『ランス10 決戦』は2018年にWIN用として、アリスソフトから発売されました。
1989年(平成元年)に第1作が発売されてから、約30年。
本作はランスシリーズの完結編であり、その歩みはまさに平成エロゲの歩みでもありました。
<概要>
ゲームジャンルは、基本的にはRPGになります。
もっとも、詳細は後述しますが、ADV要素、SLG要素等が混ざりつつ、スマホRPGの色合いも強いことから、様々な要素の混ざった変則的なものになっています。
あらすじ・・・
人と魔物それぞれが住む2つの地に、大陸がわかれて千余年。
突如、魔物の大軍団が人間界への侵攻を開始した。
長く勢力争いの続いた魔物界だったが、ついに魔人ケイブリスが全てを掌握。
その矛先は人類へと向けられたのだ。
対する人類はこの期に及んでも国家間の諍いが絶えず、統率された魔軍との力量差は歴然。
混乱する首脳会談の場で、みかねたランスは立ち上がる。
「おまえら全員、俺様の部下になれ。そうしたら魔軍なんぞ俺様が潰してやる」
当然のように騒然となる場内。しかしそれはすぐに収まる。
リーザス王国、女王 リア・パラパラ・リーザス。
ゼス王国、副王 マジック・ザ・ガンジー。
ヘルマン共和国、大統領 シーラ・ヘルマン。
自由都市連合、代表 コパンドン・ドット。
東の島国 JAPAN、国主 織田香。
世界最大の宗教 AL教、法王 クルックー・モフス。
各国の首脳が一斉に同意した為だった。
それはこれまで数々の冒険で世界中の危機を救い、モノにしてきた女達だ。
ランスの元、一つになる全人類。
大戦争が始まる。
<総論>
そもそもアリスソフトというのは、1つのブランド名であり、会社自体はチャンピオンソフトという名前になります。
チャンピオンソフトは、80年代前半の、国産PCゲーが出始めた頃からゲームを作っており、当初はチャンピオンソフト名義で発売していました。
そうした作品の中には、既にアダルトゲームも何作かありましたが、かなり真面目な一般向けゲームもあったわけで、つまり、必ずしもアダルトゲーム専門ブランドではなかったのです。
同時期のPCゲーブランドとしては、スクウェアやエニックスや光栄もありましたが、それらのブランドは、やがてエロを捨てたり、或いは一般のゲーム機に主軸を移していきました。
他方で、チャンピオンソフトは、PCからもエロからも離れず、むしろ平成元年には、アダルトゲーム専門のブランドとして「アリスソフト」ブランドを発足します。
そして、エルフ等と共に、以後は業界の中心として活躍していくことになります。
シリーズ1作目が発売された89年には、他にもエルフから『ドラゴンナイト』が発売され、カクテルソフトから『きゃんきゃんバニー』が発売されました。
その後のPC98時代の中心となる3つのブランドの、それぞれの代表作の1作目が勢揃いした年であり、89年は歴史的な年だったといえるでしょう。
内容についてみてみると、当時のRPGの主人公はプレイヤーの分身の色合いが強く、あまり個性が掘り下げられていない作品が多かったわけでして。
キャラを掘り下げ、強い個性を持たせ始めたのが、『エメラルドドラゴン』など89年の作品からなのでしょう。
アダルトゲームについても、当初の女性は単にHの対象でしかなく、キャラとしてしっかり描かれていたわけではありませんでした。
きちんと描かれるようになり、その作品数が増え始めたのが、やっぱり89年なのだと思います。
したがって、ランスとシィルという、長く愛され続けるキャラが出てきたというのは、いかにも89年らしい出来事だったと言えるのでしょう。
2作目が発売されたのは、翌年の1990年になります。
1作目がADVにRPG要素が加わったのものだったのに対し、『ランス2』は、ダンジョン探索型の、いわゆる3DRPGになっています。
そして、長いアダルトゲームの歴史の中でも、年間の発売タイトルに占めるRPGの割合が最も高いのが、1990年と1991年になります。
そして、ゲーム機等のRPGとは異なり、『カオスエンジェルズ』等の影響もあったからか、この時期のアダルトゲームのRPGの多くは、3DRPGでした。
