『Only You -世紀末のジュリエットたち-』は、1996年にPC98用としてアリスソフトから発売されました。
ユーザークラブ専用作品ということで様々な憶測もありましたが、燃えて萌えられる良質な作品でしたね。
<概要>
鳳凰学園格闘部に所属する硬派で熱血漢な主人公「魔神 勇次」は、かわいい妹「恵」と、幼馴染の「秋月」、後輩の「美咲」、親友の「若人」と共に、日々鍛錬に励んでいた。
だが、勇次の右腕に「破滅の刻印」が現れたことで、彼の日常は崩れる。
詳細は後述しますが、ゲームジャンルはコマンド選択式ADV+RPGないし、コマンド選択式ADVに戦闘要素が加わったものとなります。
本作は通常販売が予定されていたものの、諸事情でユーザークラブの通販専用になってしまい、ユーザークラブに入らないと買えませんでした。
そういう経緯もあって、中古市場では長い間プレミアがついたり、価格が高値で安定していましたね。
他のプレミアゲーのように、何年後かに人気が出てきたというのではなく、西の横綱として人気絶頂期にあったブランドの新作で、発売時から欲しい人は一杯いるのに手に入りにくい作品ということで、知名度の高いプレミア商品でしたからね。
店でも、目立つ位置に飾ってあったものです。
また、このゲームはオマケにアンソロジーも付いていたのですが、それも完備した中古品は当時高くて手が出ないほどでした。
なお、本作にはCD版もありまして、こちらはWindows3.1及びWindows95にも対応していました。
<感想>
ストーリーは、私立鳳凰学園に通い格闘部の主将を務め世界一の格闘家だった兄・勇一を目標に、日々厳しい修行に励んでいる主人公が、ある日突然その額に「破滅の刻印」が浮かび上がり、世界を滅ぼす存在「恐怖の大王」として、各国の暗殺者から命を狙われるようになってしまうってものになります。
最近はちょっと微妙なとこもありますが。少し前までのアリスソフトってのは、自分の波長とピッタリでした。
『ONLY YOU ~世紀末のジュリエットたち~』もそんな一本。
シリアスな展開、というか熱い男たちによる熱い展開。
それでいて、随所に散りばめられているギャグ。
燃えて笑える、そのメリハリが何とも心地良かったんですよね。
本作にはタイガージョーをはじめ、熱い男たちが一杯出てきて熱い展開になります。
まさに、男の生き様を体感するゲームなのです。
ん~そういや、この頃のゲームでこういう展開自体が珍しかったかも。
ライターのイマームさんは、こういうの本当に得意だからね。
ちなみに、私は少年漫画のバトルものの類は、わりと早く飽きてしまいました。
燃える展開自体は好きなのだけれど、少年漫画的なのとか、当時は言葉がなかったけれど、今で言う厨二的なものが好きではないようです。
まぁ、少年誌であれば、卒業して読まなければ良いだけですが、18禁の作品で18歳未満向けのようなのが増えると、複雑な気分になってしまいます。
そのため、最近の燃えゲーは苦手だったりします。
今は厨二展開になるものばかりで、また制作側も厨二をあえて意識して作っている物もありまして、それで全然楽しめないのです。
燃えるシナリオゲーって言われて手を出したら、子供向けの厨二なラノベと同じような展開で萎えたとか、そんなんばかりですから。
しかし、この頃のアリスの燃え要素は、オッサンらが熱く生き様を見せるというようなものが多く、私でも楽しめる場合が多かったように思います。
もちろん、本作は野郎共の熱さだけでなく、ヒロインらも非常に可愛かったです。
通販専用になった原因とも噂されたメインヒロイン秋月まゆだけでなく、仁藤美咲や杜若あやめなど、好みの娘が多かったですね。
そもそも私は、この頃のむつみまさとさんの絵が凄く好きなんですよ。
一応、知らない人向けに補足しておきますと、上記のように、このゲームはユーザークラブの通販専用でした。
何故急遽変更されたのか、その理由は正確には発表されていませんが、当時噂されたのは、メインヒロインがときメモのメインヒロインに酷似してるからという理由でした。
だったら、『下級生』とかはどうなん?とか疑問は尽きませんが、とりあえず当時そういう噂があったのと、通販専用だったという事実だけは確かですかね。
まぁ、真相は何であれ、私の好みのど真ん中だったわけです。
また、『Only You』では、自分の選択によってはヒロイン達が犯られてしまいます。
この陵辱シーンがまた、どれもどれも激しく印象的な物が多くってね。
ヒロインたちがどの娘も可愛かっただけに、ハッピーエンドとバッドエンドの落差の大きさが余計に響いてくるんですよ。
ハッピーエンドとバッドエンドの両方があるゲームを高く評価する自分には、これは非常に刺さりましたね。
そういや、そもそも、この作品で形成されたんだっけか・・・
PC98時代までのアダルトゲームには、シナリオゲーとかストーリー中心の作品であっても、普通に陵辱要素は登場します。
しかし、ルート分岐により、あるルートは明確にハッピーエンドであり、あるルートは明確にバッドエンドを迎えるというのは、本作以前には、あまりなかったように思います。
全くの皆無でもなかったかもしれないけれど、単にハッピーとバッドがあるだけでは、良さに気付けなかったでしょう。
野球で例えるならば、速いストレートがあるからこそ、遅いスローカーブが活きるって感じですね。
優れたハッピーエンドと優れたバッドエンドの双方があるからこそ、両者を揃えたときのギャップや落差も大きくなり、楽しさが倍増していくのです。
今は、恋愛ゲームに陵辱を入れるなとか、文句を言うユーザーが増えたので、恋愛と陵辱の混ざった作品はほとんどありません。
個人的には、分離してしまったら漫画や小説と変わりなく、ゲームらしさが欠けてしまうと思うのですけどね。
