なのでしょう。
他方で、グラフィックに関して古いという意見も聞きますが、私にはその意味があまり分かりません。
この手の絵柄が流行った時期ってなかったと思うのですが。。。
個人的には、かなり好きな絵柄ですね。
水彩風のタッチも好きだし、少女漫画チックなキャラも好きですし。
とはいえ、どっちの要素も苦手な人はいるみたいなので、ここは好みの差が大きいのかもしれません。
ところで、私はグラフィックに惹かれたクチなので、この作品も発売日に即買いでした。
だから、プレイ時にはライターが誰かまで分からなかったんですよね。
田中ロミオってのは分かっていたけれど、山田一=田中ロミオってのはしばらく経って分かった事ですから。
プレイ時は知らなかったものですから、いろいろ勿体無いけど面白い新人が出てきたなって感覚でした。
で、後に同一人物だと知ったのですが、そうなるとまた違うことも考えるわけでして。
結果的に私は、『加奈』以降の作品を4作続けてプレイしているわけです。
『加奈』の頃は文章の上手い新人が出てきたなって期待したのですが、『星空ぷらねっと』で日常描写の下手さが露呈しました。
『家族計画』はその弱点をパロディーとシモネタでカバーしてきました。
そのおかげで作品としては楽しめたのですが、ライターに対しては、逃げたなって印象が強く、問題点は残ったままと感じたのです。
そこにきての本作ですからね。
本作ではその逃げの姿勢が更に露骨になってきて、作品は楽しめてもライターに対してはもう駄目だなって印象になりました。
作品はイマイチでもライターに可能性を感じた『加奈』の頃と、すっかり反対の評価になっちゃったんですよね。
また、『加奈』の頃からそうだったのですが、メインそのものではないけれどメインテーマの土台をなす設定部分が、どうにもこのライターはいい加減なんですよね。
現実的な設定でリアリティを出すはずの場面がことごとく駄目な感じでね。
そのため、本作自体は普通に楽しめはしたのですが、ライターに対する興味は本作で完全に切れてしまいました。
※追記
と言いつつ、その後も何本かやったりアニメも見たりしたのですが、私、このライターのノリ自体は結構好きなんですよね。
だから切りきれない。
でも、相変わらず根本的な設定が駄目すぎるので、テキストが自分に合っても評価が厳しくなってしまうのです。
もうずっとこの調子なのだから、その程度ってことなのでしょうね・・・
<評価>
まぁ、期待の反動で辛口にもなりましたが、作品自体はそれなりに楽しめました。
総合でも佳作といえるでしょう。
リアリティを求める人やシモネタとかが嫌いな人には合わないと思いますが、そうでなければ楽しめるのではないでしょうか。
ループ物好きならば、やってみて損はないかとは思いますが、如何せん初心者向けの作品なので、気になる方は、早いうちにプレイした方が良いと思います。
ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2025-06-15 by katan



コメント