1990年発売の2作目が3DRPGであるということは、それだけで90年のアダルトゲームらしいと言えるのであり、同年を象徴すると言えるのでしょう。
3作目が発売されたのは、1991年になります。
この『ランス3』の登場により、ランスシリーズの世界観が一気に広がり、今に通じる土台が構築されることとなりました。
また、以後の主要メンバーが仲間として活躍し始め、その個性や魅力が描かれ始めるのも、この作品からであります。
したがって、この『ランス3』というのは、シリーズにとっては非常に大きな意味を持つ作品でした。
上記のとおり、1990年と1991年にはRPGが多かったのですが、1990年は3DRPG中心だったのに対し、1991年はフィールド型が主流になり、それに伴い、きちんと世界観を示すものが増え始めました。
すなわち、『ランス2』から『ランス3』への変化というのは、当時のアダルトゲームのRPGの変化とも重なるのです。
4作目が発売されたのは、1993年になります。
『ランス4』は、アダルトゲーム初のハードディスク専用作品でした。
今とは異なり、当時のハードディスクはとても高価で、欲しくても、なかなか買えるものではありませんでした。
そのため、1992年末発売の『同級生』とかFD枚数の多い作品でも、何度もFDを交換しながら遊んだものです。
専ら一般向けのPC98ゲーだけプレイする人だと、そろそろハードディスクがないと厳しいなと、高くても購入に踏み切っていた人もいたでしょう。
しかし、アダルトゲーム中心でたまに一般向けという人、おそらく大半の人がそうだったと思うのですが、そういう人の場合、ハードディスクは欲しいがまだ高い、なくてもまだプレイは何とかなるし~など、購入のタイミングを悩んでいたと思いますし、どのタイミングでハードディスクを購入するかは、当時のPCゲーマーの重大な関心事でもありました。
だから『ランス4』がハードディスク専用になったことで、ハードディスクの購入に踏み切った人も多いでしょうし、現にそういう話もよくきいたものです。
これ以降、アダルトゲームでもハードディスクを前提とした作品が増え、より大規模な作品が作りやすくなったり、基本的な品質の向上が図られるようになっていきます。
つまり『ランス4』は、アダルトゲームの大作化及び品質向上を促す、ハードディスクエロゲ時代の先駆けでもあったのです。
ここから少しナンバリングタイトルからずれていきますが、1995年には『ランス4.1』と『ランス4.2』が発売されます。
当時は、オムニバス系のADVも流行っていましたし、ショートストーリーを集めたような作品も多かったので、こういう作品もあまり違和感もなかったですかね。
ところで、この頃のアリス作品には、別売のヒントディスクというものがありまして。
ヒントディスク別売のランスシリーズは、これが最後ですが、『走り女2』という中毒性の高いゲームが含まれていたり、ランスシリーズ初のCD版も発売され、1枚でPC98、TOWNSやWINDOWSに対応するなど、試行錯誤した実験作でもあったのでしょう。
そして、1996年12月には『鬼畜王ランス』が発売されます。
本編に対するifの世界観であり、このままのペースだと本編が終わらないかもってことで、これまでため込んだ設定を、一気に出してきた作品でした。
この作品は、シリーズにとって大きな意義があるだけでなく、本格的なWIN用エロゲ時代の幕開けの象徴でもあります。
それに加えて、エルフの『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』も同じ月の発売ですし、エロゲ業界の人の発言によると、1996年がアダルトゲームの最も売れた時期ということなので、エロゲ最盛期の象徴でもあるのでしょう。
ここから2002年まで、ランスシリーズは沈黙します。
この期間というのは、葉鍵が出てきて人気ブランドになり、やがてその人気が衰え始める時期でもありまして。
見方によっては、葉鍵の盛衰というのは、ランスシリーズがお休みしていた間の、幕間の出来事でしかないようにも思えてきます。
