プライムガール

2001

『プライムガール』は2001年にWIN用として、TRIFACTから発売されました。

意外と数が少ない、大人たちによる大人のための恋愛ゲームでした。

<感想>

TRIFACTと言うと馴染みがない人が多いかと思いますが、プライムガールを制作したメンバーは、PSで「リフレインラブ」シリーズを作った人たちになります。
プラットフォームをPSからアダルトゲームに代えたわけで、これは待ち望んでいた人も多かったでしょう。

リフレインラブシリーズもキャラの年齢が高めでしたが、プライムガールもその路線を踏襲しています。
つまり主人公はサラリーマンですし、ヒロインもOLとか社会人ばかりで、大人な恋愛ドラマが繰り広げられるわけです。

こういうストーリーは、子供は楽しめないでしょうからね。
家庭用ゲーム機では人気が出にくいのも仕方ないのかもしれません。
しかし、アダルトゲームのプレイヤーは大人がほとんどなわけで、プレイ層に合った内容という意味では、もっとこういうゲームがあってもおかしくないように思いますし、評価されても不思議ではないと思うのですよ。
高校を舞台にした恋愛ゲームばっかりってのがむしろ異常なのであって、本当は本作のようなゲームが多数派でも、アダルトゲームとしては全く違和感がないと思います。
それがそうならない辺りに実際のユーザー層が見て取れるようで、毎度の事ながら不思議な気持ちになるのです。

少しずれてしまいましたが、本作は堀幸司さんがシナリオということで、今回も安定したストーリーが楽しめます。
アダルトゲームと言いつつ、本当に大人向けな話を書けるライターがほとんどいない中では、このライターの存在は一際目立つわけでして。
そういう意味では非常に貴重な人材であり、もっと高く評価されても良さそうなものですけどね。
何とも歯痒い感じですよ。

ゲームジャンルは、広い意味ではノベル系のADVで構わないでしょうか。
マップ上から移動先を選び、キャラとの会話によって好感度を上げることでゲームが進行します。

特徴的なのは「Uh-Huhシステム」と呼ばれるもので、これは相手の台詞中に色がついている場合、それをクリックすると相槌をうったことになり、つまりは興味を持ったということで、それに関した会話へと微妙に内容が変更されるのです。


必ずしも斬新というわけではなく、この作品で更に進化したとも言い切れないわけで、このシステムの存在から直ちに名作につながるとまでは言えないでしょう。
しかし、並のゲームよりは会話が自然に感じられますし、会話の駆け引きみたいなのが楽しめるのは単純に楽しいものです。
せっかくのゲームなんですから、見ているだけじゃ勿体無い。
もっとヒロインとの自由な会話を楽しみたいと思う人もいるでしょうし、そういう人には向いている作品だと思いますね。
というか、程度の差はあれADVの基本はキャラ同士の会話ですし、特に会話が主体となるゲームなんかでは、こういうシステムはどんどん取り入れてもらいたいものです。

グラフィックも、原画は主流の萌えとは明らかに路線が異なりますが、目パチ口パクなどの動きもありますし、画質も非常に高品質でしたね。
グラフィック面では、十分に長所と呼べる質を有していたように思います。

<評価>

本作は萌えの対極にある作品ですし、突飛な展開による派手さもありません。
でも、落ち着いた自然な展開に雰囲気、動きもある高品質なグラフィック、斬新ではなくとも他ではあまり見かけない類のシステムと、全体を通してみると他のアダルトゲームとは全く異質な作品でした。
総合でも名作といえるでしょう。

アダルトゲーム市場は萌えと静止画が台頭し、全体がそういう方向性に進んでいきました。
でも同じ恋愛系という作品であっても全く異なる路線もありえたわけで、その1つの可能性がこの作品に見られるように思います。
閉塞感の漂う今のアダルトゲーム市場は、似たようなゲーム同士による牌の奪い合いになっています。
もう出し尽くしたなんてのは言い訳。
現に私はこういう路線のゲームがやりたくても、該当するゲームがほとんどないのですから。
現状を打破するにはもっと市場を広げる新しい方向性が必要なわけで、その意味ではこういうゲームにもう一度目を向けてみるのも、良いことなのかもしれませんね。

ランク:A-(名作)


Last Updated on 2025-02-12 by katan

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