『シンカ (Sinkha)』は1996年にハイブリッドCDとして、インタープログから発売されました。
オリジナルの『Sinkha』は1995年の発売で、本作はその日本語移植版になります。
<概要>
制作したのはイタリア人アーティストのマルコ・パトリート。
私はその辺に疎いので恥ずかしながらあまり存じないのですが、ファンタジーの巨匠として世界的に有名な方みたいで、画家・イラストレーター・劇画家として活躍中とのことです。
そのマルコ・パトリートが手がけた本作は、今で言えばノベル系のADVになります。
当時で言えばデジタルコミックにあたるわけで、つまりは基本的に読んでいくだけですね。
ニュアンス的にはストーリーのついたCG集って感じでもあります。
当時は、これはADVとは違うだろって意識も少なからずありました。
しかし、今は物語に絵と音が付いていれば一本道でもゲーム扱いされますからね。
むしろ今の方が、ユーザーに受け入れられやすいのかもしれません。
そういうわけで、ここでもノベル系ADVとして分類させてもらいます。
<感想>
ファンタジーの巨匠という名は伊達ではなく、その描かれるグラフィックのセンスは圧倒的に素晴らしいものでした。
また、3Dの美少女にもこだわりがあって、お尻の描き方なんかは実にお見事でした。
とはいえ、肝心の顔があちら風なので、2次元を愛する者的には存分に楽しめたと言えないのが残念でもありました。
こういうのは難しいですね。
ゲーム性はないし、ボリュームもないし、そもそもストーリーが終わってないしで、どうにも私の基準だと点は伸びにくいです。
でも、グラフィックは抜群でしたしね。
本作はファンタジーと言っても、日本的感覚から言えばSFに分類されやすい、近未来風のファンタジーなわけでして。
グラフィックから伝わってくる世界観や造形は圧倒的でしたし、これは高く評価されて然るべきでしょう。
こういう作品は今はないだけに、妙に懐かしくなってしまいますね。
<評価>
ただ・・・個性はピカイチなのですが、やっぱり欠点もそれなりですし、ADVとして評価するとなると厳しめになっちゃいますね。
そういうわけで、一応佳作としておきたいと思います。
まぁ、私の基準だとそうなりますが、ノベル系好きでグラフィック重視の人ならば、もう少し楽しめるのではないでしょうか。
本来はそういう人向けのゲームでしょうからね。
ちなみに、久しぶりに調べてみたら、続きもあったんですね。
2002年に続編が出ていたようです。
かなり間隔があいているものの、その後もまだ続いているようです。
綺麗なお姉ちゃんを描くことの探求もまだまだ続いているみたいで、これには驚かされました。
しっかりとした基盤を持っている人だから、忘れた頃にゲームを出すことも可能なのでしょうね。
そこら辺に国内のクリエイターとの違いも感じてしまいますね。
残念ながら続編は日本語化されていないのですが、こういうのもまた日本語化してもらいたいものです。
グラフィックの追求がゲームの本質でないことは確かでしょうが、一方で昔のADVはグラフィック技術の進化の歴史でもあったわけで、そうした側面も決して忘れてはならないと思うのです。
いわばグラフィックの追求はADVの原点でもあったわけで、マルコ・パトリートさんの近況を知るにあたって、そのことを久しぶりに思い出した気になれました。
Last Updated on 2024-06-02 by katan
コメント
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おそいコメントで恐縮です。
先日の京都千年物語の記事がきっかけで
古いMACのゲーム掘り起こしてます。
このシンカ日本語版も持ってたみたいです、笑
OSXだと動かないのでBasilisk IIをつかって立ち上げてみました。
内容、忘れてます…汗
まったく覚えていないので
積みゲーにしちゃってたのかもしれません…
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当時の概念からすれば、ゲームに含まれるかも怪しい作品でしたからね。
後回しにされても仕方ないかもしれないですね。
当時は店で叩き売られていたのもよく見かけましたので、安く買って積んでたって人が結構いそうな気もしますし。
古いMACのゲームをやるのであれば、もし未プレイなら『トータルディストーション』をオススメします。
あれはADV好きなら1度はやるべき作品かと想うんですよね。