※まぁ、実際、客観的にデータを見れば、エルフやアリスが大作を出さなかった年にだけ葉鍵が目立っただけで、エルフやアリスが大作を出した年には、エルフやアリスの作品の方が売れているんですよね。
それ故、私も葉鍵、特に鍵は信者レベルで好きではありますが、葉鍵時代みたいに語る人には違和感しかないのです。
長き沈黙を経て、2002年に『ランス5D』が発売されます。
この作品は、一応ナンバリングタイトルであるにもかかわらず、フルプライスではなく、ロープライスの作品でした。
ロープライスでの発売には、驚かれた人も多かったでしょう。
私も凄く驚きました。
驚き半分、嬉しさ半分、様々な感情がよぎったものです。
もっとも、この年のアリスは、他にも数本の、ロープライスの作品を発売しています。
当時のアリスは、既に閉塞感の漂っていた業界を危惧し、実験作の出しやすい低価格路線の開拓をし始めていたわけでして。
これまで先駆的な作品も多かったランスシリーズとしてみると、ロープライスでの発売というのもまた、ランスシリーズらしいと言えるのでしょう。
とはいえ、時代を先駆けたランスシリーズというのは、正直この辺までなのかなとは思います。
もっとも、以後も、その年を代表するような、時代を象徴する作品としては続いていきます。
2004年には、『ランス4』以来となる、フルプライスRPGの『ランス6』が発売されました。
2004年は、業界全体では既に下降していっているのですが、大作や話題作に限ってみれば、とても盛り上がった年でした。
タイプムーンの『Fate/stay night』、エルフの『下級生2』、アーベルの『ミステリート』など、ユーザーが待ち望んだ作品が幾つも出た年でしたから。
そういうお祭りに参加して対抗するには、アリスとしては、看板タイトルであるランスシリーズを、フルプライスで出すしかないでしょう。
まぁ、そんなことまでは考えていないのでしょうが、偶然であれ何であれ、お祭りイヤーに本格RPGの『ランス6』が間に合う辺り、ランスシリーズらしいなと思えてきます。
また、『ランス6』が、4以来のフルプライスRPGとして発売されたことで、一安心したファンも多かったと思います。
2006年には、実質的なランス7に相当する、『戦国ランス』が発売されます。
2007年以降、エロゲの存在感が薄まったという意見は、何度も目にしています。
言い換えれば、2006年までは一応存在感があったわけで、そこには『戦国ランス』の存在も欠かせないのでしょうし、『戦国ランス』は2006年エロゲの象徴と言えるのでしょう。
内容的に何か意義のあった作品でもないのですが、これまでのようなタイトルの数字を廃したことも大きいのか、『戦国ランス』でランスデビューしたという人も多く、新規ユーザー獲得という観点からは、発売されたこと自体に意義のあった作品と言えるでしょう。
余談ですが、私はエロゲという言葉よりもアダルトゲームという言葉の方が好きです。
実際、PC98やWIN95初期の作品くらいまでは、アダルトゲームという言葉の方が相応しかったと思います。
しかし、次第にエロゲという言葉が浸透し始め、アリス自身もエロゲメーカーと称するようになり、そうした時代の変化を受け、今の私は、90年代までの作品についてはアダルトゲーム、ゼロ年代以降の作品についてはエロゲという表現を用いることが多くなっており、結果として言葉が混在しております。
今後もコンスタントに発売されるのかと思いきや、意外と待たされて、2011年に発売されたのが、
実質的に8に相当する『ランス・クエスト』でした。
まぁ、『鬼畜王ランス』で燃え尽きて数年空いたことを踏まえれば、『戦国ランス』の後に時間がかかったのも、何となく分かりますけどね。
いずれにしろ、2011年という今世紀に入ってからの屈指のエロゲ豊作年に、フルプライスの本格RPGを出してくるあたり、やっぱりランスシリーズらしいのかなと。
また、翌年には『ランス・クエスト』のアペンドディスクが発売されます。
