『天使のいない12月』は2003年にWIN用として、Leafから発売されました。
なかむらたけしさんの絵がとにかく好きで、完全に絵買いでしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
人間関係は軽く薄く小さくがモットーであり、なにごとにもいい加減で投げ遣りな生活を送っている主人公。
特にやかましい妹がいるせいもあって、女は面倒だと思っている。
そんな主人公と違い、友人は女の子との恋愛に時間を費やし、肉体関係になることに至上の価値を求めているので、主人公に恋愛を勧めるのだが、まるで聞く耳を持たない。
ところが、ある女の子とその場限りの関係を持ってしまう…。
<感想>
キャラデザのなかむらたけしさんの絵は大好きで、というか、ちょうどこの当時は一番好きな原画家でした。
また、2003年というのは、個人的には、非常に「マリみて」にはまっていた年でもありました。
リーフというブランドにはもう興味を失っていたのですが、某キャラを見て、それで私がこれを買わないわけがない。
ということで期待しつつ、当然の如く発売日買いしたものです。
さて、そんな期待値の高さに反するようではあるのですが、実はプレイ後の印象は全く残っていなかったりします。
一応鬱ゲーと分類されているようですが、とりあえずどのキャラも厨二病を患っていますので、その路線が嫌いな人は楽しめない可能性が大きいし、逆に好きなら楽しめる可能性は高くなるように思います。
本作は、発売当時はかなり叩かれていて、良い評判はほとんど聞きませんでした。
発売からしばらく経って、たまに評価する人を見かけるようになっていったと思います。
この辺について、少し考えてみました。
ゼロ年代に入り、泣きゲー崩れという感は否めないものの、鬱ゲーが流行りました。
その派生で、死生観を扱うような作品も出てきました。
他方で、ゼロ年代に入った頃から、少年漫画的な作品や、厨二的な作品も増えていきました。
本作は、その二つの流れを併せたような作品なのです。
だから当時のプレイヤーからすると、流行路線を安易にくっつけただけで、過去の作品から特にプラスのない新鮮味のない作品に見えたことでしょう。
また、発売当時はまだ、PC98時代からの古参プレイヤーのような方も残っていて、少年漫画的な作品や厨二とは異なる作品をアダルトゲームに求めていた人も多く、そういう人からすれば、どうしても否定的になりやすいと思います。
他方で、大分経ってからプレイした人だと、ゼロ年代前半の作品をやり込んだような人はいないでしょうから、マンネリ感は感じられず、新鮮に感じられたのではないでしょうか。
また、適度に子供向け、適度に薄い内容から初心者向けともいえ、新規ユーザーにとって、入りやすい入門作になりえたのかなと思います。
私はPC98時代からのプレイヤーですから、アダルトゲームでこんな厨二をやるなよと思ってしまい、その時点であまり好意的に見れない面は否定できないでしょう。
でも、それにしても、もう少し掘り下げてくれよと言いたいわけでして。
自分と異なる思想であっても、それをはっきり描ききったら、時にはこっちの考えも変わるかもしれないし、変わらない場合には駄目だとかおかしいだろそれって具合に、嫌いという感情であったとしても何かしら強い印象が残るものです。
流行ジャンルを複数組み合わせても、内容が伴っていたら、それこそ当該ジャンルの代表作として絶賛していたことでしょう。
しかし、本作の場合、過去作にあるような要素を、何か表面だけ軽くなぞっただけの、中身のない浅い作品に見えてしまい、だから記憶に全然残らなかったし鬱にもなれなかったのです。
つまり私にとって本作は、好きでもなければ嫌いでもなく、流行路線の乗っかっただけの、とにかく空気のような印象の薄い作品だったのです。
とはいえ、絵は非常に綺麗でしたからね。
この点に関してはなかむらたけしさんの代表作とも呼べる出来でしょう。
そのため、CG集としては、少し楽しめたかなと思います。
<評価>
ストーリーだけであれば、駄作相当の作品だと思いますが、キャラデザが好きでしたので、その分だけ上方修正し、総合では凡作とします。
ランク:D(凡作)

Last Updated on 2025-05-25 by katan
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