『サイミンアプリ -悪夢の寝取られゲーム-』は、2017年にWIN用として、スタジオ奪から発売されました。
よくあるようで、あまりない、そんな感じのNTR作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
内海の孤島に作られた全寮制のモデル学校、最明学園。
そこに通う主人公の元へ、ある日、「催眠ゲームへの参加資格を得ました」というメールが届く。
同時に端末にインストールされる、催眠アプリ。
自分の妹に試してこれが本物だと理解したものの、「最後の一人になるまで他者のもつアプリを奪え」という内容をキナ臭く感じて、積極的に参加する気になれなかった。
だがある日、生徒会長が全校集会の場でストリップを披露。
しかもなぜそんなことをしたのか憶えていないという事件が起きる。
催眠アプリを手にした誰かの仕業だと気がついた主人公は、自分が親しくしている女の子のためにゲームに参加していくことになる。
<感想>
陵辱系が規制されてからも、既にもう結構な年数が経ちますが、その規制によって増えたジャンルが、寝取られモノと催眠モノなのでしょう。
両方とも、意に反して無理やりやるということを建前上は回避できるので、使い勝手が良いですからね。
その増えていった2ジャンルですが、意外と両者を組み合わせた作品は少ないように思います。
これはある意味、当然のことでもありまして。
つまり催眠をかける能力を得た主人公は、その能力を使って女性を犯すことが多く、ジャンルとしては寝取りモノに近いといえますし、寝取られモノとは逆のベクトルになるからです。
本作の主人公は、相手に催眠術をかけることができますが、その能力の行使には消極的であり、むしろヒロインに催眠術がかけられないように奔走するという、基本的に好青年です。
主人公がヒロインを守り切れなければ、ストーリーが寝取られに進むということで、本作は基本的にはNTRベースの作品といえます。
NTRが基本なのだけれど、そこに催眠術をかけることのできる立場の主人公が加わることで、個々の要素としては既存の作品にあるはずなのに、全体としてはどこか新鮮な印象を受ける内容に仕上がりました。
また、NTRも催眠も、2分類論によれば、抜きゲーとされるような作品が多いです。
そのためか、エロシーンは濃くても、ストーリー性が希薄だったり、ヒロインの描写が弱い作品も多いです。
本作は、事件の首謀者は誰だということで、プレイ中の主人公の行動目的もハッキリ提示されていますし、ストーリーもそれなりに用意されていますし、加えて生徒会長のエマをはじめとして、ヒロインも恋愛ゲー並にたっていまして。
さらには、上記のように、主人公が好青年で行動力もあるので、寝取られゲーの主人公にありがちな、何もせずボーっと寝取られるのを待っているような不可解さもありません。
したがって、この手のジャンルの過去の作品において、比較的弱くなりがちな部分が、本作では結構しっかりしているわけで、それがこの作品の魅力にもなっているのでしょう。
以上のように、本作は、一見するとよくあるジャンルの掛け合わせなのだけれど、これらジャンルの過去作であまり描かれていなかったような部分をしっかり作っていることと相まって、ありそうでなかったかのような、全体的にどこかしら新鮮さを感じる内容になっています。
そのため、寝取られも催眠も、もう散々やり尽して飽きてきたよという人にも、おすすめできる内容になっています。
他方で、寝取られか催眠か、どっちかの要素を強く求めた場合、そして、エロ重視でエロさだけを求めた場合、本作には注意が必要です。
本作は両ジャンルの掛け合わせであり、それぞれのジャンルの個々のシーンについては、扱いが薄くなっている部分があります。
だから寝取られゲーにある部分だけを重視する、例えばヒロインが堕ちていく過程をひたすら重視するというような人だと、本作ではその部分が希薄なことから、物足りなく感じてしまうでしょう。
また、本作は一通りの要素は備えているものの、特にマニアックなシチュはないですし、個々のHシーンが濃いわけでもありません。
そのため、濃いHシーンだけを求めてプレイすると、フルプライス作品のわりに尺が短くね?とか、不満点もでてきてしまうと思います。
<感想>
以上の様な作品ですので、両ジャンルともやり尽して、少し飽きてきたというような人でも、楽しめる作品といえるでしょう。
こういう新鮮味を感じられる作品は、私の好むところでもあります。
ただ、いわゆるアイデアは良かったけれど、作り込みが甘い作品なんですよね。
個々のHシーンの描写とか、ストーリー上の細部の詰めであるとか、もう少し作り込んであれば、良作どころか、それ以上に十分なっていたわけで、そういう意味ではとても惜しい作品でした。
そのため、総合では佳作とします。
繰返しになりますが、特定の何かを求める人には、薄味に感じてしまう可能性が高いので、そのような場合であるならば、本作ではなく、特定シチュにこだわった同人ゲーでもやった方がと思いますが、そこは多少目をつぶっても、ちょっと毛色の異なった作品をやりたいなと思う人には、結構おすすめなように思いますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-16 by katan
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