デュアルターゲット ~第4のユニット3~

1989

『デュアルターゲット ~第4のユニット3~』は1989年にMSX2用として、データウエストから発売されました。

サイキックディテクティブシリーズと並ぶ、データウエストの看板作品の第3作目になります。

<概要>

データウエストには「第4のユニット」というシリーズがあり、87年の1作目から92年までの間に合計7作が発売されました。
今でこそFFなんかは16作品も出ていたりしますが、92年の時点では5作品ですしね。
ナンバリングタイトルの多さとしては当時は最多だったかもしれません。

ここで簡単な設定を説明いたしますと、主人公のブロンウィンは、BS(バイオニックソルジャー)という生体兵器として改造された強化人間になります。
そのBS同士が敵味方に分かれて戦いつつ、背後にあるBSの暗部に迫っていくというのが、シリーズ全体の大まかなストーリーとなります。
そして、この3作目では敵に奪われたサイコパワーブースターと、越中博士の奪還がゲームの目的となっていました。

<感想>

3作目たるこの『デュアルターゲット』には幾つか特徴がありまして、1つはこの作品から内容がハードな路線になっていくことです。

それでいて主人公のブロンウィンをはじめ、キャラの多くは美少女だったりしますからね。
可愛い美少女たちと、そこからは相反するかのようなハードな展開。
萌えて燃えられるというのは、今のアダルトゲームでも非常に高く評価されやすい傾向にありますよね。
だからたぶん、そういう路線が好きな人も多いかと思います。
そしてそういう路線の先駆けとなると、おそらくこの第4のユニットシリーズだったのではないでしょうか。

<グラフィック>

美少女たちが出るというのは、シリーズ的には1作目からなのでしょうが、ここはどうしても主観も絡んでくるかもしれません。

というのも、このシリーズはかなり絵柄が変遷しているのです。
それに加えてPCのハード面での進化もありますからね。
私は1作目の頃なんかは、あまり可愛いとは思えなかったわけでして。
この3作目あたりで、ようやく可愛いなと言えるようになったように思います。

<ゲームデザイン>

デュアルターゲットには、もう1つ大きな特徴があり、それがゲームデザインになります。

本作は、基本的にはコマンド選択式のADVなのですが、たとえば「話す」というコマンドにしても、どういう心境で話すのか、それを喜怒哀楽の4つの感情から選べるのです。
もちろん選んだ感情によりテキストも変化しますから、今までのコマンド選択式以上に自然な会話が出来たのです。

このシステムは、その後の作品では『ノスタルジア1907』、『東京魔人學園剣風帖』、『ガンパレードマーチ』なんかで使用されていますね。
作るのに手間がかかりそうだし、だからか中々普及しないシステムですが、個人的には良いアイデアだと思います。

また、単にテキストの表現の幅が広がっただけでなく、どういう感情で会話をするかによってもEDに影響しますし、ゲーム性の面で総当りを防ぐという効果も有していました。

BSの戦いということで敵に出会えばRPG風の戦闘シーンにもなりましたし、全般的にゲームとしても楽しめたのが好印象でしたね。

<評価>

シリーズの中でどれが良いかは、個人の好みでも分かれるのでしょう。
本作だってボリューム不足という欠点はありますしね。
でも、本作はストーリー・システムの両面で分岐点となった作品でもあり、個人的にはこの3作目が特に印象深かったように思います。
ハード路線の美少女モノの先駆けとしての新鮮さやシステム的な特徴から、欠点を差し引いても十分に名作足りうる作品だったと思いますね。

ランク:A(名作)

Last Updated on 2025-05-17 by katan

タイトルとURLをコピーしました