バリアント ハート ザ グレイト ウォー

2014

『バリアント ハート ザ グレイト ウォー』は、2014年にPC用としてユービーアイソフトから発売されました。

第一次世界大戦を舞台にした4人と一匹の物語であり、ストーリーとグラフィックの優れた作品でした。

<概要>

商品紹介・・・
「バリアント ハート ザ グレイト ウォー」はスリルとユーモアと感動に満ちた物語を体験するコミック風パズルアドベンチャーです。
第一次世界大戦の塹壕地帯で偶然に出会ったエミール、カール、フレディ、アンナと、相棒の犬ウォルトを操り、パズルを解きながら敵地を突破します!

ゲームジャンル等については詳しくは後述します。
オリジナルは同年発売の『Valiant Hearts: The Great War』で、本作は日本語移植版になります。

<ストーリー>

本作は第一次世界大戦に翻弄される4人と1匹の織りなす、ヒューマンドラマになります。
第二次世界大戦に比べると第一次世界大戦というのは、日本人にとっては縁の薄い存在でもあり、詳しく知っている人はあまり多くないように思います。
本作では第一次世界大戦時の状況が詳しく説明されており、教育ソフトとしての側面も有しています。
ADVと教育ソフトは相性が良いと思うし、90年代半ばのWIN95登場時には、教育関係のマルチメディアソフトも結構出ていたのですが、教育のオマケにちょっとしたゲーム性だったりで、いまいちゲーマーの中には浸透しなかったように思います。
それだけに、今後もっと発展しうる可能性のある路線だと思っていたし、そのことを別の記事でも触れたりしていたんですけどね。
中々自分の望んでいる作品が出なかったのだけれど、優れたストーリーを有するゲームの中に教育的観点を取り入れた本作が出ることで、ようやく望んでいた物が出てきたってところでしょうか。

まぁ第一次世界大戦には詳しくないので、細かい点は分かりませんが、本作は詳細な点までこだわっているようなので、ゲームを通じて第一次世界大戦を知る良い機会になると思います。
こういう作品はもっともっと増えて欲しいものですね。

さて、きちんと調べて設定の土台がしっかりしているからこそ、こちらにも強いメッセージが伝わってくるのであり、戦争に翻弄される4人と1匹の物語のリアリティも増すわけでして。
最後は必ずしもハッピーとは言えず、もの悲しいラストではあるけれど、それも仕方ないなと納得してしまいます。
4人の主人公らは皆魅力的だったし、犬のウォルトは可愛かったですしね。
まぁ私が購入を決定したのは、デモで主人公に従い、一緒に戦下を駆け巡る健気なウォルトの姿を見たからでもあり、犬好きという観点からも満足できる作品でしょう。

なお、キャラたちの会話はあえてぼかしてあり、テキストではなく絵からプレイヤーが感じ取る作品なので、ある面では世界観重視の雰囲気ゲーとも近いです。
だから他人がどうこう言っていたというのではなく、まずはプレイして自分で感じ取って欲しいですし、プレイをきっかけに自分でいろいろ調べた方が思い入れも深まる作品なので、あまりここで語るのも野暮って気もします。

ということで、これ以上は深入りしませんが、まぁストーリーに関してはほぼ全ての人が満足できると思いますね。
優れた戦争ドラマを見たような気分になりましたし、個人的にも非常に良かったと思います。

<グラフィック>

本作の大きな長所・特徴というのは、一つは上記のストーリーであり、もう一つはグラフィックになるのでしょう。

本作はコミック風のグラフィックになっており、他所と異なる方向性というのは、本作の持つ個性として、個人的にはそれだけでも好印象です。

また、そのグラフィックが良く動いていました。
本作は資料やキャラの日記、ナレーションにはテキストが使用されますが、キャラの言動には文字が使用されていません。
全部グラフィックで表現しているんですよね。
国産のノベルゲーをやっていると、ADVはテキストに絵と音が融合し~なんて理想論は良く言われますが、実際に絵と音と文章を上手く融合させたADVなんてのは、ほとんどないのですよ。
本作はテキストが相応しい場面ではテキストに頼り、絵や音で表現できる部分は絵や音に頼っているわけでして。
これが絵と音と文章の融合した作品ってやつなんだよな~と、あらためて思ったものです。

<感想>

その他の部分の感想として、ゲームデザインについても言及せざるを得ないのでしょう。
日本語版の公式の分類とか、大手サイトの分類だと、パズルアドベンチャーとなっているようです。
でも私が普段利用している海外のサイトだと、本作はアクション系に分類されているわけでして。
それでアクション系をプレイしない私は、最初本作の存在を見過ごしていたんですよね。
ただ、実際にプレイした感じとしては、パズルアドベンチャーという表現には納得がいきません。
アクション系に分類した海外のサイトの方が、どちらかと言うと私にはしっくりきますね。

