VISION

1991

『VISION』は1991年にPC98用として、M.I.Nから発売されました。

ソニアのVIPERシリーズなどで有名な会社の、同人時代の作品になります。

<総論>

ゼロ年代以降のエロゲユーザーだと、もう知らない人も多いのかもしれませんが、PC98時代のユーザーなら誰でも知っているブランドの一つに、ソニアというブランドがありました。
会社としては「サイレンス」というところになり、一般ゲーはサイレンス名義で、アダルトゲームはソニア名義などで作品を出していたようですね。

代表の中村謙一郎さんが元アニメーターということもあり、発売される作品はどれもアニメーションに非常に強く、PC98時代のエロゲのアニメーションといえばソニアと、まっ先に出てくるほどでした。

今回扱うM.I.Nというのは、そのサイレンスの母体となる同人サークルになります。
具体的には、中村謙一郎さんはサイレンス設立前に、M.I.Nという同人サークルから作品を発売しており、そこで得た資金などを元にして、サイレンスへとつながっていくわけですね。
そして本作は、そのM.I.N時代の作品になります。

<感想>

ストーリーは、とてもシンプルです。
主人公が商店街に行くと、雨に降られてしまいます。
あわてて家に帰ってみると、自宅の前で雨宿りをしている女の子がいます。
その子は同級生のアリサという少女で、濡れた服を乾かすために主人公の家にあがることに。
その後は、会話をしているうちに両想いだったということで、結ばれるという流れになります。

まぁストーリー自体は、今更取り上げる必要はないのでしょうが、自分が本当に書きたかったのは次の『VISION2』でして。
『VISION2』は絶対書かなければと思ったものの、『VISION2』は本作の続きの話なので、どうしても本作から取り上げなければ駄目だろうってことで、本作を先に取り扱うことにしたという次第です。

本作の特徴としては、まずはグラフィックですかね。
商業化後のソニア作品はアニメーションがうりになりますが、同人時代の作品にはアニメーションのないものもあり、本作にもアニメーションはありません。
ただ、CGの使い方などは、さすがにアニメーターが作ったという雰囲気が伝わってきますし、同人といえど素人とは違うのだということは分かります。

キャラデザも、とても可愛かったですね。
91年のこの時期でこのキャラの可愛さは、商業通じてもトップクラスと言えるように思います。
ただ、たぶん同時期のアダルトゲームの原画とは、ちょっと雰囲気が異なるのかなと。
どちらかというとアニメとかのキャラの印象が、より強く出ているようにも思います。
この辺も、エロゲ畑と異なる分野からの参入ならでは・・・といったところでしょうか。

<ゲームデザイン>

本作はコマンド選択式ADVになります。

後のソニアの作品とかは、ほとんどアニメになっていきますし、同人であっても『VISION2』なんかは、読ませることに重点がおかれていて、かなりゲーム性は抑えられています。
それらと比べると、本作はゲーム性が高くなっています。

まぁ、だからと言って、それがプラスになるとは限らないのですけどね。
というのも、ボリュームのわりにゲームオーバーが異常に多いのです。
基本は普通のコマンドが表示されるのですが、場面により、そのコマンドの中に選択肢も混ざります。
今思うと、通常のコマンドと選択肢を別々に表示すれば、おそらく混乱はなかったのでしょう。
しかし一緒に表示したものだから、普通のコマンドを選ぶ感覚で何気なしに選んでしまうわけでして。
そして間違った選択肢を選ぶと、一発でゲームオーバーになってしまうのです。
ゲーム性がないよりあった方が良いのは理想論としてありますが、ここに関しては後の作品のように、ゲーム部分は抑え目にした方が良いように思います。

<評価>

本作だけでいうのならば、甘くみても佳作程度なのかなと思います。
もっとも、次の『VISION2』があるからこそ、この作品も外せないという感じですね。

とりあえず今回は、昔ソニアというブランドがあり、その同人時代にM.I.Nというサークルがあったこと、それとこの『VISION』シリーズですね。
それらがあったことだけでも覚えておいてもらいたいと思います。

ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2024-08-20 by katan

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