MYST3 EXILE

2001

『MYST3 EXILE』は2001年にWIN用として、エレクトロニックアーツから発売されました。

ADV史に燦然と輝くMYSTシリーズの第三弾、それがこの「EXILE」でした。
もっとも、シリーズ第3弾とは言いつつも、本作からは制作者が代わっています。

<感想>

MYST直系の続編なので、当然ながらゲームジャンルはMYST系ADVになります。
プレイ自体は、本作からでも全然支障はありません。

ナンバリングタイトルではあるのですが、『MYST』と『RIVEN』はミラー兄弟が作っていたところ、本当にこの兄弟が作っていたのは『RIVEN』までです。
そのため、本作は言わば外注みたいなものですね。

続編が一切作られなくなるのも寂しいものですが、だからと言って、違う会社が作るとなると当然内容面の心配も出てきます。
本作の制作を請け負ったところは、ジャーニーマンプロジェクトシリーズを制作した会社でした。

ジャーニーマンプロジェクトシリーズのナンバリングタイトルは3作ですが、実は3作とも日本語化されています。
その割にはマイナーですが、伝統があるシリーズなのも確かで、インタラクティブムービーの黎明期を支えたシリーズでもありました。
もっとも、古くからあるのは確かですが、評価に関しては国内外共に結構割れていたかと思います。

私も1と2に関してはそれ程評価していません。
3作目の『レガシーオブタイム』は傑作評価したものですが、これには日本語版の吹き替えを担当した山寺宏一さんの存在が、ゲームの評価にも大きく影響していたわけでして。
海外での評価も結構割れていたことも踏まえれば、本当にMYSTシリーズの続編をここが作れるのかという、期待よりも不安の方が大きかった人も多かったのではないでしょうか。

そういう中で発売された本作ですが、結果から先に言えば、かなり頑張っていたかと思います。
厳しいファンの一応の期待には応えることが出来た、制作側としても面目躍如といったところだったのではないでしょうか。

具体的に見ていきますと、まずはグラフィックです。
MYSTシリーズと言えば世界最高峰のグラフィックですが、本作もまた綺麗でした。
前作までは画面切り替え式だったのが、この作品から360度全方向パノラマ映像に変わりました。
ただ、この点は『RIVEN』からは進化したとは言えますが、既に他社のMYST系はどこも実装しているシステムですからね。
全体的な観点から言えば、ようやく周りに追いついたってとこでしょう。

それと、これは個人的な印象ですが、パノラマ映像化したことの弊害からか、1画面内での画質の良さという面では、若干『RIVEN』よりも粗くなった感じがしましたね。
これは他社のADVにも当てはまる話でもありましたので、この当時の技術からすれば仕方ないのかもしれません。
しかし、『RIVEN』の緻密なグラフィックに感動した者としては、どうしてもちょっと残念に感じてしまったものです。

また、確かに本作のCGも非常にレベルは高く長所とは言えるのですが、同じように周りの技術も進歩していったこともあり、前作までのような世界最高と断言するまでには及ばないかと思います。
そのため、相変わらず長所ではあるとしても、相対的には前作ほどのインパクトはなくなったように感じたのです。

次にグラフィックとも密接に関連しますが、世界観の問題です。
世界観の良し悪しは個々人の主観面に大きく依存しますので、一概には評価はしきれないでしょう。
本作も様々に雰囲気の異なる世界が用意されてあり、飽きることなく楽しむことが出来ます。
客観的に世界観の多様性という観点から見れば、本作もかなり良い部類ではあるのでしょう。
その観点では『RIVEN』よりも『MYST』寄りの作品でもあり、初代が好きな人向けとも言えるのかもしれません。

ただ、今回の舞台は親父が馬鹿息子2人のために作った世界であり、どこか遊園地のアトラクションのような感じがしました。
上記設定に沿った世界観を構築できているという意味では、良く作られていると思います。
ただ、あくまでも個人的な印象ではあるのですが、前作までの神秘的な雰囲気は薄れてしまったことから、個人的には過去の作品ほどには好きになれなかったですかね。

さて、MYSTシリーズと言えば、謎解きも重要な要素となります。
ミラー兄弟の作る謎は、あれは一種の才能ですからね。
他人がマネしようとしても、どうなるものでもありません。
そのため、本作の謎解きが過去作より質が劣るのは覚悟の上でしたが、十分に及第点以上ではあったかと思います。
過去作と比べたら物足りないのも確かなのですが、他社のパズルと比べたら十分に同等以上の質を保っていましたからね。
やっぱりMYSTは他社のとは一味違うよと思わせるくらいには、良く出来ていたように思います。

<評価>

全体的な印象は、従来のMYSTの後継というよりも、他社のMYST系ADVと似た感じになりました。

もっとも、似た感じとはいえ、個々の部分の質はどれもMYST系のADVの中では最高ランクにあると思います。
そういうMYSTとは異なる、いわゆるMYST系ADVとしては、総合的には非常に完成度が高い部類に属するのではないでしょうか。
そのため、完成度や総合力という観点を重視すると、名作という考えも十分ありうると思います。
私も悩みましたが、いまひとつ、本作ならではの特徴を感じ取れなかったことから、総合でも良作とします。

ランク:B(良作)


MYST3エグザイル

Last Updated on 2025-02-19 by katan

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