『夏ノ鎖』は2016年にWIN用として、クロックアップから発売されました。
ダーク系の作品は久しぶりだなということで、興味を持った作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・夏休みがはじまる。
進学しても何も変わらなかった。
去年も、今年も、来年もずっとこのまま、何も変わらないのだろう。
灰色の日々。この鬱屈にせめて理由があればいいのに。
くだらないばかりの毎日は、この感情に、理由も名前も与えてくれない。
だから俺は、自分からこの灰色の世界を変えてやるのだ。
ずっと思い描いていたことを、今こそ実行する。計画は完璧だ。
あとは、この計画の中心にハメ込むに相応しい女を選ぶだけ――。
誰でもいい。けれど、つまらない女でない方がいい。
そう、たとえば……前を歩く、あの長い黒髪の女とか。
白く輝くような夏休みなど要らない。
俺が欲しいのは、女の悲鳴と絶望で黒く塗りつぶされた日々だ。
<感想>
ストーリーそのものの構造はいたってシンプルであり、主人公がヒロインを監禁して調教するというものになります。
そう言うと、何だ抜きゲーかと思われる人もいるかもしれませんが、むしろ主人公とヒロインの関係を描いた、ストーリー重視の作品と捉えるべきなのでしょう。
恋愛でも萌えでもない、本作のようなタイプのストーリー重視作品は、一昔前にはダーク系と呼ばれていたのですが、今ではダーク系という言葉自体をを聞くことがありません。
それは即ち、こういう設定で物語を堪能させる作品が、今では絶滅に近いことを意味します。
私は、久しぶりのダーク系だなという印象を抱いたのですが、今はこの手の作品をプレイしたことのない人もいるでしょうし、そういう人ならば新鮮な気持ちでプレイできるのではないでしょうか。
その意味で、本作は初心者受けしやすい、初心者向けの作品なのだと思います。
また、本作のヒロインは一人ですので、ENDもヒロインごとの個別ルートというのではなく、主人公の行動により展開が変わるというものになります。
これまた昔のノベルゲーにはよくあったのですが、最近は少なくなった構造ですね。
個人的には、単に個別ルートだけというよりも、こっちの方がゲームらしくて好きです。
以上のように、ストーリー的にも、ゲームデザイン的にも、一昔前のノベルゲーを彷彿させる内容であり、それは即ち私の好きな系統の作品とも言えるでしょう。
もっとも、好きな系統の作品だからこそ、厳しく見てしまうこともあります。
でも、その意味では心配は不要だった言えるのでしょう。
なぜなら、トゥルーENDだけでなく、バッドENDにしても、最後まできっちり丁寧に描かれているからです。
しっかり最後まで描かれているからこそ、単にストーリーが楽しめるだけにとどまらず、プレイヤーの選択にも重みが生まれてくるわけで、相乗効果で更に楽しめるのです。
グラフィックは、キャラデザはあまり良いとは思えないのですが、イベントCGで、特に非エロの一枚絵において、構図が良いなと思えるシーンがいくつかありました。
したがって、グラフィック総合では、むしろプラスにもなりうるのでしょう。
<評価>
とても丁寧に作られた作品でしたね。
この手の作品が苦手でないならば、安心して楽しめる作品だと思います。
そういう意味では、鉄板と呼べる作品なのでしょうし、だからこそ初心者向けでもあるのです。
まぁ、ちょっと主人公がガキ臭いので、その点で合わないおそれはありますけどね。
それでも、特に今はこういう系統の作品が非常に少ないので、過去の同系統の作品を知らない人だと、かなり楽しめるように思いますし、そういう人にはぜひともプレイしてもらいたいと思います。
もっとも、その上での話になるのですが、本作には同系統の他作品との違いがあまりなかった、つまり本作ならではの要素には欠けていたのかなと思います。
丁寧に作っているのは分かるのだけれど、じゃあこの作品をプレイして何か新たに得る物があったかとなると、ノーとしか言えないのでしょう。
だから90年代の作品とかも知っている人には、本作をあえて薦める気にはなれないし、その辺が評価が伸び悩んだ理由でもあります。
もう少し何かしら、プラスアルファとなるものが欲しかったですね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-21 by katan



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