Prismaticallization (プリズマティカリゼーション)

1999

『Prismaticallization(プリズマティカリゼーション)』は、1999年にPS用としてアークシステムワークスから発売されました。

P17Nと略されることも多いですが、これは名前が長いので最初のPと最後のN、そしてその間に17文字あるところからきたようです。

<感想>

一見すると『センチメンタルグラフィティ』もどきのような雰囲気で、典型的なギャルゲーにしか見えません。
そのため、当初はスルー予定だったんですけどね。
でもこれがまた結構な曲者でして。
あちこちで評判を呼んだ、まさに快作と呼べる作品でした。

ギャルゲーらしからぬ恋愛要素を抑えたストーリーに、哲学的な要素が散りばめられたテキスト。
これだけでも一部の人には喜ばれそうな内容ですが、本作の一番の特徴は、何と言ってもシステムにあると言えるでしょう。

本作は、「サークレイト(循環する)ADV」と名付けられています。
いわゆるループ系のADVですが、そのループの仕方に特徴があるのです。
具体的には、物語途中で不思議なオブジェを手に入れるのですが、それを使って状態を「記憶」するか「開放」するか選択することによって、その後の展開が変わってくるのです。

その構造及びストーリーとの一体性という観点から見ると、『YU-NO』のADMSにも通じるものがあると言えるかもしれません。
そのため、一風変わったADVが好きな人には、本作は向いているかと思われます。

ただ、何て言いますか・・・
私はイマイチはまれなかったんですよ。
確かにストーリーとシステムの一体感はありますが、結局ゲーム内でやることは「記憶」するか否かだけです。

「YU-NO」は基本的にP&C式ADVとして優れており、そこにADMSが加わったから、面白みが更に増したのです。
本作はベースはノベル系ADVになるのでしょうが、それならそれで通常のノベル系ADVの面白さに、独自のシステムが加わっていれば面白くなりえたのだと思います。

しかし本作は、「記憶」するか否かだけですからね。
やれることはその2択だけですので、ある意味、普通の分岐式ノベルよりやれることが少なかったりします。
しかも記憶の結果は再プレイ時に出てくるので、2択の結果が後に表れてくるという攻略に難儀するシステムでいながら、必ずしも面白さに直結していませんでした。
簡潔に言えば、オリジナリティは良いけどクオリティが伴ってないのです。

ストーリーも何か淡々としてはまりきれなかったし、他の部分も特に目立つ要素はなかったですしね。
一見するとかなり私が好みそうな作品なのですが、ちょっと残念な結果に終わってしまいました。

<評価>

そのオリジナリティ、ストーリーとシステムの一体感から、長所だけなら名作級の本作。
いまいち中身が伴っていないことも考慮して、総合では良作とします。

物足りない部分があったとはいえ、P17Nという名前といいシステムといい、かなり個性的なのは間違いありません。
ADV好き、特にシステム面にこだわる方ならば、1度はやってみるべき作品と言えるのではないでしょうか。

ランク:B-(良作)


Prismaticallization

Last Updated on 2025-01-12 by katan

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