『ライフ イズ ミュージック』は1992年にPC98用として、光栄から発売されました。
バンドマンの人生を描いた作品であり、光栄のSLGの中でもかなり珍しい作品だったのではないでしょうか。
<概要>
光栄には、リコエイションゲームと呼ばれるジャンルの作品があります。
厳密にはSLGになるのでしょうが、SLGとRPGの中間的なゲームでした。
もっとも、そうしたゲームジャンル的な分類とは別に、ストーリー上の観点で見てみますと、リコエイションゲームの多くは、誰かしらの人生を追体験した作品が多かったように思います。
本作もバンドマンの人生を描いたもので、作品の持つ雰囲気的なものはリコエイションゲームに通じます。
もっとも、RPGのような戦闘がなく、システム的にはSLG+ADV+音ゲーとなることから、本作はリコエイションゲームの仲間には加えられませんでした。
そのため、光栄の各種SLGの中でも、極めてマイナーな作品になってしまったように思います。
<感想>
さて、本作の主人公はボーカル兼ギターで、ゲームの基本的な流れとしては、マップを移動し仲間となるバックバンドを探し出す、コンサートで演奏する楽曲を作曲家に依頼する、練習をしてコンサートに臨むってところでしょうか。
コンサートで上手くいけば報酬も増えますし、そうなると新しい楽器を購入したり、より難易度の高い楽曲を作ってもらったり、或いはレコードを作成ってこともできるようになります。
音楽か映画かの違いはありますが、94年に出た『ようこそシネマハウスへ』と似たような雰囲気でしょうか。
いや、イベント性が薄いので『映画監督物語』っぽいのかも。
このゲームにはもう一つ大きな特徴がありまして、それがマウスでギターを演奏するというものでした。
つまり、コンサートでは自分も直接演奏に加わるわけで、マウスの上下で高低を変える等、マウスを用いて演奏をするわけですね。
いわば、ちょっとした音ゲーでもあったのですが、これがイマイチこつが分からず、とても難しく感じました。
<評価>
このゲームは、好きな人は好きなんだろうなと思いますし、それだけの魅力はあったのでしょう。
問題はその魅力のベクトルなわけでして。
私としては、バンドマンの人生をシミュレートしたという部分に興味や魅力を感じたのですが、キャラの個性が乏しかったりして、上記で言えばシネマハウスより映画監督物語みたいに感じてしまうのです。
そのため、バンドマンの人生をシミュレートという部分については、その意欲は評価したいもののあまり中身が伴ってなかったように思い、評価も伸び悩んでしまいます。
よって、個性を評価しても総合では良作止まりかなって感じでした。
もっとも、本作は演奏パートの比重が大きいわけで、アクション系が守備範囲外で評価対象外な私は、比重の大きな部分に興味がなかったから、こういう評価になったとも言えるわけです。
今では音ゲーはかなり人気のあるジャンルとして確立していますし、そういう類のゲームが好きな人も多いでしょう。
そして、マウスを用いて楽曲を自ら弾きこなしてみたいって人も、少なからずいると思います。
本作は一見するとSLG+ADVなのですが、本質的にはSLGやADV好きというよりも、そういう音ゲー好きに向いた作品だったようにも思います。
つまり、根本的には私に向いていない作品だったのであり、向いている人がプレイしていれば、名作にも感じられたのではないでしょうか。
試みは面白かっただけに、もう少し日の目を浴びて、もっと多くの人にプレイしてもらいたいと思った作品でした。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-07-29 by katan
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