『ラジオキャロライン』は2004年にWIN用として、御茶ノ水電子製作所から発売されました。
60年代のイングランドを舞台にした、ロードムービー風ADV。
こういう作品を、自分は待っていたのです。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
商品紹介・・・イングランドの東北、ノーザンブリア。
ロンドンの賑やかさからは遠くかけ離れた、イギリスの辺境。
流浪のアンティークブローカーである主人公、エドワード(エド)は、ふとしたことから一人の少女を自分の車に乗せる。
ユーニーと名乗った少女は大金をちらつかせ、「海が見たいから連れていって」と、おかしな事を言い始める。
生活に困っていたエドはそのとても簡単な仕事を二つ返事で受け、ユーニーを北海の見える街へ案内するが・・・。
1960年代のイギリスを舞台に少女と男が織り成す儚く切ない物語を、ロードムービー風味のアドベンチャーゲームに仕上げました。
それは、遠い昔、小さな映画館で流れていた古い映画を思い起こさせるような、そんなハートフルなヒューマンストーリーです。
<感想>
いつの時代にも、もうゲームのネタは出尽くしたとか言い出す、発想力の乏しい人がいます。
しかし、こういう作品があれば良いのになと頭の中で思い描いている作品はありますし、そのストックはまだいくつもあります。
少なくともそれらが出尽くすまでは、私はネタが出尽くしたなどという表現はしないでしょう。
もちろん、中には私が望んでいて、それに近い物が現実化したケースもあり、本作などはまさにそうなるのでしょう。
本作を見つけた時、そうなんだよ、こういうのをやりたかった(作りたかった)んだよと思ったものでした。
さて、本作はロードムービー風ADVと題されています。
主な登場人物は主人公である、うらぶれた男性のエドと、ユーニーという名の少女と、エドの愛犬であるビーグルのフェンディです。
60年代のイングランドの東北部を舞台とし、エドがユーニーから海を見せて欲しいと依頼されたことから、物語が始まります。
旅を続けるうちに、やがてユーニーの真の目的や素性が分ってくるのですが、むしろ本作の本質は二人と一匹による旅の過程そのものにあるのでしょう。
ゲームジャンルはノベル系ADVになりますが、むしろインタラクティブノベルとかの表現の方が、本作の場合はしっくりくるかもしれませんね。
本作にはロードマップシステムというのがあり、画面にイングランドの地図が表示され、目的地を選ぶことになります。
これは、ゲーム性という観点からは、あまり効果的でもなかったかもしれませんが、旅をしているというのが視覚的にも表現され、物語への感情移入を高めるという効果は有していたのでしょう。
目的地を選択すると、エドのミニクーパーが走り出します。
そして、目的地までは車内のユーニーの視点から景色が映され、しかもきちんと景色が動いて流れていくのです。

ここが、この作品の最大の特徴なのでしょう。
流れる雲に、流れる海、流れる景色。
ユーニーの視線の先、車窓から見える景色は常に変化していきますし、目的地に着いた後も、背景の雲が絶えず横に流れていきます。
そうした常に変化のある背景の中に佇むことにより、二人と一匹と同化し、まるで自分もそこにいるような錯覚を覚えるのです。
これなんだよな~これがやりたかった。
静かに流れる雲の下で、ゆったりとした動きだけど、それでも確実に、そのゆったりとした時の流れを感じさせる中で、旅を感じさせてくれるってゲームがやりたかったのですよ。
本作は、まさにど真ん中の作品だったのです。
まぁ厳密に言うならば、自分の中ではボーイミーツガールな物を思い浮かべていたのに対し、本作はオッサンが少女を案内するという形から入りますので、少し違いはありますけどね。
でも、本作も、ある意味ボーイミーツではありますし、これはこれで良い物だよなって。
写真を加工した背景からイングランド東北部の雰囲気が良く伝わってきますし、更にサウンドも非常にマッチしていましたからね。
ロードムービー風と強く感じさせるADVって、他に探してもほとんどないでしょうし、作品に漂うノスタルジックな印象も相まって、とにかく雰囲気が抜群の作品でしたね。
キャラも画面上で表示されるのはユーニーだけですが、ちょっとツンデレさんなユーニーだけでなく、旅先で出会う人々も皆、キャラが立っていましたし、とても良かったと思います。
<評価>
私は作り手ではないので、こういう表現は変なのですが、あぁ~やられた~って印象を抱いた作品でした。
細かい操作性とかの問題もありますし、小粒な作品ということもあり、点数の方はそれ程高くなっていませんが、それでも名作といえるでしょう。
主観面や長所だけで判断するならば文句なしに傑作と言える作品であり、とても大好きで印象深い作品でした。
ゲーム内の期間はほんの数日でしかないですし、小粒の作品ということでプレイ時間も特に長い作品でもありません。
でも、一気に進めるのは何か勿体ないと思える作品でして。
わざと遠回りをしながら、一つの目的地に着くまでを一区切りにして、ゆったりとした気持ちでプレイしてもらいたいですね。
それにより、エドとユーニーとフェンディと一緒の気持ちになり、切なくもホッとするような、心の温まる気持ちになれるのでしょう。
何か面白い作品はないかなって探す場合、どうしても点数とか評価って気になるし、目安になりやすいのも確かです。
だから私も、一つの指標になるようにランクという大雑把な方法は用いつつも、あまりそういうものだけで判断されたくないなというのもあって、それであえて細かい点数を表示することは避けています。
つまりね、点数に表れない良さ、点が伸びやすい大作って観点からは漏れる作品の中にも、とても味のある作品は存在するのであり、今まで私が高く評価してきた作品には無い良さというものを、本作は確実に有しているわけでして。
こういう作品を一人でも多く知ることができ、一人でも多く魅力に気付いて欲しいなと。
そこに少しでも貢献できるのならば、この文章も少しは意味があるのかなと思いますね。
まぁ他人はどうであれ、私はこの作品に出合えて、とても良かったです。
Last Updated on 2026-02-02 by katan



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