『吉原彼岸花』は2015年にWIN用として、MariaCrownから発売されました。
デビュー作ながらに、非常に良質な乙女ゲーでしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・時は江戸。
絢爛豪華な町の裏側で、欲望が渦巻く新吉原。
老舗遊郭【桜華屋】で、最高位の花魁を務める千早。
祖国に暮らす両親の元へ帰るため、朝な夕な、誰とも知らぬ男の伽の相手をする。
普段と変わらない日常。
吉原という小さな世界だが、千早にとっては自分を証明できる大切な場所。
楼主の時雨、禿の柚、共に働く心強い遊女たち…
かけがえのない存在に囲まれ、苦界と言われども花魁の仕事に誇りを持っていた。
本当の愛を知るまでは――。
抗えない運命にのまれていく、一人の遊女の激動の物語。
<感想>
本作は18禁の、いわゆる乙女ゲームになります。
吉原だよ、花魁だよと言われると、それだけでも興奮してきそうですが、吉原を舞台にした作品・花魁の登場する作品というのも、これまでにも何本か経験はしています。
もっとも、今までにプレイした作品は男性向けの作品ばかりであり、女性向けの乙女ゲーという、反対の視点から描けば一体どうなるのだろうかと思い、それで注目していた作品でした。
そのため、いつものようにストーリーの評判を聞いてとかではなく、設定の段階で気になっていたということから、逆に盲点だったというか、プレイして、あぁ~そういえばと思ったことがありまして。
というのも私の場合、直球な男性向け恋愛ゲーへの興味も減っているくらいですから、直球な女性向け乙女ゲーへの興味もないわけで、王道恋愛乙女ゲーとかは余程評判が良い物しかプレイしません。
女性向け作品をプレイするのは、主に男性向け作品にはないような要素、ちょっとひねったような要素などに魅力を感じた場合であり、王道な直球路線はあまり考慮の対象になっていないのです。
そして幸運にも、近年は少し風変りなPC乙女ゲーが多かったものですから、私の楽しめる作品も多かったのでしょう。
でもこれ、私自身は乙女ゲーライフを満喫できたものの、逆から言えば王道の直球な恋愛ものを求めている人には、最近あまり楽しめる作品がなかったのではないかとも予想されます。
そんな中で本作が出てきて、そして実際にプレイして思ったことは、何か久しぶりに直球の乙女ゲーらしい乙女ゲーで、なおかつキレの良い作品をやったよなということでした。
そもそも、本作には5人の攻略対象がいるのですが、メインの二人には攻略制限がかけられており、最初は他の三人を攻略することになります。
この三人に関しては、実に直球な恋愛ものでして。
もちろん、テンプレな悪い意味での王道ではなく、舞台である吉原に花魁という、本作における特殊性もきちんと盛り込んであり、その上で皆に好まれる要素を積み重ねているわけで、良い意味での王道路線として楽しめます。
しかも、ルートごとに話もきちんと書き分けられてあるので、女性向け作品で度々批判される金太郎飴的展開もなく、幅広く充実した内容になっています。
だから何とも久しぶりに、キレのある直球をズバンと投げ込まれたようで、もし自分が王道の乙女ゲーを求めていたならば、これは大いに歓喜しただろうなと思うのです。
さて、3人のルートに関しては良質な恋愛ものとなるわけですが、攻略制限のかかったメインの二人は、端的に言えば悲恋ものになります。
しかも、その悲恋にならざるをえない事情にも納得がいく、つまりそうだよな~これしかないよな~と思わされるので、読んでいて重くのしかかってくるし、インパクトも大きくなっていくわけですね。
また本作は、当初の予想通りにグラフィックが綺麗でした。
立ち絵の動き自体は水準程度かとも思いますが、とにかくイベントCGが抜群に良かったですね。
塗りも、本作ならではの色合いで十分味が出ていて、非常に良かったです。
個人的にはCGだけでも満足ですよ。
それと、男性向けエロゲの場合だと、今はほとんど炉利か熟女しかいないですからね。
なお、炉利ってのは設定上の年齢ではなく外見上の話です。
その間の、妙齢の女性の裸体というのは、意外と希少なんですよね。
本作は女性向けではあるものの、主人公である千早の裸もしっかり描かれてありますし、エロも十分雰囲気が出ていますし、男性向けエロゲよりも興奮できた感じです。
あれだね、こういうキャラのエロ分は、今は男性向けより女性向け探した方が早いね、ホント。
またOPも好きだったし、映像面は満足でしたね。
<評価>
非常に良質なノベルゲーでしたね。
満足でした。
総合でも名作といえるでしょう。
これで主人公に声があれば、もっと点が跳ねていたのですが、ノベルゲーでは主人公に声が無いことも多いので、ここは仕方ないですかね。
どうも女性向けのブランドは、一作当てたら終わりみたいなところも多く、次の作品が出ないことも多いように思います。
でも、デビュー作でこれだけの作品を作れるのだから、もっと他にも作ってもらいたいものですね。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-10-19 by katan