はぁとでネットワーク

2000

『はぁとでネットワーク』は2000年にWIN用として、Euphony Productionから発売されました。
近未来を舞台にしつつも、Euphony Productionらしさの出た作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・主人公・狭山孝介は、何処にも居るようなごく普通の学生。
だが両親の仕事柄、転勤が多い為に、小学生の頃から幾度となく引越を余儀なくされ、その為に親友と言えるような友達は多くなかった。
引越先でのいくつもの出会いと、その後に待っている辛い別れを繰り返すうちに、孝介は一人で居る事を好むようになる。
それが、孝介にとって一番苦しまずにすむ選択だった。
両親は忙しくて家にいない事が多い上に友達が少ないという環境の中で孝介をずっと支えてきたのは、「無能ちゃん」と呼ばれる人工人格プログラムだった。
そして二年前・・・・引越が多くなる前にずっと暮らしていた場所、港の丘町に孝介は再び戻って来た。
他の土地での暮らしと同じく一人で居る事を好んでいた孝介。
そんな彼に、何かと世話を焼く少女・成田香澄。
また、兄と慕ってくる無邪気な従妹の斐川奈美。
初めはそんな状況を煙たがっていた孝介だが徐々に打ち解けていき、他の土地よりも長い時間滞在していた事もあって、今ではずっと昔から居たかのように溶け込んでいた。
そして3度目の春を間近に控えたその日、春に引っ越さねばならない事を告げられる孝介。
風が柔らかくなり始めた季節に、この物語は始まる。

<感想>

Euphony Productionは、製作陣の違いにより、作風も結構異なっていました。
ショッキングなシーンで話題を呼んだ『神語』の製作メンバーは、後に陵辱専門のたっちーブランドをたちあげ、それが今のつるみくになっていくわけです。
他方で、このブランドの私の好きな作品の1つに、『My Friends』という作品があります。
『My Friends』は、内容自体は普通の恋愛ゲームに見えるのですが、UIであるとか、ちょっとした演出等が良くて、センスの良さを感じさせる作品だったのです。
本作は、その『My Friends』の主要メンバーによる作品となります。

本作は、近未来通信恋愛ゲームとされているとおり、近未来の通信に着目した恋愛作品となっています。
上記メンバーらによる作品らしく、本作でもUI等が凝っており、Euphony Productionらしさを感じさせる作品となっていました。
この点は好印象でしたね。

他にも、本作には、音声が付いています。
この年までの恋愛ノベルには、音声が付いていないことも多かったですし、ましてやそこに目パチ口パクも付いた作品となると、更に少なくなります。
上記のUIの点と併せて、この辺はとても好印象でした。
こういうゲームの本筋以外の部分にも手抜きをしないブランドは、私は好きですね。
ただ、厳しい見方をするならば、本作の題材の関係で、どうしても『My Friends』ほどのインパクトにはならなかったかと思います。
というのも、本作が発売された2000年というのは、PCやガジェット関係についてはいろいろ過渡期だったわけでして。
インターネットは存在し、その便利さを知っている人も増えつつあるけれど、まだ一般には普及しておらず、将来の可能性を期待させる存在でした。
携帯電話やPDAはあるけれど、今のスマホの様に何でもできるわけではなく、将来の可能性は感じるけれども、今はまだまだといった状態だったのです。
そういう時代だったからか、2000年前後には、近未来通信を題材にしたエロゲが、複数発売されました。
まぁ、皆考えることは似ていたってことですね。
そして、近未来通信を題材にするとなると、その内容にあわせて、グラフィック等もアレンジする必要が出てきます。
本作もいろいろ凝ったことをしていますが、同時期の他のブランドの作品も似た様なことをやってきているのです。
また、近未来通信を扱うならこんな感じの画面等になるかなという想像から、それを超えるような何かもなかったわけでして。
こんな感じになりそうという予想の範疇の作品なのです。
少なくとも私は、『My Friends』の時のようなセンスの良さを、本作に感じることはできませんでした。
そのため、どうしてもインパクトが弱くなってしまうわけですね。

また、この製作陣の作品の一番の弱点は、やはりストーリーとなるのでしょう。
恋愛ゲーとして、普通には楽しめるのですが、良くも悪くも普通であり、それ以上に特徴はなかったと思います。

<評価>

ゲームは様々な要素から成り立っているものであり、総合的に判断されるべきだと思います。
しかし、この時期の作品って、ストーリーの良し悪しだけで判断されがちで、それ以外の部分に特徴のある作品は、その努力が無視されがちでした。
そのため、ストーリーが平凡という印象の本作は、どうしても埋もれがちなのでしょう。
私としては、Euphony Productionはもっと評価されるべきと思いますけどね。
とはいえ、本作に関しては、ブランドらしい工夫もされているけれど、『My Friends』ほどのセンスやインパクトも感じられなかったわけで、相対的に評価は下がるのかなと思います。
したがって、総合では佳作としておきます。

ランク:C(佳作)

DL版

Last Updated on 2025-01-29 by katan

タイトルとURLをコピーしました