『プリンセスはストリートガール?』は1989年にPC88用として、全流通から発売されました。
元祖・・・になるのかな?
非常に珍しいプリンセスを育てる育成ADVでした。
<感想>
育成(調教)物の流れを見てますと、育成(調教)SLGが先に流行って、それから次第に育成(調教)ADVが増えていったように思えます。
アダルトゲームの調教物も、まぁ調教ないし育成もの自体数が少ないですが、たまに発売されても、近年はめっきりADVばっかりになりましたしね。
このSLGからADVへという大きな流れのために盲点となりやすいのですが、実は育成物としてはSLGより先にADVが出ているのです。
順番としては、育成ADV→育成SLG→調教SLG→調教ADVといったところでしょうか。
本作は、結婚相手を探していた王子様が、目にとめた娼婦のアニーを立派な花嫁に育てることを目的としています。
つまり、明確に育成を意図したゲームなわけです。
90年代ですと、こういう育成を意図した作品は、ゲームシステムもSLGになることが大半です。
しかし本作は、システムがSLGではなかったんですね。
システムは、4択で表示された文章の中から行動を選択します。
具体的には、歩き方・話し方・食事・ダンスの4項目の中から、その日する内容を選びます。
そして、どこでどういう方針でやるかを選択していき、選択した内容で展開が変わっていくわけです。
やっていることは育成SLGと似ているようでもありますが、パラメーターの類は一切表示されません。
ADVのフラグや好感度のように、内部での積み重ねで展開が変わっていきます。
数値の変動やランダム性を楽しむっていう方向性ではないので、SLGではなく、やっぱりADVとなるわけです。
というか、選択肢に応じて展開が変化していきますので、システム的には今のノベル系ADVと同じですね。
ノベルゲーで育成ないし調教を扱った作品がありますが、それらと構造的には同じですので、近年多い育成(調教)ADVの元祖とは言えるかと思います。
育成物はADVとSLGの垣根が曖昧になりやすく、育成SLGの元祖となると、『プリンセスメーカー』なのか『ぶりんぐあっぷ』なのか、見解は分かれてくるかと思います。
でも、システム面での区分ではなく、育成物という内容面で見た場合、本作の方が先と言えることは間違いありません。
これより先に明確に育成を意識した作品があるかは分かりませんが、私が今思い出せる中では本作が最も古いですね。
さて、そうなると斬新な作品として評価したくもなりますが、いつも斬新な試みをしてくるのが全流通なら、中身が伴わないのも全流通だったりします。
絵はショボイし、ストーリーも大して面白いわけでもないですしね。
また、なまじ育成という目的があるために、他の全流通の作品よりも分岐による展開の幅も狭いですし。
ゲームの出来としては、せいぜい佳作くらいなのではないでしょうか。
もっとも、私はしょぼいと言いつつ、キャラデザ自体は気に入ってました。
頻繁にHシーンが入るので、だれにくい作りになってましたし、何よりエロのある育成物っていうのが斬新だったので、結構気に入っていました。
そういうわけで、斬新さの分を加味して、総合的には良作と判断しておきたいと思います。
それにしてもまぁ、どこに着眼してどこに力を入れるかは難しいですね。
ご存知の方も多いように、プリメは育成SLG元祖にして不朽の名作と高い評価を得ています。
ぶりんぐあっぷはパラメーターがあるので一見SLGっぽいですが、数値が次のCGを見れるまでの目安程度の意味合いがなく、ゲームシステムに反映されていませんでした。
そのため育成SLGの元祖と呼ばれないという不遇にもあったわけですが、パラメーターを表示したことで、たまにプリメと比較されて名前も挙がります。
しかし同じ育成物でも、パラメーターを表示しなかった本作は、『ぶりんぐあっぷ』以上にマイナーだったりします。
パラメーターを表示するか、表示するとしてそれをゲームの肝に据えるのか。
製作する際の判断の分かれ目はそこにあったのでしょうが、正直どうでも良いような些細な違いにも思えます。
でも、その些細な違いが後々に大きく影響してくるのですから、何を柱に据えるかは本当に大事なんだなと思えてきますね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2025-05-17 by katan
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