私なんかは古い時代の考えが抜けきらないので、アペンドディスクとか何か嫌だし、たぶんランスファンにはそういう人も多いと思うのですが、この時期のゲームにはアペンドディスクのある作品も、少なからず出てきていましたからね。
時代によって絶えず形を変えてきたランスシリーズとしては、これもまた「らしさ」と言えるのでしょう。
2014年には『ランス9』が発売されます。
ここから、これまでいろいろ広がっていた風呂敷を、たたみに入っています。
ランスは10作目で完結するとは、大分前から言われていたことではあります。
しかし、正直なところ、それを本気で信じていた人は少なかったでしょう。
そもそも本当に本編が完結するのかも怪しいし、仮に完結するとしても、宣言通りに10作になるとも限らないですしね。
『ランス9』が発売されたことで、ようやくランス本編完結が現実味を帯びてきたのです。
そうして、2018年、平成元年に始まったこのシリーズは、時代と共に変化をし続けながらも、平成ももう終わりという段階に至り、遂にこの『ランス10』で完結したのです。
<ゲームデザイン>
というわけで、ここから具体的な中身に入っていきますが、長々とこれまでを振り返ってきたのは、別に思い出に浸っているわけでもないわけでして。
上記の部分を通して言いたいのは、ランスシリーズには、ファンの心を掴み続ける「変わらない」部分がありつつも、マンネリを防止しつつ、世の流れに合わせた、時代とともに「変わり続ける」部分があるということです。
そして、特にゲームデザインに関しては、作品ごとに変え続けていました部分でもあるのでしょう。
本作は、一応RPGではあるのですが、SLGのような基本画面と、ADVとしての構造ももっています。
本作をプレイした人なら誰しも感じるでしょうが、これ、RPG的な部分をもっと削って、『鬼畜王ランス』や『戦国ランス』みたいな構造にした方が作りやすかったと思います。
作る方も作りやすかっただろうし、『鬼畜王ランス』や『戦国ランス』は熱狂的なファンも多く好評なのですから、仮に普通の平凡なクリエイターが本作を作るならば、鬼畜王・戦国路線で作ると思います。
でも、『ランス10』は、その道を選ばなかったわけでして。
『ランス10』の戦闘を見てみると、スマホRPGのような構造をしています。
これは、正直なところ、大作なはずなのにお手軽なスマホっぽいということに、最初は抵抗がありましたし、今でも主観的にはあまり好きではありません。
そもそも、RPGの自由さとSLGの制約という、それぞれのジャンルの持つ魅力が混ざりあうことで、互いに魅力を消しあっているようでもありますしね。
だから本作のシステムが全て成功とまでは思わないし、単純に自分が楽しめるかという観点でいうならば、鬼畜王・戦国路線の方が楽しめたと思います。
しかし、仮に鬼畜王・戦国路線で本作が発売されていたら、主観的には楽しめたとしても、おそらく私は、作品としては高く評価しなかったでしょうし、むしろ何故またこれなのかと、酷評すらしたかもしれません。
いつも言っていますが、私は自分の好みと評価は別ですので。
つまり、同じようなことをやっても、それでは単純に作品としての魅力がなくなるだけでなく、時代に併せて絶えず変化してきた、ランスシリーズらしさがないからです。
本作のシステムというのは、今っぽいという点で、時代に併せて変化してきたシリーズらしさを有しており、シリーズ最終作として、シリーズの魂を受け継いだ作品といえるのでしょう。
もちろん、ゲームデザインだけ今風に変えても、中身が伴わなければ意味はありません。
その点、本作は、試行錯誤を繰り返しながらも、常にギリギリで切り抜けられるような、絶妙なバランスをしております。
そのため、プレイをしていて、これは非常に良く練られてあるなと思いました。
また周回要素も豊富であることから、ゲームとして十分に楽しめるようになっていて、とても満足できる内容になっていました。
私は、これはこれで、個々人の好みを別とするならば、一つの方向性として十分良く出来ていたと思います。
