memento 少女のカラダに刻まれた、催眠と快楽の記憶

2013

『memento 少女のカラダに刻まれた、催眠と快楽の記憶』は、2013年にWIN用として、こんまいすたじおから発売されました。

アトリエさくら内の別レーベルでの作品であり、少し毛色の異なる作品でした。

<概要>

ゲームジャンルは詳しくは口述しますが、一応ポイント&クリック式ADVの範囲に含まれるのでしょう。

商品紹介によるあらすじは、以下の通り。
レオニードは北欧のとある寂れた街で探偵業を営んでいた。
ある日、覆面の女性が一人の女の子を連れて彼の元へやってくる。
「彼女にかけられた催眠を解いて欲しい」
畑違いの依頼内容だと断るレオニード。
しかし覆面の女性は拳銃を取り出すと、それをレオニードに向ける。
「今し方、一人殺してきたところだ。聞き入れられないのなら、貴方もここで死ぬことになる」
やむを得ず、レオニードは盲目の少女の催眠を解きに掛かる。
彼女の記憶を取り戻していくうちに、一つの大きな真実に行き当たる。」

<感想>

主人公のレオニードは探偵であり、盲目の少女エカテリーナにかけられた催眠を解くことが目的になります。
二人の会話が進むに従い、少しずつ秘められた真相が分かってくるという作品ですね。

低価格商品なのでフルプライス作品よりはボリュームが少ないのですが、逆に無駄な描写が削ぎ落とされていますので、個人的にはむしろ好印象でした。
きちんと纏まって必要なことが描かれていれば、無駄なボリュームは要らないのですよ。
本作はライターが書きたいところだけを書いたという印象なので、クリア後も良質な物語を読み終えたって満足感がありますしね。

本作に関しては、ストーリーの序盤の入り方とゲームシステムの一部が、フリーゲームで賞を取った『パレット』と酷似しています。
多少の影響はあったのでしょうね。
もっとも、ストーリーそのものは異なりますし、システム面も違いがありますので、異なる物と考えて良いのでしょう。
そうでないと、殺害現場から始まるミステリー全部をパクリ扱いせざるを得ないですから。
両者の記事を同じ週に掲載したのは、そのことを言いたいからです。

さて、催眠が絡んだ物語というのは、幾つか種類があります。
アダルトゲームに多いのは、主人公が催眠をかけ、対象を好き放題に扱うというものになるでしょうか。
しかし本作は、ヒロインにかけられた催眠を解くものであり、その点で良くあるパターンとは少し異なります。
具体的には、最初は忘れていたことを思い出すという展開になるものの、次第に思い出したはずの記憶に矛盾が生じていき、後半は偽りの記憶から真実を探ることになっていきます。
そのため、催眠ものではあるのですが、ミステリー要素が強くなっています。

勘の良い人なら比較的早く気付く場合もあるでしょうが、個人的には早くに気付けた部分もあれば、まんまと騙され驚かされたところもあり、ストーリー単独で名作と言い切れるほどではないかもしれませんが、それでもかなり楽しめたように思います。

それと、人によっては、ここが肝心なところになるかもしれませんが、本作のライターはおんぼろ月さんでして。
おんぼろ月さんと言えば寝取られですよね。
でも、『Remember』で超・寝取られアドベンチャーなんて変に煽って、こんなの寝取られじゃないと反発も買ってしまいました。
『Remember』自体はとても良い作品なのですが、余計なことを言ってケチをつけてしまったような感じでした。
それで反省したんですかね。
本作は寝取られものとは言っていないし、そういう売り方もされていません。
しかし仮に、『Remember』が寝取られの範囲に含まれるというのなら、むしろこっちの方が寝取られに入るだろうという、境界線上のシチュエーションは含まれています。
完全な寝取られとまでは言いませんが、あぁ~このライターらしい作品だなということで、ファンなら「らしさ」を感じられて良かったのではないでしょうか。

<ゲームデザイン>

本作は二人が会話するという体裁をとっていますが、具体的にはヒロインが回想する場面が中心になります。
その回想シーンは、最初は物の輪郭だけが浮かびあがり、画面全体は黒く表示されています。

そして、適切な物をクリックすると色が戻ります。
つまり画面クリックをすることで進行しますので、ポイント&クリック式のADVとも考えられるでしょう。
まぁ普通のノベルゲーではないということで、一応ここでもP&C式のADVとしておきます。

ただ、画面をあちこちクリックして謎を解いていくような作品ではなく、P&C式ADVが好きな人が求めているものは、あまりないのでしょうね。
どちらかと言うとノベルゲーのように読み進める作品であり、通常なら「文字で書かれた選択肢」で表示されるところが、「グラフィックで描かれたオブジェ」に置き換わっただけだと。
そのため、ゲーム性を求めてプレイすると物足りないかもしれません。
実質的にはノベルゲーの亜種と考えるべきなのでしょう。

また、触れた物体の色が戻るという演出は『パレット』も同様ですが、『パレット』は移動式のADVであり、ゲームとしての方向性は異なります。
そのために2番煎じとは思わないのですが、それでもこの演出は既出ということで、若干インパクトは薄れてしまうのでしょう。

加えて、本作ではチャプター制、つまり章仕立てになっています。
章自体は時系列順なのですが、記憶を思い出すということで、チャプター間を自由に行き来することができます。
最初はクリックしても反応しなかったオブジェが、その後のチャプターを進めた後に戻ってクリックすると、今度は反応するようにもなります。
チャートを行ったり来たりという点で、『YU-NO』のADMSの簡易版みたいなものですね。
(もっとも、かなり簡易化されていますので、あくまでもイメージとして捉えてください。)
この構造により少し難易度は上がっていますが、基本的にはそれほど悩まないと思います。
ただ、こういう形式に馴染みのない人も増えていますので、かなり経験している人にはヌルゲーに見えるのだけれど、未経験の人には難しく見える類の作品だと思います。

以上のように、システムそのものは斬新とまでは言い切れませんし、ゲーム性もそれほど高くなっているわけでもありません。
しかし、適切なオブジェをクリックすることで本来の色が戻り、そのオブジェにまつわる記憶が蘇っていくということで、物語を効果的に魅せるための演出としては非常に良く機能していました。
今作はゲームデザイン面は斬新とまでは言えないにしても、それでも物語に必要なシステムを上手く組み合わせられたという点で、十分に良かったように思います。
つまり、マクロなゲームデザインは良かったけれど、ミクロでのゲーム性は普通だったということですね。
ゲームデザイン単独で名作足りえるほどには至っていないものの、作品に合わせてきちんとアレンジしてあることから、個人的にはこういう作品は好印象です。

<評価>

これだという完全な長所と言い切れる部分はないので、総合では名作に近い良作としておきます。

ただ、無駄を省いた必要十分なテキストに、過酷な運命の少女というちょっとダークな路線、内容に即したシステムを導入したゲームデザインと、個人的にはかなり好みに沿った作品でもあったわけでして。
評価以上に好きな作品でもあり、現時点ではおんぼろ月さんの作品では一番好きですね。
今の流行路線ではないですが、こういう路線が好きって人もいるはずなので、またこういう作品を作ってもらいたいものです。

ランク:B(良作)


memento
memento 少女のカラダに刻まれた、催眠と快楽の記憶

Last Updated on 2024-11-04 by katan

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