プレイヤーのとった行動次第でハッピーにもなれば、信じられないようなバッドな展開にもなると。
それこそが、18禁のゲームでしかできない物語表現だと思うのですが、そう考えるのは今は少数派なんですかね。
今のユーザーは、すぐにシナリオゲーだの抜きゲーだのって分類したがるので、過去の名作に興味を持ったとしても、シナリオゲーはどれだって観点で調べるように思います。
そういう思想しかないと、本作の様な作品は見落としがちでしょうが、昔のユーザーには私のような発想の人も多かったですからね。
90年代後半には、ハッピーエンドとバッドエンドの両方を楽しめる路線の作品が、結構多かったのですよ。
ある意味、プチブームと言えたのかもしれません。
そういう点では、90年代後半までは楽しかったのですが、ゼロ年代に入ってから、特に分化の激しくなった2002年からは、私には、もの足りない作品が非常に増えたって感じなんですよね。
というわけで、このゲームの最大の評価ポイントは、実はこのハッピーエンドとバッドエンドの落差だったりします。
※そのため、バッド部分のなくなった=最大の魅力の失われたPS2用のリメイクには全く興味ありませんでした。
ゲームシステムは、上でも少し触れましたが基本はADVになります。
大雑把な形の『同級生』スタイルとでもいいましょうか。
一応時間の概念はあるけれど、そんなに細かくないんですね。
そして、移動先とかで敵と会うとRPGモードになり、戦闘画面に入ります。
だからADV+RPGであるとか、戦闘要素のある時間制限付きADVって表現になるのです。
平凡な日常パートばかりでプレイしてて眠くなるゲームが多い中、適度に混ざる戦闘のおかげで、このゲームに関してはそんな事は全く無縁でした。
それから、Shadeさんの音楽も良かったですね。
FM音源が主流だった頃に、CD-DA音源もありましたからね。
破壊力抜群です。
<評価>
こうしてみると、ストーリー・キャラ・グラフィック・サウンド・システム、どれをとってみても高水準で隙のない作品だったと思います。
当初は名作だとは思いつつも、少し抑え目に評価していたのですが、自分が今でも自然と追い求めているのは、ハッピーとバッドが同価値で併存し、両方楽しめるタイプなんですね。
その路線でいち早くユーザーに衝撃を与えた本作は、傑作扱いでも良いのかもしれませんね。
個人的には、非常に好きな作品でした。
ランク:AA-(傑作)
Last Updated on 2024-11-18 by katan
コメント
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十数年ぶりに98マシンを引っ張り出したので、XPマシンに移してプレイしたのですが、参考ページを探しているうちにこちらにたどりつきました。2008年に追加された記事があるとは・・・
(98の頃1度だけプレイして男エンドは出したのですが、朝から晩まで仕事三昧の状態ではとても自力で2度目を続ける気力もなく、放置していたのです)
・・・というわけで、再度やってみた印象ですが、
キャラ別
・タイガージョー、12年前同様いい味出してる。最高!
そのままずっと勇二を張り倒してやって欲しいくらいだ。
・美咲ぃ・・・あんたこんなツボな女の子だったのね。12年前第一印象だけでまゆ助けちゃってごめんよ。
個人的には美咲・あやめ・来夢・まゆがお気に入り。
DALK以来当時のむつみまさと氏の絵に惚れている身なので、リメイク(こちらもご本人ですが)が出ていてもこちらが私にとっての「ONLY YOU」という感じ。
システム
コマンド選択型の移動や戦闘・テキストの早送りに制限があったりテキストを見返すことができない部分が今主流のシステムを見てしまった身としては煩わしい感じ。
中古でもそれなりの価格だそうで、今から入手したい方もそれなりにいらっしゃるのでしょうね。
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>>K(中略)Iさん
はじめまして。
コメ、ありがとうございます。
美咲は当時から凄く好きでした。
まゆとどっちを選ぶか、いつも葛藤してましたし。
むつみまさとさんの絵は今のが悪いわけではないけれど、
やっぱりこの当時の頃の絵のほうが好きなんですよね。
なので同じく『ONLY YOU』はオリジナルが一番。
私は未だにテキストを見返すってことを一切しないので、
その点は気にならないかも。
だけど、ゲームを進める上での煩わしさは気になりそうですね。
このゲームに関しては、攻略記事がまだ手元に残ってるので、
何か分からない点があれば仰ってください。
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>katan様
大変遅くなり申し訳ありません。
折からの不況で苛烈な状態で(固定給です・・・)こちらに
来られませんでした。(今日も書類と格闘中)
美咲についてですが、心のやり取りを深めて行くごとに
可愛らしさが増していく感じだったのを覚えています。
「あれ、こんな反応するんだ」というのを繰り返して最後
は部屋のサボテン(だったかな)では「ええじゃん(はあと)」
という具合で・・・
程なく完全コンプリートできましたが、一つだけまゆの
「スカート引っかかり」のところでデッドロック食らって
はじめからやり直す破目に・・・やりなおしたら難なく
通ったので結局原因がわからないままとなってしまい
ました。なんでだろ・・・
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>>K(中略)Iさん
お疲れ様です。
美咲は可愛かったですよね~
細かい点は結構忘れてしまっているので、
時間を見つけてまたやりたいものです。