ただ、個々人の好みという点では、少し好みは分かれるのかなという点は指摘しておきます。
すなわち、上記のとおりランスシリーズというのは、ゲームジャンル一つをみても、定まった形のある作品ではありません。
当初はADVであり、その後は本格RPGになったり、SLGになったりと、いろいろですからね。
また、一つのジャンルにおさまるものではなく、実質的には複数のジャンルを複合させたものもあり、枠に当てはめて考えることができないのです。
だから頭の固い人、例えばRPGはこうあるべしとか、理想的なRPG像とかがあって、それに合わないと楽しめないような人が、本作は「RPGだと決めつけて」プレイすると、SLGやADV的な制約の多い本作は、おそらく楽しみきれないと思います。
本作は、確かにジャンル名にRPGとはあるけれど、本質的には制約とフラグ管理が中心であり、つまりはSLG+ADVなんですよね。
ランスシリーズは固定観念に捉われない自由な作品なんだと、ありのままの姿を受けいることができず、ジャンルに対する固定観念という色眼鏡で見てしまうと、好き嫌いが出てしまうのだと思います。
また、引継ぎについても、本作の場合、ユーザー自身に蓄積された経験と理解度こそが、次回プレイに対する最大の利点でもありまして。
だから経験したことを元に考えれば、次第に何とかなるのだけれど、強くてニューゲーム当然世代みたいな、ゲーム側から与えられるのが当たり前に思う世代には、本作の周回が不親切に見えるかもしれないと思いますね。
<キャラ>
面白いシリーズものを続けるには、マンネリにならないよう変わり続ける部分以上に、ファンの心を掴んで離さない、変わらない魅力が必要なのでしょう。
そして、ランスシリーズの場合、それがキャラの魅力なのであり、同時にシリーズ最大の魅力でもあるのでしょう。
主人公であるランスや、ヒロインたち一人一人については、ここではあえて書きません。
まぁ、個人的には、魔想志津香と見当かなみが好きですけどねw
単に魅力的なキャラというだけならば、他所の作品にも一杯いるのでしょうが、ランスシリーズが本当に凄いのは、作品が増えるたびに登場キャラがどんどん増えていき、非常に多くのキャラが登場しているにもかかわらず、どのキャラも被らず、しっかりと描き分けていることです。
一つの場面で多数のキャラがしゃべる場面もありますが、誰がしゃべっているのかをいちいち確認しなくても、きちんと誰が誰だか分かるんですよね。
単純な属性の記号化や変な語尾をつけるとか、そういう表面的なごまかしだけだったら、登場キャラが増えていくと、いずれどこかで破綻していたことでしょう。
このシリーズの最大の魅力はキャラであるとは、これまでにも何度も書いてきたと思いますが、その本当の凄さというのは、実は私は、きちんと理解しきれていなかったのではないかと思うわけでして。
作品が出るたびに、そして登場キャラが増えていくたびに、ランスシリーズの凄さというのを、あらためて認識させられるように思います。
<ストーリー>
ストーリーに関しては、まずは、しっかりまとめ上げて終わらせてくれて、本当にありがとうと言いたいです。
こんな長期に及ぶシリーズ作品で、どんどん規模も膨れ上がっていったのに、それでもしっかり完結したケースなんて、他の媒体を見てもそうはないでしょう。
ランスシリーズの完結にリアルタイムで立ち会えた、それだけでも、ランスシリーズをやっていて良かったなと、ひいてはアダルトゲームを続けてきて良かったなと、本当にそう思います。
たぶん、こういう経験は、もう今後の人生の中ではないでしょうからね。
本作単独で見るならば、魔軍の侵攻による絶望的な状況が、ゲームシステムと絡みあって、とてもよく表現できていたと思います。
世界が危機に瀕しているはずなのに、進行自体は、なんかのほほんとしている作品も多い中、本作は、終始ヒリヒリするようなギリギリの感覚でしたからね。
それだけに、活路を見出し光明が見えてきた時には、その喜びも大きかったわけでして。
で、喜んだ矢先に、また次の絶望に陥るという、本当にハラハラドキドキの展開で、終始テンポ良く楽しむことができました。
