まじかる☆アンティーク

2000

『まじかる☆アンティーク』は2000年にWIN用として、leafから発売されました。

骨董品を扱う経営SLGという珍しい作品でしたね。
はぎやまさかげ(月餅)さんの原画も好きでした。

<感想>

ノベル系ADVで一躍有名になったleafですが、そのleafが経営SLGを発売しました。
しかもそのお題が骨董屋ですからね。
骨董品好きとしては買わねばならないでしょう。
私も昔は、「なんでも鑑定団」が何より楽しみだった時期があったわけで、まさに待望の作品でもありました。

もちろん、leafが出すだけあって、純粋なSLGではなく、随所にイベントが入ってくるSLG+ADVといった構造になります。
ただ、このADV部分はオマケと考えた方が良いでしょうね。
最近はそうでないかもしれませんが、当時のleafはノベル屋のイメージが強かったです。
当然、ストーリーに期待して購入したファンも多かったでしょう。
でもそういう人にとっては、本作は物足りなかったでしょうね。
良くも悪くもストーリーは普通でしかなかったですから。

もっとも、私はストーリーだけに関心があったというわけでもないので、この部分は気にならなかったですね。
とは言うものの、ストーリーだけに期待したのではないとしても、仮にストーリーの分量が一杯あって、しかもその出来が悪かったら、きっとゲームの進行に悪影響を及ぼしていたでしょう。
たくさん時間を費やした部分の出来が悪ければ、それだけ楽しめなかったということですから、そうなれば当然マイナス評価となります。
しかし、本作のストーリーは凄くあっさりなんですね。
いわゆる毒にも薬にもならないって感じなんです。
だから、ストーリー単独で面白いというものでもないのだけれど、逆にゲームの進行に悪影響を及ぼすタイプでもなく、テンポ良くゲームを楽しむことが出来ました。

ここまでだとADV部分はあってもなくても良さそうに思えますが、一般PCゲーの経営物はすごく味気ないですからね。
可愛いキャラがいて、そのキャラがお店でちょこちょこ動くだけでも、プレイに華が出てくるってものです。
まぁ、私の場合、原画である、はぎやまさかげ(月餅)さんの絵が好きなので、それも大きいのですけどね。
そうなると強烈な長所とは言えないまでも、ゲームの単調に感じさせないための緩急を付けるのには成功している点で、印象的には結構違って見えてくるんですよね。

さて、ストーリーが普通となると期待はゲーム部分になるのですが、ここでもう一つ舞台となる設定が大事になってきます。
これは広義ではストーリーの範疇に含まれるのかもしれませんが、SLG、特に地味になりがちな経営物を楽しめるか否かについては、プレイヤーの気持ちを盛り上げるシチュエーションも大事だと思います。
本作は骨董品売買が題材となっていますが、こういうのってほとんどないと思うんですよね。
レアな骨董品とかを扱いだすと気分が高揚してきますし、私が骨董品好きってのもありますが、新鮮な気持ちで終始楽しむことが出来ました。
ここはね、ある意味ストーリーそのものより大事なのかもしれませんね。
例え良いストーリーでも、ありふれた題材の経営SLGだったら、プレイする意欲もあまり沸かないでしょう。
他のゲームにない題材で如何に関心をひくかが大事なのだと思います。

そして肝心のSLG部分なのですが、それ程複雑でない誰でも気軽に手がだせるシステムでありながら、経営SLGの基本的な面白さはキッチリと入れられていました。
ゲーム進行のテンポも良かったし、高速化もできますから周回プレイにも適していました。
ついずるずるとプレイしたりして、結構中毒性も高かったと思います。
私も何週もしましたしね。

さて、基本的には凄く面白かったということを前提とした上で、今度は名作足り得なかった理由についても触れていきます。
ADV部分は費やす時間からもオマケと思っていますので、SLG部分が本当に優れていたら私は名作と判断したでしょう。
そうでないのは、単純に優れていると褒めきれないからなのです。

本作はアダルトゲームしかプレイしない人とか、あるいは最近の人なんかの中では結構難しいという意見も聞きます。
私もヘタレた今ではそう感じるかもしれません。
でも、当時の印象としては、決して難易度は高くないと思います。
まぁ、難易度自体は大した影響はないのですが、問題はやりこんだ場合ですね。

数回のプレイでは分からないかもしれませんが、数十回もやりこんでいると結構パターンが見えてきます。
高い評価を得る手順みたいなのがあって、次第に詰め将棋をやっているような気分になってきます。
もちろん、手順の効率化を図っていくのも、それはそれで楽しいです。
なんなら、私がかなりやり込んだのも、最善のルートを確立したいがためでしたからね。
しかし、こういうことが出来るというのは、言い換えればゲームに幅がないわけで、はたしてそれはSLGとして優れていると言えるのかともなってきます。
基本的にはテンポ良く誰でも楽しめる作品ではありますが、生粋のヘビーなSLG好きがとことんしゃぶりつくそうとしてプレイすると、結構物足りなく感じると思うんですよ。
まぁ、今時そんな人がどれだけいるかは分かりませんけどね。
私の場合にしても数十回とやった結果の意見なわけですし。

他のSLGでもそうなのですが、私は何度もプレイしなおして、それで詰め将棋みたいに最善のルートを見つけ出すタイプのゲームも、実は結構好きだったりします。
本作を楽しめたのにはそういう部分もあるわけですが、ヘビーなSLGファンでかつ詰めていく要素が嫌いな人には、おそらく相性が悪い作品ではあったでしょうね。

先にも書きましたが、結局のところこの手のゲームは、似たようなシステムを如何に違ったアプローチで表現できるのか、その観点が大事なんだと思います。
仮に本作のシステムで既存のコンビニみたいな題材を選び、それで一般物の純粋なSLGであれば、総合では佳作程度の評価だったでしょう。
本作は骨董品売買という題材のおかげで新鮮さが保たれ、あとはアダルトゲームでキャラも可愛かったということで、私はその点も加味して良作と判断したって感じですね。
理屈ぬきにはまった面もあり、リーフの作品の中では主観的には一番好きな作品でした。

ランク:B(良作)


まじかる☆アンティーク リニューアルパッケージ

Last Updated on 2025-01-17 by katan

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