夜想夢

2000

『夜想夢』は2000年にWIN用として、Melodyから発売されました。

同ブランドの代表作である『暗闇』と似たコンセプトの作品ですが、今振り返ってみると、結果論にはなりますが、この作品からブランドの低迷につながったとなるのでしょうか。

<ゲームデザイン>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

学校帰りの夜の公園から始まる本作。
ゲーム開始から、立て続けにいくつかの選択を迫られます。
その選択により、7つあるシナリオの中から、1つが選ばれます。

同ブランドの過去作を知っている人であれば、『暗闇』と同じようなコンセプトないし構造の作品といえば、すぐに分かるように思います。
他方、『暗闇』を知らない人の場合、共通ルートがなくて、最初の選択肢からすぐに個別ルートに入るノベルを想像すれば、大体合っているように思います。

また、各シナリオに入った後も選択肢が多く、分岐も多くあります。
サウンドノベルに代表されるようなゲームブック型のノベルゲーと同系統といえ、決して斬新とかではないのですが、ただ、2000年のアダルトゲームのノベルゲーが今と同じように、あまり選択肢で細かく分岐しない路線が主になっていたので、この時期のアダルトゲーム市場の中では、相対的に珍しいタイプの構造だといえるでしょう。

『暗闇』に代表される同ブランドのお得意の路線ですから、良く言えば安心してプレイできるといえるでしょうし、この路線の作品をプレイしたいというのであれば、その目的を達することもできるのかもしれません。
ただ、Melodyというブランドは、そもそも、ぱんだはうす内のブランドであるところ、ぱんだはうすに統一する前の各ブランドで出していた頃は、作品の内容に応じて、結構ゲームデザインもかえており、それがブランドや作品の魅力にもなっていました。
そういう新しいことに挑戦する姿勢が好きだったファンとしては、従来のゲームデザインを踏襲するだけで進化のない本作は、少し物足りなく感じてしまいます。

<感想>

上記のとおり、本作には、7つのシナリオがあります。
広い意味では『暗闇』系の作品になるのでしょうが、同じコンセプトとは言えないのでしょう。
同シリーズのファンは、おそらく、シチュエーションを共有しつつも、異なった物語が展開されるところに魅力を感じていたと思います。
しかし、本作には、そういうところがなく、単に夜の公園から物語が始まったというだけで、その後は複数のオムニバスのストーリーがあるだけという感じでして。
『暗闇』が好きな人であればあるほど、がっかりしてしまったのではないでしょうか。

あらすじだけを見ると、本作が『暗闇』の後継っぽく見えますが、シチュエーションマルチストーリーADVとしての後継作としては、同じ年に発売された『Rendezvous ~ランデブー~』が相応しいし、シチュエーションマルチストーリーADVって何それという人には、『暗闇』か『ランデブー』をプレイしてみてもらいたいものです。

もっとも、オムニバスだから悪いと一概に言えるわけではなく、様々な方向性のストーリーが入っていたら、それはそれで独自の魅力を生み出せていたかもしれません。
もっとも、本作の場合、ストーリーの幅が少なく、バリエーションが乏しかったわけで、そうなると同時期のストーリー重視の作品らの前には霞んでしまいますので、その辺が問題だったといえるのでしょう。

短めのオムニバスストーリーは時代の流れにも合ってなかったですし、この手の作品にありがちな、シナリオ間の質のばらつきという問題もありました。
そのため、『暗闇』シリーズのファンの人からも、いわゆるシナリオ重視というような、濃厚な長編ストーリーを期待する人からも、どちらからもあまり支持されない内容になってしまったのでしょう。

<グラフィック>

本作には、原画が6人いました。
原画が多いということは、普通は望ましくありませんが、この作品は実質オムニバスですから、原画が多いことは特に違和感もないです。

最近のエロゲは、キャラのアップばかりだったり、コスパ削減なのか、ただ立ち絵を機械的に並べている作品もあり、私はそういう作品が良いとは思えません。
やっぱりきちんと情景が浮かんでくるCGでないと駄目だと思うし、そういう意味では、本作のCGの構図とかは、好感が持てるものでした。

<評価>

総合では凡作としておきます。

ネットが普及する前のシナリオライターは、どうしても情報が得にくい状況になっています。
私の古い作品の記事を読んで、実際にプレイした方とかは、そのことはよく分かるかと思います。
本作のシナリオライター及びゲームデザインは、ましらあさみさんであり、ゼロ年代以降のネット普及後にエロゲを始めた人だと、聞いたことがないという人も多いのではないでしょうか。

しかし、93年の『NOVA』、96年の『暗闇』、97年の『コレクター』、99年の『ラブレッスン』と、当時のコアなゲーマーならきっと知っているような名作・良作を、何本も立て続けに作っている方なんですよね。
『コレクター』『ラブレッスン』の後が本作ですから、期待していたファンほどガッカリしたかもしれません。

まぁ、『NOVA』はPC98時代の作品ですし、原画のうめつゆきのりさんのインパクトの方が強いので、若干毛色が異なってしまいますけどね。
本作自体はあえてプレイする必要もないと思いますが、先ほどから何度も挙げている『暗闇』と、和姦と輪姦のバイブルと呼ばれた『コレクター』、その後継作である『ラブレッスン』について、同ブランドつながりでは『ランデブー』も含めて、今一度焦点を当ててみたいなと思い、この作品を紹介することにしました。

ランク:D(凡作)


Last Updated on 2025-01-29 by katan

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