SEEK ~地下室の雌奴隷達~

1995

『SEEK ~地下室の雌奴隷達~』は、1995年にPC98用としてPILから発売されました。

SM調教SLGを確立し新しい方向を切り開いた作品でした。

<感想>

近年、調教SLGはめっきり減ってしまいましたね。
調教SLGは簡単に言ってしまえば、育成SLGのアダルト版でしょうか。

以前、どこだかでこんなやり取りを見かけた記憶があります。
育成SLGと調教SLGの違いって何?って質問があって、こういう答えでした。
育成SLGは、対象に成長の意欲があるもの。
調教SLGは、対象に成長の意欲がないもの。

なるほど~って思いましたよ。
少なくとも、18禁のラベルの有無で決めるより説得力がある気がします。

その調教SLG。
一般に元祖と言われているのが、『SEEK』です。
(ちなみに、18禁の育成SLGであればサティアがあります。)

通常、元祖といわれる作品の多くは発想は良いけど、作りこみが甘かったりします。
そして、後年に作りこまれた別の名作が出てくると。

しかし調教SLG自体が育成SLGの亜種ってこともあり、元祖ながらにして『SEEK』は抜群の完成度をほこっていました。

『SEEK』でのゲームの形が今日の調教SLGの基礎になっていることは、疑う余地がないでしょう。
私が最も評価している『虜』にしても、ゲーム部分に関しては『SEEK』があってこそと考えますし。
調教SLGで独自路線というか画期的だと言えるのは、せいぜい『DEEP』のマトリックスくらいなものでしょう。

そういうわけで、その後の調教ゲームに深く影響している『SEEK』は、調教SLGにおけるユダヤ教みたいなものであり、今尚その存在感は大きいのだと思うのです。

ということで大雑把な位置付けは分かったと思いますが、実は若干ミスリードも含まれていました。
正確には既に調教SLGと呼べるものがありましたから、厳密な意味での元祖ではないのでしょう。
少し早く発売された『禁忌』なんかもそうですし、そもそも『SEEK』を作った田所さんはPILの前にアイデスにいて、そこで短編で調教SLGを作っているんですね。
だからそこでの発想をフルプライスレベルにまで引き上げつつ、SM調教SLGへと昇華させたということなのでしょう。

だから厳密には決して調教SLGの元祖ではないのですが、そもそも調教SLG自体が育成SLGの亜種ですので、そもそも元祖か否かという点には、あまり意味がないのかもしれません。
もっとも、そんなこと関係なしに、以後のゲームが『SEEK』の体裁を模倣した作品が多いことや、『SEEK』のヒットに続き他社から幾つも調教SLGが出てきたことから、実質的にジャンルを確立したとは言えるのでしょうけどね。

それより、本作が多くのプレイヤーに衝撃を与えたのは、これが初の本格的なSMソフトだってことではないでしょうか。
SMを扱った作品はそれまでにもあることはあったんだろけど、ここまで徹底的に拘った作品は皆無でしたからね。

・・・むしろ、こっちか。
書いてて思い出してきた。
確か「本格的なSM調教SLGとしては初」って紹介されていたのに、私も含めつい「SM」部分を省略してしまい、調教SLGの元祖と書かれることが増えたと。
本当に大事なのは、育成SLGのシステムにSM要素、つまりアダルトな要素を密接不可分のものとして融合させ、調教SLGとして再構成させたことなのでしょうね。

これは、昔の『カオスエンジェルズ』とかと一緒です。
『カオスエンジェルズ』だってアダルトRPGの元祖っぽく語られやすいのですが、アダルトRPGはそれ以前にもありました。
でも、普通のRPGにエロCGをオマケでくっつけたのではなく、アダルト要素がRPGと密接不可分に融合されたから、新しいタイプのアダルトなRPGとして評価されたのでしょう。

こうして本作は、その斬新さ・完成度の高さで一部では高い人気を得たものの、内容が内容だから、当然引く人も結構いたでしょう。
SMを全員が好むというものでもないですからね。
そもそも、音楽が秀逸なのは良いとして、グラフィックも淫靡でエロイのはわかるんですが、あそこまで濃いとそれだけで引く人多くないですかね?
正直、自分はSMにはあんまり興味がないので、それほどのめり込むって感じではなかったですし。

<評価>

本音を言うとね、私はこの作品がそんなに好きではないのですよ。
絵が受け付けないのです。
ただ、文章では好きだ嫌いだはいろいろ書いていますが、いつも自分の好みと評価は一致していません。
好きでも単に好みだけだったら良作でとまってしまいますし、逆に嫌いでも凄いと思えば評価したくなる。
『SEEK』は後者に属する作品で、制作者の意気込みや熱意は伝わってきたし、その意義を考え直す度に凄いよなって素直に思えてくるから、評価せざるを得ないのです。

そして好みは別として冷静に見てみれば、全ての面でバランスの取れた優れた作品だったというのは、
プレイすればすぐにわかります。
したがって、総合でも名作といえるでしょう。

今となっては古い作品ではあるけれど、それでもそのゲーム性やSMの拘りに翳りは見えません。
そういう意味で、今尚価値は損なわれていないのではないでしょうか。

ランク:A(名作)


SEEK
DL版
SEEK dl

Last Updated on 2024-10-29 by katan

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