ちなみに、作品のどういうところを評価するかは人それぞれなのかもしれませんが、私はゲームにおける物語には、小説や漫画やアニメではできないような表現を求めますので、こういうゲームシステムとストーリーがマッチすることで、その相乗効果で、より一層楽しめる作品というのは、非常に高ポイントとなります。
というわけで、非常に満足したという前提のもと、少しだけ個人的に感じたことも付け加えておきます。
本作のストーリーは、1部と2部からなる2部構成になっています。
もし1部を、ハッピーな形で大団円で終わらせたとしても、おそらくほぼ全てのユーザーが満足したことでしょう。
面白かった、楽しかった、だけで終わらせるならば、むしろ1部をハッピーエンドにして、それで終わらせた方が良かったとすら思いますし。
しかし、本作には、衝撃の1部の終わり方の後、予想もしない展開で始まる2部がありました。
そして、そこで描かれるストーリーに触れたことで、本当にもうランスシリーズは終わったのだなと痛感したわけでして。
いや~もう、すっかりランスロスですよw
というか、そのままエロゲロスな勢いです。
2部をプレイしたことで、満足感もさることながら、それ以上に喪失感の方が大きくなってしまったんですよね。
ああいう形の2部がなければ、満足感はあっても、ここまで喪失感はなかったんじゃないかな。
あえてこの2部を用意するあたり、アリスは本当にランスシリーズを終わらせたんだなと、もう全部やりきったんだなと思いました。
まぁ、ランスの孫らの活躍とか、別の機会に見てみたい気もしますけどね。
最後のEDは、不覚にも涙が出てきました。
ランスシリーズで涙が出てくるとは、夢にも思いませんでしたよ。
ランスのシィルに対する、たったひとこと、それだけでもう胸が一杯になりました。
私は、もしかしたら、そのセリフを見たいがために、ここまでやってきたのかもしれません。
長く、ながく、ずっと触れ続けてきただけに、いろんな感情が湧き上がってきてしまいますが、端的に表現するならば、本当に「最高」でした。
<その他、感想>
その他として、少し気になった点でもあるのですが・・・
本作は、ランスシリーズの最終作であり、その集大成なんですよね。
でも、プレイしていると、シリーズの集大成というより、何だかアリスの集大成になっているような気がして。
本作には、闘神都市の設定も出てきますし、CGとかで女の子モンスターにも結構割いています。
確かに、闘神都市は、アリスの看板タイトルです。
また、女の子モンスターを捕獲する作品とかも、アリスでは古くからあります。
だからアリスの遺作であるとか、アリスの集大成として出すならば、そうした要素を入れたり、枠を割くのも納得なのですよ。
でも、ランスシリーズの集大成というならば、闘神都市の設定を入れる必要はないし、女の子モンスターとかに割くCGがあるならば、その分を主要キャラとか、イベントシーンに割り当てろよとか思ってしまいます。
つまり、ランスシリーズの集大成として作るならば、もう少し本作と違った方向性になったと思うわけでして。
ランスシリーズの最終作をプレイしているはずなのに、何だろう、自分はアリスの最終作でもやっているのだろうかと、そういう気持ちになったことが、喪失感の遠因にもなっているように思います。
そういう意味では、上記の2部の存在もそうですよね。
2部は、ユーザーをルドラサウムに例えた、いわゆるメタ構造の作品とも言えるわけでして。
余談ですが、メタ構造の作品については、私は最近は苦言を呈することの方が多いのだけれど、それは安易にユーザーに語り掛けるだけで、きちんとストーリー内に落とし込めていないからであって、本作のようにストーリー内に昇華できているのであれば、むしろプラス要素になります。
だからプラスにはなりうるのだけれど・・・、スタッフからの我々に対する、ランスワールドは楽しんでもらえましたかのメッセージに、何だかお別れを告げられているような気にもなってしまって。
まぁ、考えすぎなのでしょうけれど・・・、
アリス、これからもエロゲ作り続けますよね・・・?
