凍京NECRO

2016

『凍京NECRO』は2016年にWIN用として、NitroPlusから発売されました。

映像技術には最初興味を持ったものの、結局のところ、いつものニトロなのかなと。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・──『ネクロマンサー』の時代がやってきた。
主人公、「臥龍岡早雲」と「牙野原エチカ」はまだ若い、「民間特別生死者追跡者(プライベート・スペシャル・リビングデッド・ストーカー)」。
「近接銃術」という特殊な戦闘技能を身につけており、互いにトップクラスの成績をあげている。
ある日の任務中、早雲は激しい戦闘の末に、ひとりの少女と出会う。
「宝形イリア」という名前以外の記憶を全て失っている彼女は、謎のネクロマンサー集団に身柄を狙われていた。
硝煙とリビングデッドと犯罪と電脳の凍京。
リビングデッド・ストーカーとヒロインの生死をかけた戦いが始まる。

<感想>

ストーリーに関しては、良くも悪くもいつものニトロということで。
ただ、ニトロの過去作で評判の良い作品と比べると、ストーリーは少し薄いのかな。
この作品をストーリーだけが目当てという人がいるとも思えませんが、その観点からは少しもの足りなく感じると思います。

それと、個人的には、この硬派っぽく匂わせつつ、変にオタに媚びたような内容はどうにかならんのかと思うのですが、まぁ一般的にはその方がライトなエロゲオタには受けやすいのでしょうね。
ニトロ自体が保守的でライト向けのブランドだと思っていますから、ある意味ではファンの求めている物を作っているともいえますし。

さて、本作に興味を持ったのは、最初見た時に演出が凄いと思ったからです。
そういう作品を見ると、私の場合、ついプレイしたくなるものですから。
ただ、実際にプレイしてみると、3つほど疑問を抱いてしまいました。

一つ目は、実のところ、それほど優れた映像でもないということです。
PSのムービーでも、これくらいならあるんじゃないかな。
私はWIN95の頃に日本語化された洋ゲーのADVを散々プレイしたけど、よく考えれば、そっちのムービーの方が出来が良かったですし。

結局のところ、本作のムービーで凄いのは動きであり、キャラの表情なんかは全然動いてないのですよ。
洋ゲーのADVは二次絵のキャラなんていないので、二次絵でキャラの表情に動きがあれば、過去の洋ゲーなどは比較対象から外れてしまいます。
しかし、動いているのは戦闘場面やクリーチャーなどですから、そうなると昔のPSやら洋ゲーやらも比較対象になってしまいますし、それらと比べてどうなのかとなると、う~んってなってしまうのでしょう。

二つ目は、一つ目で少し書いてしまっているのですが、キャラの顔の動きが乏しいことが気になりました。
80年代や90年代前半の頃、一般PCゲーやゲーム機のゲームでは、キャラの表情なんてほとんどありませんでした。
表情が最優先事項ではないのですから、それでも構わないのです。
しかしアダルトゲームでは、キャラの表情こそが大事になってくるわけで、だからゲーム性などよりも、立ち絵や一枚絵のクオリティアップに力を入れてきたと。
アダルトゲームにおいては、他のどのゲームよりも、やっぱりキャラの表情が大事なんだと思います。
それをないがしろにして、他の部分だけ進化させようとした本作は、アダルトゲームの方向性としては失格ではないのかなと。
こういうのをエロゲでやるなとは言わないけれど、こういう作品ばかりになったら、間違いなくエロゲはユーザーから見放されるのでしょう。

三つ目は、ゲームデザインが致命的に悪いことです。
本作はムービー主体のゲームであるにもかかわらず、何を考えているのか分かりませんが、無意味にノベルゲーの構造を維持しています。
そのため、ノベルゲーとしてのテキストや選択肢が、ムービーの流れを阻害し、結果としてテンポが悪くなっているのです。

使いにくいUIといい、どうにも独りよがりで、作品全体を通したイメージが構築されていないというか、ユーザーのことを考えていない印象が強かったですね。
テキストからの脱却を目指したADVの方向性としては、例えば過去にもインタラクティブムービーなどがあるわけで、製作者はもう少し過去のADVを勉強した方が良いと思います。
そうすれば、少なくとも本作のような中途半端で、ストレスの溜まる構造にはならないと思うのですが。

それとこれ、皆、演出が良いって言うけど、違うでしょ。
上で三つと言ったけど、これを別項目とすれば四つ目か。
確かにムービーとかの技術力は他所のエロゲブランドより高いけれど、その使い方が壊滅的に酷いですし。
技術・素材は良いけれど、その見せ方・使い方がヘタクソなんだから、そういうのこそ演出が悪いというのでしょうに。
少なくとも私は、本作は演出が悪いと思うし、よく素材は良いけど調理の仕方が悪いという例えを使う人がいますが、これこそ、その例えにピッタリだと思うのです。

<評価>

ニトロの作品に対して、挑戦という表現が用いられることがありますが、私には笑い話というか性質の悪い冗談にしか見えません。

何かやろうとする姿勢を見せるブランドは応援したくなるのですが、結局のところニトロは非常に保守的であり、安全圏にいた上で、そこから外れない範囲で表面的に、片足だけちょこっと挑戦してますって伸ばしているだけなんですよね。
本作にしても、ノベルゲーという枠組みから脱却はせずに、その上にムービーを乗っけているだけですし。

それと、作り手がADVを知らなすぎるのが問題であり、だから同程度の知識のライトユーザーは誤魔化せても、そうでないユーザーには不満がいろいろ出てきてしまうと。

本作にしても、そういうニトロの体質や悪い部分が、そのまま出てきてしまったようであり残念でした。
技術的には今後も期待できるのかもだけど、これはもうプロデューサーとか、そういうところが変わらないとどうにもならないのかもしれませんね。

ランク:D-(凡作)


凍京NECRO

Last Updated on 2024-08-22 by katan

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