『ミザーナフォールズ』は1998年にPS用として、ヒューマンから発売されました。
出すのが早すぎた作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルは3DADVになります。
あらすじ・・・クリスマスの朝。
山沿いの田舎町「ミザーナフォールズ」の森林で、1人の女子高生が倒れているところを発見され、病院に運び込まれるが死亡した。
更に町長の娘が行方不明になっている事が判明し、警察は2つの事件を関連付けて捜査を開始する。
町長の娘の同級生であるマシューは独自に調査を始めるが…。
<感想>
簡単に言ってしまうならば、今のオープンワールド系のADVとかと同じようなシステムですね。
つまり、フルポリゴンで街が構築されており、主人公はその街の中を動き回って、捜査をすることになるのです。
また、ゲームはリアルタイムで進行し、街の人々も時間に沿って行動しています。
この作品、元々がマイナーではあるのですが、マイナーとはいえ当時の主流機種たるPSでの発売ですからね。
十分触れる機会はあっただろ・・・とも思える作品ではあります。
そして私が、もしPSでしかゲームをしていなかったならば、こんな作品はなかったと思って、この作品に衝撃を受けたかもしれません。
私の過去の記事を読んでいる人であれば、中には気付いている人もいるかもしれませんが、私は自由に動き回ってイベントを起こすタイプの作品が、かなり好きだったりします。
90年代半ばにその手の作品が増えたこともあり、高得点を付けた作品も結構ありますからね。
だから本質的には、本作のようなタイプの作品は好きなのです。
街でも学校でも館でも構いませんが、一定数以上のキャラが生活する空間が構築され、その中で時間に従って皆が行動する。そんな中でゲームをすすめるというのは、一つの理想でもありましたからね。
ただ、そうしたゲームデザインと、グラフィックの表示方法でフルポリゴンにすることとは、決してイコールの関係にはならないはずです。
確かに、ハードの性能が向上した今日においては、3Dのオープンワールド系にすることが、最も適した手法だとは思います。
しかしそれは、あくまでも「今日においては」と、限定されます。
その時代、その時代において、ゲームデザインを表現する最適な方法は異なるのであり、ポリゴン技術の発達していなかった90年代において、フルポリゴンで製作することは、最適な手法とはいえません。
実際、本作においても、グラフィックはショボかったですし、フリーズとかの弊害もありましたからね。
90年代の技術で、作品内で一つの街等が作られ、その中でリアルタイムに生活する人々を表現する方法としては、たぶん最適な手法は『DUST』にあるのだと思います。
或いは同様の手法をとっている他のPCゲーとかもそうですね。
そうした作品を知っていると、本作は、他に適した選択ができるにもかかわらず、あえて無謀な選択しただけにしか思えないのです。
本作が早すぎた作品であることは間違いないですが、それは発想が他の人より先に行っていたのではなく、誰しも思いつくけど、まだ時期尚早だとして見送った方法を、無謀にも挑んだだけのように見えるんですよね。
だから出るのが早すぎたのではなく、出すのが早すぎたというだけなのです。
まぁ、見ため的には珍しさもありましたので、それはそれで楽しめはしたのですが、ゲームデザインにおいては、当時の洋ゲーのPCゲーとかも考慮するならば、少なくとも斬新とはいえないと思います。
また、フルポリゴンによる各種弊害があったとしても、他の部分が良かったならば、マイナス要素も吹き飛んだかもしれません。
しかし、本作は、ゲームバランスも大味でした。
そうなると、人によっては酷評されたとしても、仕方ないのかもしれません。
<評価>
総合では佳作としておきます。
この時期にフルポリゴンに挑めばこうなるんだぜと、具体例を示してくれた点については、一定の意義があるようには思います。
また、街の雰囲気の良さも出ていましたしね。
ただ、後のオープンワールド系の先駆けのような、そんな格好良いものではなく、単純に手段選択を誤っただけに見えるわけで、それにより生じた各種弊害のせいで、全体としては少し残念な作品でもありました。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-12-30 by katan
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