『リズベルルの魔7 完結篇 ~はてしなき ほんとうの物語~』は、2015年にWIN用として、TOKITETOから発売されました。
2012年から始まったシリーズの第7弾であり、完結編となる作品でした。
ファンタジーとしての緻密な設定と、派手なロボアクションの優れた作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
概要・・・
黒海に沈んだセリオラの街を解放した事で糾弾されるノルアード達だったが、彼らの狙いはその窮地を利用し剣主の結束を深める事にこそあった。
混乱の最中、表舞台に姿を現した王の使者、そして導く者達……彼らの口から世界の真実、来るべき危機が語られたその時、予言された黒き災いが遂に訪れる!
不死にして不滅、虚無なるものを前に、絶体絶命に陥る剣主達。
弦奏鎧ヴィルフォーナが立ち向かうも、その咆哮の前には為す術もない。
此処までかと思われたその時、彼らを救ったのは思いがけぬ人物であった……。
シリーズ最大スケールで描く「リズベルルの魔」完結篇!
今、ほんとうの戦いがはじまる……!!
<感想>
シリーズ7作目であり、完結編となる本作。
1作目からプレイした人の間では評判が悪くないのに、どうしてもマイナーなままな印象の拭えない本シリーズ。
その理由は、いくつかあるように思います。
まず、本作の特徴は緻密に描かれたファタジー世界と、派手な演出によるロボアクションにあります。
エロゲによくいる、いわゆる萌えキャラのようなキャラがいないので、ストーリー重視な人は全然問題ないのですが、エロゲユーザーの多数派には刺さらないことになるのです。
次に、本作は画像全体をテキストで覆うタイプの、いわゆるビジュアルノベルの作品です。
同人ノベルでは、いまだにこの形式を好む制作者も多いのですが、グラフィックを強調する作品においては、この形式はそれ自体がマイナスになりかねません。
本作はグラフィックや演出にも力を入れているだけに、余計にも相性が悪いのです。
サウンドノベルはSFCの性能が低いがゆえにとられた苦肉の策であり、エロゲには全然浸透しないまま、商業でも廃れたことの意味は、制作する側も理解すべきといえるのでしょう。
もちろん、何かしらの工夫がなされていれば話は別なのですが、このシリーズには見せ方の工夫は特になかったと思いますので、同人シナリオゲーを特に好むユーザー以外には、どうしても刺さらなくなってしまいます。
また、本作は音声もありません。
これもストーリー重視の作品に音声はいらないと考える人であれば、何ら問題はないのでしょう。
しかし、ノベルゲーマーの中には、音声必須と考える人も多いので、そうした層には刺さらないことになります。
さらに、本作の特徴として演出の凄さがあるのですが、これは魅せ方が上手いとかセンスを感じるとかそういう方向ではなく、同人にしてはこの技術は凄いという方向なわけでして。
フルプラエロゲの演出並の技術を感じさせるという意味ですので、フルプラとか同人とかの枠組みを外してしまうと、特別秀でているとまでは言えなくなってしまいます。
以上から、本作はどうしてもマイナーにならざるをえない作品であり、下手に多くの人にプレイさせても、評価は下がるだけなのでしょう。
他方で、上記の説明を見て、何言ってんだコイツと、萌えキャラなぞ要らん、ビジュアルノベル上等、音声不要と思う人も、一定数はいるように思います。
それであれば、このシリーズをプレイしてみる価値があります。
たくさんのキャラがいるにもかかわらず、どれも丁寧に描かれ、同人らしからぬ派手な演出で盛り上がる要素もあり、衣装が細かくかわる等、細部にまでこだわりもあり、読んで損はしない作品といえるでしょう。
<評価>
個人的には、上記のひっかかるポイントがいくつか該当することから、総合では良作とします。
もっとも、気にならない人は気にならないでしょうから、長編のファンタジー+ロボアクションを楽しみたいのであれば、ぜひともプレイしてみるべき作品だと思いますね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-09-29 by katan