まず前提として、本作は基本的には横スクロールタイプのADVなのです。
キャラを動かして、アイテムを取得したり利用したりしながら先に進め、物語を楽しむことになります。
だから基本的にはADVとなるのでしょう。

ADVとしては、例えばエミールを操っていて、人では入れない場所があった場合には犬のウォルトを利用します。
それと、本作は主人公が4人いるのですが、この場面ではこのキャラを操るという構造になっていますので、複数のキャラの視点から成るマルチサイトではあるものの、任意にキャラを交代させるザッピングゲーではありません。
もっとも、一部のマップでは二人のキャラが一緒に行動し、途中で二手に分かれた後に両者を交互に操ることで進行させる場面もあります。
したがって、基本的にはマルチサイトのゲームなんだけれど、一部でザッピング要素が混じったゲームと言えるのでしょう。
ちなみに、操るキャラというのは、ウォルトの従うキャラであり、ウォルトを移動させることでザッピングが成立します。

この主人公キャラ二人のザッピングに犬のウォルトを絡めた部分は、本作の特徴にもなりえた可能性がありますし、ADV的にも面白くなりえた可能性を秘めていたのでしょう。
したがって、このザッピング部分を最後まで十分に活用していれば、ゲーム的にも面白くなったんでしょうけどね。
・・・途中で力尽きちゃったのかな?
ADVとしての面白さを追求したのは序盤に限られてしまい、終盤は難易度の低いアクションに頼ってばかりになってしまいました。

まぁ、私でもクリアできたので、アクション系が苦手な人でもクリアできます。
だから幅広い層がプレイできるのも確かなのですが、逆に言えばアクション好きでアクション系をよくプレイする人だと、本作の難易度では絶対に物足りないでしょう。
そのため、アクションADVとしてアクション要素を前面に推すことは、ちょっと無理があるのかもしれません。

でも、難易度が低いにしても、一応アクション要素は結構あるんですよね。
他方で、パズルらしいパズルって特にないわけでして。
アイテムを利用したり物を動かしたりと、難易度は低くても謎解き要素はあります。
しかし、その謎解き要素は普通にADVに含まれる範囲の内容であり、例えばMYST系ADVであるとか、HOG(アイテム探し)系ADVに含まれているパズルのような、まともなパズルって本作にはないのですよ。

もし仮に、パズル好きでパズルを求めたユーザーがいたとしたら、本作には求めた物が何もないということにもなりかねないのであり、ちょっと看板に偽りありだよなと思ってしまいます。
これだったら普通に横スクロールADVという表現だけで良いと思うのですけどね。

それと、今の私はPCが主なので迷わずPC版を購入しましたが、もしコンソールの使用頻度も同等で、どちらを購入するか悩むのであれば、コンソール版の方が良いかもしれません。
一部のアクションでキーボードでは操作しにくく、結局ゲームパッドを引っ張り出す羽目になりましたし、そのパッドにしても、PS用のを想定したキー配置になっており、こちらで自由に設定できるわけではないですからね。
コンフィグもリセットされてしまいますし、PCで楽しもうとする人に対しあまり配慮されていない感じです。

<評価>

「ヴァリアントハーツ」でなくて、何で「バリアントハート」なんだという細かい部分から、訳でオーストリアがオーストラリアになっていたり、ローカライズに対しては少し疑問もあります。
また、上記のように、ゲーム性という部分からは不満もあります。

そのため、決して欠点のない作品ではないのですが、それ以上にストーリー・キャラ・コンセプト・グラフィックが、抜群に良かったわけでして。
価格のわりにボリュームも多く、遊び応えもありますしね。
したがって、長所となる部分だけなら確実に傑作級の作品ですし、短所となる部分を差し引いても十分に名作と言えるのでしょう。

最近のインディーズ系やコンソールのダウンロード用のADVでは、ゲーム性が低いけど雰囲気は抜群というタイプの雰囲気ゲーが多く、今はそういうのが評価されやすいみたいですけどね。
個人的には、その手の作品には少し辛くなりがちなのですが、そんな私でも本作は十分に堪能できましたし、プレイして良かったなと心底思えましたからね。
第一次世界大戦に興味がある人だけでなく、広くストーリーの優れた作品を求めている人に向いた作品だと思います。

ADVファンが2014年に本作をプレイしないで、それで一体他に何をやるの?って感じでもありますので、ADV好きならぜひともプレイしてもらいたい作品ですね。

ランク:A(名作)


バリアント ハート

Last Updated on 2024-10-14 by katan

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