コイバナ恋愛

2023

『コイバナ恋愛』は2023年にWIN用として、ASa Projectから発売されました。

複数のカップルが登場しつつも、ASa Projectらしく仕上げた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
少子化とかなんとかそういう大人の事情で、通っていた男子校がなくなり、今年から近隣のお嬢様学校と名高い桜華学園の共学化に合わせて編入することになった主人公・叶太とその友人野郎たち。
「「「せっかくだから彼女が欲しい!!!」」」
なんてありふれた欲望を持って、彼らはまだ見ぬ清楚系お嬢様女子たちとの新生活に胸を弾ませていた。
そして待ちに待った共学化初日、いざ花園へ!と一歩を踏み出したが────。
「「「なんか思ってたんと違う!!!」」」
イメージとはほど遠い女子たちの生態に頭を抱えてしまう。
だが、思ってたんと違ったのは女子たちも同じで。
「あたしの王子様……思ってたんと違った」
お互い思い通りにはならない展開ばかり。
だけどそれでも恋がしたい! 恋バナがしたい!!
恋愛弱者が身を寄せ合って、恋バナを武器に立ち上がる────そんな青春恋バナ野郎たちの、バカらしくも愛おしい恋愛奮闘記。

<感想>

ASa Projectの作品って、感動したりインパクトのあるストーリーがあるわけでもなく、グラフィックや演出が飛びぬけているわけでもなく、ゲームデザインが凝っているわけでもありません。
ただ、恋愛ゲーの共通ルートにおける日常会話の楽しさだけはガチというか、この部分の面白さ、単純にプレイしていて楽しいって思える点に関しては、現在のエロゲブランドの中でも屈指のブランドなのだと思います。
その一番の魅力をどう使うのか、本作を突き詰めると、そこに行きつくように思いました。

本作は主人公やヒロインらのコイバナに注目した作品であり、特徴としては、主人公とヒロインの他に、3組の友人らのカップルが登場します。
このサブカップルというのは、エロゲにおいて、実に扱いの難しい存在でもあります。
というのも、そもそも、主人公とヒロインの物語やCGがしっかりとあって、そのうえでオマケでサブカップルが加わるのが、作品としては理想なのでしょう。
しかし実際には、予算等の関係からか、CG枚数や物語の分量には限りがあって、サブカプを加えると、その分だけメインの主人公らの扱いが薄くなってしまいがちです。
そのため、サブカプのキャラが弱いと、こんな余計なものに分量を割くくらいなら、本筋の主人公とヒロインの関係を厚くしろって言われがちなのです。
他方、サブカプの描写がしっかりしていれば、それはそれで、何でこのサブヒロインを攻略できないのかと言われてしまいます。
なんなら、その魅力的なサブヒロインは主人公以外の他人のものになるわけですから、軽い寝取られ気分すら味わいかねません。
良くてもだめ、悪くてもだめということで、それだけ扱いが難しい存在なのです。

ここで先ほどの話に戻ります。
通常の恋愛ゲームの場合、共通ルートという名の日常パートがあって、その後、各ヒロインとの個別ルートに別れていきます。
ストーリー性の高い作品、ストーリーに自信のあるブランドは、個別ルートで勝負となるのでしょうし、その部分に強みがあるならば、共通ルートは短めの方が良いのでしょう。
しかし、ASa Projectのような日常パートが強くて、逆にストーリー性に難があるブランドについては、共通を短くして個別を長くしても、持ち味が薄くなってしまうだけです。
日常パートが強いけどストーリー性に難があるブランドは、その一番の魅力を最大限に活かしたいのであれば、個別を捨てて共通ルートに全振りしてしまうのも、方向性としてはありなのかもしれません。

本作は、複数のサブカプが登場することにより、そこに一定の分量が割かれることから、その分だけ主人公とヒロインの関係性の描写が薄くなっています。
個別ルートも、あっさりした内容ですので、個別ルートの充実を求めた人ほど、本作は物足りなく感じることでしょう。
他方で、もともと強かった日常パートは、多数のキャラ、多数のカプが入り混じることにより、更に面白さが増しています。
つまり本作は、一般的な恋愛ノベルゲーの構造のうち、弱い部分はあっさり済ませ、強い部分は更に補強したような構造をしているわけで、かなり偏った構造の作品といえるのでしょう。

あとはもう、好みの問題になるでしょうか。
典型的な恋愛ノベルゲーの構造を維持しつつ、ASa Project風に仕上げることを期待した人だと、本作は楽しめないように思います。
他方で、本作は短所の補強よりも長所を更に活かす方向性の作品であることから、刺さる人にはより刺さる内容と言えるのでしょう。
個人的には、毒にも薬にもならない作品よりも、多少のマイナス要素があっても、それ以上にプラス要素がある作品の方が好みです。
そのため、多少歪な構造だとは思いつつも、本作は楽しくて好きでした。

<評価>

総合でも良作といえるでしょう。

ブランドの良いところを突き詰めてきたということで、一見すると王道恋愛もののようでいながら、実は本作は攻めてきた作品といえるのでしょうね。

ランク:B-(良作)

DL版

Last Updated on 2025-03-16 by katan

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