『大正×対称アリス episode2』は2015年にWIN用として、Primulaから発売されました。
前作の持つ魅力を更に洗練させ、よりシリアスになった作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
【かぐや編】
いつものように喫茶店で働いていたヒロイン。
ある日、喫茶店で衝撃的な別れ話を繰り広げていたかぐやに声を掛けると、いきなり「僕と付き合わへん?」と勢い任せに告白されます。
こうして、あっという間に恋人同士となった二人。
かぐやはとても優しいのですが、素性を聞いても曖昧で、問い質すと帰る家もお金も無いと言い出します。
喫茶店の店長であるシンデレラの了承を貰い、かぐやも住み込みで働くことになりましたが…。
はてさて、彼らの恋路はどのような展開を見せるのでしょうか?
【グレーテル編】
ヒロインが目覚めると、そこは見知らぬ部屋でした。
生活用品は一通り揃っていると思われる何の変哲もない部屋でしたが、異常なのは、手足を縛られベッドの上に転がされていることでした。
「ここは安全だから、姉さんと二人、ここで暮らすんです」
弟であるグレーテルの一言で突如始まった監禁生活。
果たして彼の目的は?ヒロインの運命は?
そしてこのような事態に陥った原因とは一体なんなのでしょうか?
<感想>
大正×対称アリスシリーズの2作目になります。
分割作品というのは基本的にあまり良い印象はないのだけれど、このシリーズは個々の作品は低価格で手頃ですし、基本的に3か月という非常に短い間隔で次の作品が発売されていますので、これなら問題ないですね。
考えようによっては一年間を通じて楽しませてもらえるわけですし、こういう形式であるならば、分割も十分にありだと思います。
このエピソード2には「かぐや編」と「グレーテル編」の、2本のシナリオが収録されています。
それぞれのシナリオは独立していますので、このエピソード2からプレイしても十分に理解できるし楽しめます。
もっとも、それはあくまでも個別ルート単位での話であり、細かい部分ではアリスらの行動にちょっとした変化が生じていますし、また後述するように本作は、ストーリー全体において、「起承転結」の「承」に該当する作品でして。
したがって、特段の事情がない限り、エピソード1からプレイした方が良いと思います。
さて、本作は童話をモチーフにした作品であり、このエピソード2では、「かぐや姫」と「ヘンゼルとグレーテル」が題材になっています。
前作でも思ったことですが、元の童話の本質部分を維持しつつも、かなり大胆にアレンジしており、今作も上手く出来ているなと思いました。
もっとも、本作は一応、一般PCゲーの乙女ゲーム扱いとなるのでしょうが、恋愛を主目的とした乙女ゲームとしての観点からは、より一層微妙になったかもしれません。
というのも、前作の攻略対象キャラは駄目男ばっかりだったところ、それでもまだ中身が残念なだけであり、「まとも」ではありました。
しかし、本作の攻略対象キャラは、どちらも完全に病んでいますからね。
その病み具合がシナリオの深みを生み出しているのも確かで、シナリオゲーとしてはプラスになるものの、キャラとの恋愛を主目的とした乙女ゲーとしてはどうなんだろうと。
少なくとも一般的な恋愛とは異なるし、イチャラブを目的にすると、ちょっと期待に反するかもしれません。
そういう意味でも、本作はやっぱり2作目ということなのでしょうね。
エピソード1はコメディ要素もありましたし、本シリーズの持つ個性は示しつつも、まだ比較的幅広い層が楽しめるような内容になっていました。
しかしこのエピソード2は、エピソード1で当該シリーズの傾向はもう分かっただろと言わんばかりに、万人受けするような要素を削ってきており、その代わりに本シリーズの持つ個性を更に強調してきたような作品なのです。
簡単に言えば、凄くアクが強くなったのですよ。
具体的には、重複するので今回は省略しますが、主人公や男性陣の性格・個性がより顕著になり、それに伴いシナリオもかなりシリアスになっています。
だからキャラとの普通の恋愛を求めるともの足りないけれど、当該シリーズの持つ独自性及びストーリー性に着目したような人だと、前作より持ち味を洗練させ特化させてきた本作の方が、おそらく満足度は高くなるのでしょう。
いずれにしろエソードピ1を受けて、本作の持つ魅力を洗練させたという意味で、「承」に該当する4部作の2作目らしい作品だったと言えるでしょう。
<評価>
今後発売される作品も含め全4作で一つの作品であり、本作はその中の2本目ということですから、こういう作品は判断が難しいですね。
ストーリー以外の部分に関しては、グラフィックは相変わらず高品質ではあるものの枚数は少ないなど、長所も短所も前作と同様という印象でした。
そのため作品全体に対する評価も、ストーリーに対するものと直結しやすいと思います。
そして本作の良さというものは本作で新たに追加されたものではなく、前作で既に示されていたものに更なる磨きをかけたといえるわけで、普段の私の方針からは高い点を付け辛い作品と言えるのでしょう。
そのため、総合では良作としておきます。
もっともシリーズの持つ魅力を洗練させたといういう点で、もし今作での独自性よりも完成度の上昇を重視するのであれば、本作を名作扱いして良いように思います。
だから本作を名作扱いする人がいても何ら不思議でないし、それも十分に理解できます。
いずれにしろシリーズとしてはまだまだ半分ですし、真相とかも判明していないものの、それでも少しずつベールを脱いで本性をさらけ出し、牙を剥き始めたなということで、次作が楽しみになる作品でした。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-09-25 by katan
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