闇色の童話

2002

『闇色の童話』は2002年にWIN用として、Candleから発売されました。
おそらく、三峰奈緒さんの最後の作品になるのではないでしょうか。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・真夏の夜の夢、闇に潜む迷路。
夏休み、大学のサークル仲間で合宿旅行に出かけた主人公達。
目的地はサークル仲間の親戚が経営しているというリゾートペンションだった。
長いこと電車やバスに揺られ、やっと着いたバスの終点では来るはずの迎えがやってこない。
仕方なくペンションに向かって歩き始めた主人公達だったが・・・。
一見穏やかなその笑顔の下。
どんな感情が潜んでいるか、あなたは知ることができるだろうか。
のどかで平和に見えるペンションにあって。
忍び寄るものの正体に、あなたは気づくことができるだろうか。
やがて漆黒の闇が空を覆うと、森がざわめき始める。
狂気が静かに淀み、ざわついた心は逃げ場を求め、漂う。
「おまえ・・・もう動かないんだね・・・」
陰と陽。表と裏が、重なり、混じり合う瞬間。
一人…また一人と、囚われていく。闇色に。
恵理「あぁ・・・こ、こんな事が・・・お兄ちゃん・・・・・・」
静かに、だが確実に紐解かれる闇色の童話。
運命と言う名の舞台から、もう降りることはできない。

<三峰奈緒>

キャンドルというブランド名を言われても、おそらくほとんどの人が知らないのではないでしょうか。
ただ、PC98時代のフォアナインというブランドであれば、ストーリー重視の作品が好きな人であれば、まず知っているはずです。
フォアナインの代表作には、GAOGAOシリーズがあり、それらのシナリオを担当していたのが、三峰奈緒さんでした。

ところで、PC98時代は、まだネットがなかったことや、ゼロ年代前半の個人のHP文化が廃れたことで、98時代の優れたシナリオライターの名前って全然広まらないわけでして。
そう言うと、蛭田さんがいるじゃん、剣乃さんがいるじゃんって言い出す人もいるかもしれません。
しかし、待ってください、その人たちは、そもそも優れたゲームデザインを作り出して有名になった人たちです。
純粋にストーリーとテキストだけで勝負してきた人ではありません。
ストーリーとテキストだけに特化した人で、98時代の筆頭候補となると、おそらく三峰奈緒さんあたりの名前が出てくるのでしょう。
GAOGAOシリーズなんて、シンプルなコマンド選択式でしたが、最後までプレイした人からは絶賛の声しか聞こえませんからね。
フォアナインは、WIN時代に入り、キャンドルというブランドから、いくつかの作品を発売しています(結局、GAOGAOシリーズのリメイクが1作だけで終わったのは、個人的には、とても残念でした。)。
そのキャンドルの最後の作品であり、三峰奈緒さんの最後の作品が、本作になります。

<大橋薫>

そんな本作。
ほとんど話題にならなかったと思いますし、少なくともあの時代には注目されにくくなっていたといえるでしょう。
本作の原画は、大橋薫さんになります。
多数の作品を描いている漫画家です。

ちなみに、一卵性双生児の妹に楠桂さんがいるようで、楠桂さんの漫画は、友人が凄く好きだったなと、ふと懐かしくなりました。
話がそれかけましたが、大橋さんは、既に実績のある漫画家さんなのですが、何というか一昔前の少女漫画の絵だなという感じなんですよね。


これはこれで、そういう作風なわけですし、私はわりと好きなのですが、ゼロ年代前半のエロゲなんて、萌え絵と、みつみクローン全盛時代ですよね。
萌え絵(みつみクローン)以外は見向きもされないような時代に、この少女漫画風の絵では、当時のユーザーには注目してもらえないでしょう。
個人的には、原画の絵柄に対して、あまり塗りがマッチしていないように思えて、そこにちょっと違和感を覚えてしまいました。

<感想>

本作は他にも、注目されなさそうな要因があります。
本作の発売されたゼロ年代前半は、OPムービーや音声が付くことで、それが豪華として評価されていた時代でした。
音声とかが必須になっていった時代なんですよね。
その中にあって、本作には、音声もOPムービーもありません。
これでは、どうしても地味に見えてしまいます。

まぁ、個人的には、三峰奈緒さんの名前から始まるOP画像が、サウンドと相まって非常に良い雰囲気を醸し出しており、ぞくぞくってきて、非常に好きなんですけどね。

また、ストーリージャンルも、サスペンスホラーというか、98時代でいうところの、いわゆる館モノなんですね。
館モノは、98時代後期には大人気ジャンルでしたが、恋愛萌えゲー全盛のこの時期にあっては、このジャンルというだけで古臭く感じてしまう人もいたかもしれません。
少なくとも流行が過ぎたジャンルであり、注目度は低くなってしまいます。

こうしてみると、本作がマイナーなのは、必然なのかもしれません。
もっとも、マイナーであることと、作品の面白さは全く関係なく、流行路線から外れていても面白い作品なんて、いくらでもあります。
では、本作の出来はどうなのかというと、私自身は十分に楽しめたのですが、展開が唐突なところもあり、過去の館モノの名作と比べると、やはり少し劣ってしまうように思います。
ましてや三峰さんの場合、『夢幻夜想曲』という、非常に完成度の高い館モノの傑作を既に作っていますからね。
本作をプレイするような人なんて、ほとんどの人が『夢幻夜想曲』もプレイ済みでしょ。
そうなると、どうしても比較してしまうでしょうし、本作に対する評価も辛口になりがちなのだと思います。

<評価>

総合的に判断すると、おそらく佳作相当の作品なのかなと思います。
ただ、三峰さんの作品は、最後の画面が、とても印象的な作品が多いのです。
本作も、なんかいろいろ不満はあったはずなのに、また、オチ自体も特に優れているわけでもないのだけれど、それでも最後に表示されるCGを見て、プレイして良かったと心底思えてしまうような、そういう魅力があるのです。
その点を考慮し、ギリギリ良作としたいと思います。


ランク:B-(良作)

Last Updated on 2025-04-26 by katan

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