『RAMA 宇宙のランデブー』は1998年にWIN用として、シエラ・パイオニアから発売されました。
クラークの同名の小説をゲーム化したものでした。
オリジナルは1996年にSierra On-Lineから発売されており、本作はその日本語移植版になります。
<感想>
本作にはPC版とPS版とがあり、おそらくPC版の方が先なのでしょうが、PC日本語版の発売日は正確なところは分かりません。
一応98年としておきますが、もし違っていたらすみません。
なお、PS版はゲームバンクから発売されており、そちらの方は98年の発売となっています。
さて、本作は上記のように小説をゲーム化したもので、ストーリー的にはSFものになります。
MYST系ADVが流行る前の、もっと単純なインタラクティブムービー時代には、SF系作品も結構多かったように思います。
しかし、MYST系ADVが中心となったこの頃には逆に減ってきており、そういう意味では案外珍しい、というか久しぶりという感覚が近いのかも。
元が傑作SF小説ということで、本作は本格的なSF志向が強い作品でした。
そのため、ハードSFとしての科学的な側面からは優れていた作品と言えるでしょうし、ガッツリとハードSFを堪能したい人に向いた作品と言えるでしょう。
しかし元が小説とはいえ、それをノベルではなく、絵や音や謎解き重視のMYST系にしていますので、本作自体はストーリーやテキストを楽しむ路線ではありません。
絵や音を付けつつ原作のような物語を楽しみたいという観点だと、あまり楽しめなかったり少し違和感を感じてしまうように思います。
本作はあの世界観をCGや音声によりゲームとして再構成させ、出来上がった世界を探索するゲームなのです。
だから文字によるストーリーというよりも、そんな世界観の中を自由に動きたいって人に向いた作品と言えるのでしょう。
国内ではハードSFの人気があまりないことを踏まえると、どうしても一般受けはしにくいのでしょうが、極一部の人には高く評価されるタイプと言えるかもしれません。
ゲームは具体的には調査員の一員として、異星人の建造物を探索しつつ司令官の死の真相を探るといった感じで、建物内を調べることが基本となります。
MYST系ということで、プレイヤー視点で進行します。
テキストの比重を減らして代わりにCGや音声をメインにしていること、及びパズルのような謎解きもあることからMYST系と分類していますが、どちらかというと拾ったアイテムをインベントリーに収納し、多数のアイテムを駆使することで進行するタイプだったと思います。
そういうアイテムを駆使してっていう側面からは、ポイント&クリック式と似通った雰囲気とも言えるでしょう。
つまりは、中間的な感じということですね。
グラフィックはCGの背景+実写のキャラで、世界観も良く表現できていたように思います。
ただ、私は原作の熱烈なファンではないので、ファンならまた違った感想を抱いたかもしれませんし、その辺はちょっと分からないです。
それと、画面は切り替え式でした。
移動先や方向を指示すると次の画面が表示されるタイプですね。
本作のオリジナルは96年ですので、96年ならこの形式は普通のことです。
ただ移植版の発売は98年ですし、98年には全方向360度パノラマ画像も標準になってきています。
だから98年に発売され即移植された作品と比べると、どうしても古臭さを感じてしまうかもしれませんね。
一番進化が激しかった時期だけに、この2年という数字が馬鹿にならないのです。
キャラという観点からは、ある意味一番の特徴かもしれないのですが、実はクラーク本人が登場します。
当時の雑誌とかの紹介でも皆、クラーク本人も登場ってそればっかりだったように思いますし。
そういう側面も含めますと、やっぱりコアなファン向けという印象が強い作品なんでしょうね。
一応ここでは良作としておきますが、ファンなら当然それ以上の価値があるでしょうし、興味がなければ全く楽しめないおそれもありますからね。
最後に、どうやらPS版はいろいろとカットされているみたいです。
ゲームもアイテムを駆使するタイプでPC上のマウス操作に向いていますし、可能であればできるだけPC版をプレイした方が良いかもしれませんね。
ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-12-24 by katan
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