『河原崎家の一族2』は2003年にWIN用として、エルフから発売されました。
判明している中では、蛭田さん最後の作品となったゲームでしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
屋敷の奥に隠匿された一族の忌まわしくも魅力的で淫靡な秘密……
河原崎縄綱の64回目の誕生日、恋人の「杏奈」に同伴するかたちで河原崎家を訪れた主人公「優馬」。
人里離れたこの屋敷で暮らしているのは、縄綱とその身の回りの世話をする使用人達のみ。
夕食の席に姿を現した縄綱は、お祝いに集まった縁ある者達に「これからは皆で自分の世話をするように」と申し渡す。
縄綱とその使用人達の異常さに不快感を覚えた「優馬」は、「杏奈」を連れて屋敷を出ようとするが、奇妙なことに彼がどう足掻いても再び河原崎家の門をくぐることになってしまうのだった。
彼の眼前で繰り広げられる非日常的な現実……狂気に染まる淫靡で背徳的な世界がここに!
<感想>
2とありますが、1作目と特につながりはありませんので、この『河原崎家の一族2』からのプレイでも何の問題もありません。
初代河原崎家と言えば館物ブームの火付け役ともなった名作ですが、続編たる本作もまた館物となっています。
館を舞台に繰り広げられる陵辱・SM・アナル・スカトロ、露出・・・と、さまざまなエロ要素がふんだんに含まれていますので、多くの属性の人に対応できるでしょう。
逆に、新たな属性に挑戦する良いきっかけともなるかもしれませんね。
グラフィックやサウンドもレベルが高く、アダルトゲームはこう作れというまさにお手本のようなゲームでした。
そういうわけで、基本的に良く出来ている点は認めます。
こういうゲームは初心者であるうちの方が楽しめるでしょうね。
いろんな属性への入門、足がかりとしてならば、高品質の作品だと思います。
もしプレイを検討している人がいるならば、できるだけ早いうちのプレイをオススメします。
ただ、基本的に良く出来ているとは思いつつも、個人的にはそれ程楽しめませんでした。
よくヒット作があると、表面だけ模倣したような2番煎じのゲームがたくさん出てきます。
それと同じ匂いを感じたんですよね。
いろんな要素を、ただ単に一杯入れてみただけって感じがして。
何より前作で感じられた淫靡さが、まるで伝わってきませんでした。
枝葉がどれだけ豪華であっても、根幹たる部分がしっかりしていないのでは、評価もしようがないってものです。
なお、本作では、前作との違いとしてループ物という構造があります。
基本は分岐型のノベル系ADVなのですが、何度もループして結末は1つってわけですね。
ループ物っていうのは、実は結構、好き嫌いが分かれると私は思うんですよね。
人によってはループ物ってだけで馬鹿みたいに高く評価もしますし。
でも逆に、繰り返しを要するという構造故に、飽きやすいという欠点もあり、そこが苦手な人を生む要因にもなっているのでしょう。
私はループ物自体は好きなんですが、どうにも飽きてしまいましたね。
この時期はループ物が流行っていて、ループ物ばかりやってましたし。
それでも何かしらの独自性があれば楽しめるのですが、本作では特殊なギミックもなく平凡なループ物でしたしね。
そうなると、ループ物のデメリットばかりが見えてきちゃうのです。
それと、あらためて振り返ってみると、1作目は、館という閉塞的な空間の中で、自分の行動次第で様々にかわるという一期一会の魅力がありました。
ループ物にしてしまうと、1本道になりますので、そういう魅力は失われてしまうのです。
勘違いしないでほしいのは、館物+ループ物でも面白い作品を作ることは可能であり、その最たる例が『夢幻夜想曲』なのでしょう。
しかし、初代河原崎の魅力というのは、『夢幻夜想曲』のような強烈なストーリー性ではなく、その自由度にもあっただけに、そこにループという制約を入れると、1作目にあった魅力は失われてしまうのです。
もっとも、初代河原崎にあった魅力が失われたとしても、初代河原崎と異なる方向性で新たな魅力を打ち出せれば、それで全然問題はないのでしょう。
しかし、初代河原崎の魅力を捨てて取り入れた本作の特徴であるループは、同系統の他作品と比べても特に目立つところもなく、平凡の域を出ませんでした。
その結果、過去作の長所だけが失われた形となったのでしょう。
昔のエルフのゲームは、中には完成度の伴わないものもありましたが、それでも多くのゲームに新鮮さが伴っていました。
本作には、そういった新鮮さは全くなく、基本は出来ているものの、小さく手堅く無難に纏め上げたって印象でした。
プレイ当時はライターが非公表で蛭田さんだとは知らなかったのですが、こんなゲームしか作れないんじゃ、やっぱり終わった人になっちゃったのかなと感じてしまいますね。
<評価>
総合では佳作ってところでしょうかね。
それなりに楽しめたし元は取れたけど、特に記憶に残るものは何もないって感じでしたからね。
まぁ、偉大な初代の後継作ということで辛くもなりましたが、基本部分がしっかりしているのは確かですし、致命的な欠点を減じていく減点法であれば高得点になりうる作品でしょう。
1つでも良いから何か個性的なものをと求める人には相性が悪いかもですが、多くの面で水準以上の内容を伴った館・ループ・陵辱系を求めるならば、結構満足できるのではないでしょうか。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2025-05-25 by katan
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