『OBSIDIAN (オブシディアン)』は国内では1997年に、オリジナル版は1996年にWIN用のADVとして発売されました。
その圧倒的なまでのCGのクオリティと、エッシャーを彷彿させる世界観に心を奪われてしまった作品でした。
<概要>
概要・・・消えた仲間を探し謎を解き明かすミステリーアドベンチャーゲーム。
ストーリーの中で未体験のブレインバトルが繰り広げられる。
アート、ゲームデザインの鬼才マシュー・ファスバーグがプロデュースを担当し、音楽をコンピュータミュージックの第一人者トーマス・ドルビーが担当している。
ゲームジャンルとしては、MYST系ADVになります。
ニューズウィークをはじめ、いろんな一般紙でも紹介され、今世紀最高のグラフィックと絶賛された作品でした。
<グラフィック>
97年当時、『ファイナルファンタジー7』のグラフィックの進歩に驚いたって人は、自分の周りだけでなく、世間一般的にも多いかと思います。
しかし、実は自分は、それ程驚きはしなかったわけでして。
というのも、少なくともCGの質に関しては、当時のWIN用のADVの方が勝ってましたから。
WIN用のADVをやってる人が少ないから浸透してないだけでね。
そうしたWIN用ADVの中の1本が、『OBSIDIAN(オブシディアン)』なのです。
当時はマルチメディアとかが頻繁に叫ばれていた時代でした。
そうした時代の中にあって、本作は、PC系はもちろん、それ以外の一般誌にも紹介されていました。
各雑誌でもとりあげられ、今世紀最高のグラフィック~みたいな感じで絶賛されており、当時としては明らかにCGレベルが他を圧倒してました。
96年の時点では、間違いなく世界最高の品質だったと思います。
雑誌で見るたびに、これは絶対に買わねばって興奮していたのが、今となっては良い思いでですね。
RPGとかだと、ムービーとプレイ画面に落差がありましたが、ADVなのでRPGと違って、このレベルのままゲームもできますしね、本当に衝撃的でした。
映画の『タイタニック』とかもまだだったので、映画界でもそれ程CGに力を入れてなかったですしね。
そういうこともインパクトの大きさに拍車をかけていたのでしょう。
また、本作はCGだけでなく、トーマス=ドルビーが手がけた音楽も秀逸でしたしね。
グラフィック及びサウンドは本当に最高でした。
<感想>
『OBSIDIAN(オブシディアン)』は、いわゆるMYST系ADVにあたります。
MYST系ADVということなので、MYST同様テキスト表示はありません。
濃密なストーリーを読むというのではなく、グラフィックとサウンドからメッセージを受け取り、その世界観を肌で感じるってタイプですね。
舞台は西暦2026年で、近未来になります。
発売当時からすれば30年後の舞台なんだけど、これを書いている今となっては、もう間もなくって気もしますね。。。
近未来のオゾン層で環境が破壊された世界が舞台で、主人公は科学者になります。
ある時、黒曜石(オブシディアン)が現れ、日に日に大きくなっていきます。
そのオブシディアンの中では実は帝国が栄えていて、主人公は、その謎の解明に乗り出すというのが、大まかな設定になります。
MYST系の作品はファンタジーものが多いのですが、本作はSFものになる点で、少し雰囲気が異なっていました。
また、単にSFものというのではなく、そこにエッシャーの絵画のような非現実的な雰囲気が加わり、その両者が相まったことで、本作独自の世界観が構築されていました。
個人的にエッシャーの絵が好きだったというのもありますが、この世界観は、とても素晴らしかったですね。
そもそもMYST系ADVは文字を用いないジャンルなだけに、プレイヤーに世界観を示す手段としての
グラフィックとサウンドの占める割合は非常に大きくなってきます。
本作はこの2点が優れていたのですから、当然面白くも感じてきますよね。
<ゲームデザイン>
上記のように、本作はMYST系ADVであり、基本的には移動しながら、たまに出てくる謎、パズルを解くことになります。
いわゆるMYST系ADVと呼ばれる作品は、本作以外にも数多くあります。
しかし、本家MYSTのような一体何をすれば良いのか、どこに謎があるんだろうって感覚は、他のMYST型ADVにはなかったりします。
MYSTの様な謎作りはかなりのセンスを要求するようで、他社が真似しようとしても、真似できないみたいなんですよね。
だから結局、要所要所に行き止まり(パズル)を用意して、それを解かせるというゲームばかりになりました。
それを皮肉って、MYST型ADVは観光パズルと揶揄されたものですし。
そういう意味で、この手のゲームはどれも本家MYSTに遠く及びません。
しかし、じゃあ他のゲームのゲーム性は全部一緒かというと、当然そうではないわけです。
違いが出てくるのは、簡単に言えばパズルの種類が多いのか(要求される要素がバラエティに富んでる方が飽きませんしね)、パズルの量が豊富かって所でしょうか。
『OBSIDIAN(オブシディアン)』もMYSTの様な優れたセンスはないです。
でも観光パズルとして他のゲームと比べた場合、パズルの種類の多さも量の多さも十分でした。
<評価>
総合でも十分名作といえるでしょう。
本作には、他のMYST系ADVより優れた部分はあっても、劣る部分はないんですよね。
特にグラフィックの世界観は圧倒的でした。
だからこそ、多くの人が本作を、『MYST』には及ばないにしても、MYST系ADVの筆頭に位置すると考えるのでしょうね。
ランク:AA-(名作)
Last Updated on 2024-12-08 by katan
コメント