『未来ラジオと人工鳩』は2018年にWIN用として、Laplacianから発売されました。
序盤は面白かったし、義妹は可愛かったのですが、それだけにもったいなかったですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
2061年7月10日、日曜日。千葉県鳴山市。
主人公・月見里ソラ(やまなしそら)は、ありもののパーツを繋ぎあわせてラジオを再開発した。
「……間に合った」
人工鳩が電波を喰うようになってちょうど15年目のその日。
父親が遺した固定型無線機で、ソラはラジオ放送を始めた。
慣れない放送が始まった翌日、ラジオが不思議な放送を受信する。
「–8月1日のオオゾラ落下事故の続報です。第1ターミナル跡地で死亡したのは、月見里ソラさん。
その他、鳴山公空学園でも怪我人が出ています」
それは、未来からのラジオ放送だった。
「3週間後に……おれが、死ぬ……?」
放送を聞いたソラは15年振りに、鳴山空港第1ターミナル跡地に足を踏み入れる。
かつては日本の玄関口だった場所。
そして、ソラが両親を失った場所。
その建物は朽ち果て、かつての威厳を失い、無数の人工鳩の巣になっていた。
そこでソラは、銀髪の少女に出会う。
指にとまった人工鳩の頭を撫でながら、少女はまっすぐにソラを見据える。
「……キミは、死なないよ」
呆然とするソラに、少女は静かに伝えた。
「わたしが、そう決めたから」
「ソラに……。あなたに、笑って空を見上げてほしいから」
こうして、月見里ソラと葉月かぐやは出会った。
<感想>
おそらく、ほとんどの人が同じような感想を抱くと思いますが、体験版に相当する前半は面白く、
後半が非常に残念な作品でした。
そのため、体験版をプレイした人ほど、金銭的に見合う部分が少ないことから、不満が高まりやすいように思います。
ただ、起承転結の転と結がこけたというよりは、そもそもSFとしての設定部分がガバガバなので、プロット段階で問題があったということなのでしょう。
だからもう少し時間をかけて後半を書いたとしても、大きな変化が望めるわけでもなく、面白くなるためには、もっと抜本的に考え直さなければならないのかなと。
体験版部分は楽しめたという人も多いように、テキストが悪いわけではないので、ライターが単純にSFに向いていないだけのように思います。
以上のような作品ですので、細かい設定の整合性が気になる人とは、凄く相性の悪い作品といえるでしょう。
グラフィックに関しては、一部CGは凄く良いと思ったものの、そうでもないようなCGも多くて、そうなると割と落差があるということになるでしょうか。
さて、ここまでは厳しめのことを書いていますが、全く楽しめなかったかというと、個人的にはそうでもなかったりします。
主人公の目的が序盤からハッキリしていますし、主人公と義妹の会話も楽しかったので、導入部分は入りやすかったですし、良く来ていたと思います。
また、私は下品な子や下ネタを話す女の子は、基本的にあまり好きではありません。
しかし、この義妹の場合、主人公への想いが感じられるからか、なんか読んでいて楽しく、お気に入りのキャラとなりました。
<評価>
総合ではギリギリ佳作としておきます。
前半は楽しめたというのもありますが、私の場合は義妹が凄く気に入ったので、それでそれなりに楽しめたというのが大きいです。
しかし、キャラを気に入るかなんてのは、好みの問題で大きく左右されます。
義妹をあまり好きになれなかった場合や、ストーリーを重視するような人の場合ですと、プロット・ストーリーの非常に甘い作品なだけに、凡作・駄作の評価になってしまうこともあると思います。
その点は注意が必要な作品といえるでしょうね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-08-13 by katan
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