『蜥蜴の尻尾切り ~切れないしっぽ~』は、2016年にWIN用として、CYCLETから発売されました。
シンプルだけれども、だからこそ心打たれる物語というところでしょうか。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
「切り離した尻尾を……取り戻したんだ」
「猪上 秀(いのうえ しゅう)」は、駅のホームで悲しい表情をした少女を見つける。
他人と思っていた少女は、実は他人と思い込もうとしていた少女で、少女が何者にも変えがたい存在だと気づいた時には、すでに駆け出していた。
秀はすべての力をふり絞って走り、少女が線路に飛び込む直前に、その手を掴みとった。
そして秀は、少女の口に舌を入れる。
それは切り離した尻尾である少女「城戸崎 荊(きどざき いばら)」を取り戻すと同時に、運命をともにすることを決意した瞬間だった。
<感想>
本作は、『蜥蜴の尻尾切り』のFDの一種であり、アナザールートのようなものですね。
本編をプレイせず、本作だけをプレイしても、特にストーリーが分からなくなることとかはありません。
そのため、本作からのプレイでも、大きな支障はないです。
もっとも、本編をプレイしていると、よりキャラクターへの理解度が深まります。
特に本作は短編であることから、本編をプレイした方がより楽しめるのは、間違いないでしょう。
さて、肝心の本作の中身なのですが、本作は秀と荊の二人の純愛になります。
病魔に侵された荊と、彼女を想い、やがて一緒の病に感染しながらも、性行為を続ける秀。
次第に皮膚は爛れていくことから、画像的には見栄えは良くありません。
人によっては、グロゲーに見えることでしょう。
(まぁ、グロってのは、ある意味、とてもサイクらしいのですが。)
しかし、次第に腐り朽ちていくのだとしても、二人の関係はまさしく純愛なのです。
間もなく訪れる死までの、短い間ではあるものの、二人はお互いの尻尾を守ったのであり、それがサブタイトルに表れているといえるのでしょう。
本作は二人の関係だけを描いたシンプルな作品ですが、それだけにストレートに読み手に伝わってくるのであり、本編が好きな人ほど心を打たれるのだと思います。
というわけで、良い話だとは思うのですが、題材的には珍しいわけでもなく、意外性はなかったのかなと。
まぁ、皮膚が爛れていく中でHが繰り返されており、実用性という観点からは疑問が残るものの、そのCGにより迫力が増し、よりストーリーの重みが増してくるわけでして。
その辺は、エロゲらしくて良かったのかなと思います。
<評価>
総合では佳作としておきます。
個人的には、シンプルで意外性のない短編ということで、あまり楽しみ切れなかった作品でした。
それもあり、評価は辛めになっていますが、刺さる人には刺さるだけの魅力も持った作品だとも思います。
そのため、いわゆるシナリオゲーが好きな人で、死生観とか、そういう題材が好きな人とかには、おすすめできる作品だと思いますね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-09-08 by katan