<評価>
総合では、文句なしに名作といえるでしょう。
30年の長きにわたり続いてきたシリーズを、こうして見事に完結に導いたスタッフには、本当に感謝の念に堪えません。
私の頭の中には、30年以上のアダルトゲームの記憶があります。
何かを思い出すにあたっては、節目となる作品、象徴となる作品が鍵となってくるのですが、そのたびにランスシリーズの存在が思い出されるのでしょう。
ランスシリーズの歩みは、私のエロゲ人生の歩みでもあり、平成エロゲの歩みでもありました。
アダルトゲームの趣味なんてのは、外で他人に言いにくいものではあります。
それでも、アダルトゲームをエロゲを続けてきて良かった、ランスシリーズに出合えて良かったと思いますし、何よりも本当に、最高の作品でした。
ランク:AAA(傑作)
Last Updated on 2024-09-15 by katan




コメント
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アリスソフトも途中主要スタッフが抜けたり、ランスシリーズが果たして完結するのだろうかと不安もありながら続いてきましたが、そんな中で発売された本作は本当に最高の作品でした。
安易に鬼畜王のシステムを使い回さずに一新されたゲームデザインは、魔軍との戦いを上手く表現しつつ、絶望的なギリギリの綱渡りをプレイヤーに体感させる良く練られた内容でした。
そして、やはりこのシリーズの一番の魅力はキャラクターにありますね。
これだけ登場人物が多いにも関わらず、どのキャラも魅力的に見えるのは正直凄いなと思いますね。
最後のEDを見ながら、この作品をプレイ出来て良かったなと心から思えましたね。
あのランスの台詞には感動しました。
長きに渡って続いてきて、変わらない魅力を持ちつつも、常に挑戦を繰り返してきたアリスソフトの集大成ともいえる作品でした。
アリスソフトのスタッフの皆様ありがとうございます。
そしてkatanさんも素晴らしい感想ありがとうございます。
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なんとも物悲しくも、自分のエロゲ愛を再確認させるような記事でした、乙です。
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言い忘れてたので少し補足します。
私はここ数年はWindowsタブレットでPCゲームを結構プレイしてるのですが、近年のアリスソフト作品はタブレットなどタッチパネルでもプレイしやすいように作られてます。
ランスシリーズだとリメイクのランス03とランス10はタブレットでもプレイしやすかったので、スマホゲームっぽい感じも、タッチパネルに対応して時代に合わせてるのかなと感じました。
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>yukimuraさん
記事を書いているとき、このシステムだと、タブレットに対応していないと、不完全だよなと思いつつ、自分ではそこまで試していなかったので、書いていませんでした。
タッチパネルでの遊びやすさも考慮してあるとなると、より一層、「さすが」って感じですね。
貴重な情報、ありがとうでした。
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ランス4からランス5Dまでの空白期間が有った時はエルフの某シリーズ同様このままで終わってしまうのかな
と思ってましたが5Dの小粒でピリリと辛いのヒット化でランスを当時知らなかった層もうまく取り込んでからは
TADAさんも本腰いれて完結までは時間がかかってもやり遂げようとされてたのでどう最後はまとめてくれるのだろうと期待以上の結末でした。
ゲーム全般通しても中弛みせず設定破綻せずにここまで綺麗に主人公とパートナーの生涯を描ききった作品に小説を読み終えた充足感に近い思いを感じました。
旧ランス1~3は設定矛盾があるので新ランス1~3プレイを改めてするとほぼ互換性のあるキャラやストーリー設定に巧く変えられていました。
ランス4が恐らくいつかはリメイクされるのだろうと思いますが新ランス2が現状購入方法に難があるので
ランス10プレイ後に初作からやり直したい人向けにランス1~4パックで販売される機会があればいいなと思います。
公式へ要望済み。
今後のTADAさん主体での制作は未定ですがアリスソフトの今後の新作はふみゃさんとよーいちろーさんの2作品が進行中
次の新作になるであろう『ドーナドーナ』(『はるうられ』のいってんちろくさん)と3つの企画が存在しているのでまだまだアリスはエロゲー作ると思いますよ。
アリスソフトといえばBGMが私には魅力に感じるのですが本作も重厚なストーリーを支えるいい仕事をしていて
一時期のタイトルだと無難に仕上げてるなとの印象を私はうけていたのですが本作はそんな思いを払拭してくれるアリスらしさのあるBGM揃いでした。
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>灰の風来人
お久しぶりです。
海外ではMYSTシリーズが、25周年記念で全部入りパックを作るようなので、ランスシリーズも、30周年記念で、全部入りパックを出してほしいですね。
ランス3までは、ちょっと画質的に厳しいものもあったので、リメイクも分かるのですが、ランス4は、16色の表現方法としては、十分に綺麗だと思っているので、個人的にはリメイクもいらないと思っているのですが、リメイクされるんですかね。とりあえず、ゲームバランスは変えないでほしいです。
このランス10で、アリスはまだまだ大丈夫と思えましたが、ランスシリーズ以外で心底楽しめた作品は、もう長いこと出ていない気もするので、この勢いのまま、面白い新作を作ってほしいですね。