『メモリーズ』は1989年にサイキックディテクティヴシリーズの第2弾として、データウエストからX68000用として発売されました。
「らしさ」という点では、シリーズ最高の作品ではないでしょうか。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
あらすじ・・・
主人公を苦しめる過去の忌まわしい影。
恋人に去られた彼のもとに、一人の少女が訪ねてくる。
何かに怯えた様子の彼女は、「父の記憶を消してください」と言う。
その言葉が、全ての始まりだった。
誰が何のために過去をよみがえらせるのか、思い出に秘められた謎とは、主人公を待ち受けるものは何か・・・。
様々な謎をはらんで、物語は進行する。
<感想>
サイキックディテクティヴというシリーズがありました。
「ワインの似合う大人のADV」ってキャッチコピーでしたっけ?
今ではゲーム内でのアニメーションも、それに合わせて音声を再生するのも、特段難しくはないです。
しかし80年代のPCでは、性能上とても難しいものでした。
そんな中、DAPSという独自のプログラムを用いることで、アニメーションと音声の同時再生を可能にさせたのがこのシリーズなのです。
そして、そのシリーズの中でも『オルゴール』と人気を二分するのが、2作目であるこの『メモリーズ』です。
個人的には、シリーズ最高傑作は『オルゴール』と考えます。
しかし、『オルゴール』は外伝っぽい雰囲気でしたからね。
その内容からして、最もサイキックディテクティブシリーズらしいな~ってなると、この『メモリーズ』になるのではないでしょうか。
例えば、横溝正史の代表作に『八つ墓村』がありますよね。
当然それを最高傑作と考える人も結構な割合でいるでしょう。
もっとも、『八つ墓村』では、金田一耕助は主役ではありません。
そうなると、金田一耕助の活躍する作品の中の代表作となると、ちょっと違う感じがします。
同じくらい高く評価される作品として『獄門島』があります。
こちらは金田一耕助が主役となって活躍しますので、金田一耕助ものの代表作とも言えるでしょう。
『オルゴール』が『八つ墓村』なら『メモリーズ』は『獄門島』。
イメージ的にはそんな感じなんですよね。
PC88で一大勢力を築いたADVですが、末期にはその勢いも衰えてきました。
PC98時代に入ってからは、主にアダルトゲームによってADVは発展していきます。
じゃあ、その間ADVは停滞していたのか?
名作はなかったのか?
その答えは、間違いなくNOです。
X68000やTOWNSといったマニアックな機種で発売されたこのシリーズは、短い期間ではあったけど、ADVの頂点にありADVを大いに発展させたと言えると思いますからね。
さて、少し具体的に見ますと、システムは普通のコマンド選択式のADVになります。
この点は特筆する事はないですかね。
前作の『インヴィテーション』では時間の概念があって、それに応じてキャラが動いていましたが、本作にはそうした要素はありません。
このシリーズは基本的に、作が進むごとにアニメーションや音声といった演出面は進化していくのですが、それに反するかのようにゲーム性は簡素化されていきました。
『インヴィテーション』の難易度は半端じゃなかったので、本作の方が良いって人も多いかと思いますが、あのハードさが良いって人には、今作は若干物足りなかったかもしれませんね。
このシリーズ≒DAPSというイメージが強く、アニメと音声のイメージが強いのですが、アニメと音声をPC上で完全に同期させたのは続編の『AYA』であり、実は『メモリーズ』はそれほどでもないです。
では、何が最もサイキックディテクティブらしいのかというと、そのストーリー部分にあります。
シリーズ名からも察する事が出来るように、このシリーズの主人公は依頼者の深層心理内にサイコダイブします。
そのため、ゲームは依頼者の心象世界が舞台となります。
そこに登場する人は、全て一人の人間が作り出したもの。
登場人物らは、作った人の与えた役割しかこなしません。
ただもくもくと、忠実に役割を果たすだけです。
それが、どれだけ不自然な事か。
プレイしていて、絶えず違和感がつきまといます。
この、心象世界を舞台にしたが故に生まれる違和感。
それこそが、アニメーションと並ぶこのシリーズの最大の特徴でもあり、この違和感が最も濃くあらわれてるのが『メモリーズ』なのです。
それとこのシリーズ、どの作品も後味は最悪です。
鬱ゲーで真っ先に思い浮かべてしまうくらいに。
しかもグロイです。
グロイ画像をアニメで見せてくれます。
せっかくの先端技術をグロに費やした製作者には脱帽です。
アニメ+音声の先駆けでもあり、グロ&鬱ゲーの先駆けでもある本作。
文句なしに名作といえるでしょう。
今やって面白いかは分かりませんが、その歴史的価値は決して色褪せることはないのでしょう。
Last Updated on 2025-05-11 by katan
コメント
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DOSV版を友人のPCを借りてプレイしました。
当時98版がなかなか見つからなかったんですよ。
ソリチュードで大泣きして…
PC版を買いなおしましたがどこで大泣きしてしまったか忘れたので
いつかリプレイします。
当時あまり流行っていなかった能力設定がかっこよかったのです。
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>>森乃やまねさん
他とは全然雰囲気の異なるシリーズでしたよね。
くせが強いから、はまる人ははまるけど、
すすめにくい面もあったり。
ソリチュードで泣く…どこなんでしょう?
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データウエストがゲーム業界での活動を再開するようですね。
katanさんの記事を読んでプレイしたいと思っていたところを、サイキックディテクティブシリーズのネットでの再販が始まったのでWIN版を早速購入しました。
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> データウエストがゲーム業界での活動を再開するようですね。
> katanさんの記事を読んでプレイしたいと思っていたところを、サイキックディテクティブシリーズのネットでの再販が始まったのでWIN版を早速購入しました。
返事が遅れてしまい、すみませんです。
再販が始まったのですね。
情報ありがとうございました。
ちょっと癖の強いシリーズではありますが、
気に入るポイントが見つかると良いですね。