密猟区

1997

『密猟区』は1997年にWIN用として、ZEROから発売されました。

ZEROのデビュー作であり、何とも不可解な作品でした。

<感想>

ゲーム自体は単純です。

兵士たちが村を占拠して、そこにいる女性を見つけては襲う、陵辱系のADVでした。

内容は、基本的にそれだけですね。
エロの量はあるので、絵が好みに合えば元は取れるのだろうけれど、そうでなければ駄目なんだろうなと。

個人的には比較的絵は好みでしたし、容赦のなさがこれはこれで1つの味になっているのかなと。

<戯言>

世間一般では、おそらくクソゲーないしそれに近いイメージだと思います。
発売から数年後にプレイした人は、それこそつまらないの一言で終わってしまうのでしょう。

しかし個人的には、作品の内容と異なる部分で印象深かったわけでして。
というのも、このゲームってデビュー作としては、かなり売れたんですよね。
雑誌の売上ランキングって、抜きゲーは意図的に低く操作されることがあります。
それは今も昔も変わらないのですが、それでも本作は年間でトップ10前後にいます。
操作なしの実売だったら、もっと上だったかもしれません。
ちなみに97年のトップはリーフの『ToHeart』ですが、リーフの前年の『痕』は96年のランキングでは17位前後ですし、『雫』はもっと下で25位までのランキングの圏外です。
※『ToHeart』人気やその後の再販でトータル売上は多いかもしれませんが、96年時のリーフはまだそれほどでもないってことです。
まだPC98時代の3強や4強が元気だった頃の大手作品に続いてのこの順位ですから、単純に凄いですよね。
もちろんデビュー作に限定するならば、この年トップは間違いないでしょう。

そもそもZEROというのは、所属するスタッフがいないという、今でも極めて特殊な存在のブランドです。
ましてやデビュー作ですから、ZEROの作風を知っている人はいませんし、当然過去の実績なんかありません。
それでいて本作の宣伝も全くないものだから、作品の内容もサッパリ分からないのです。
つまり作っている人もどんな内容の作品かも全然分からないのです。

今でも、人気小説家が内容を伏せて販売することもありますし、アダルトゲームでもエルフなどは情報を伏せて発売する手法を好んで使いました。
過去の実績があり、固定ファンが既にいるのであれば、その手法が通用することは想像しやすいと思います。
しかし、何の実績も知名度もないところがやれば、普通は埋もれてしまいそうなものです。
それなのに、本作は売れたんですよね。

面白ければ口コミでっていうことも分かるのですが、残念ながら本作を絶賛する声は聞いたことがありません。
まぁ俺は面白かったぞという意見もあるかもしれませんが、売上につながるほどに大きな声ではなかったでしょう。

一体何がヒットの要因だったのか?
私はダークな雰囲気にキャラも好みそうだということで、パッケージの情報だけで判断しました。
そういうパッケージだけで判断した人が、他にも一杯いたということなのでしょうか。
何とも不思議なものです。

私の行く店では、いつもこのゲームを売っているのを見かけました。
当時は年間の発売タイトル数が今の半分以下でしたので、だからこそ通じた手法だったのかもしれませんね。
本作のようなパッケージとその裏の情報だけでアピールする手法が通じたのは、おそらくこの年辺りが限界なのでしょう。
そういう意味では、こういう時代もあったのだと、時代を表していた作品の1つなのかもしれませんね。
評価としては、これでも高すぎるかもしれませんが、世の中にはこういうのもあるということを忘れないためにもという意味で、便宜上凡作とします。

ランク:D(凡作)


密猟区

Last Updated on 2024-12-09 by katan

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