こうかん日記

1994

『こうかん日記』は1994年にPC98用として、フェアリーダストから発売されました。

フェアリーダストを代表する作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

フェアリーダストと言えばアニメのくりいむレモンシリーズが有名で、どうしてもそれをゲーム化しているブランドって印象が強かったです。

でも、当然他にもオリジナル作品は出しており、特に『こうかん日記』シリーズは、ブランドを代表する作品だったかと思います。

<感想>

まず目立つ点は、何と言ってもグラフィックでしょうね。
原画は牧野竜一さんで、今はいろんなアニメも手がけていますし、ゲームよりアニメに詳しい人の方に馴染みがあるのではないでしょうか。

また、キャラが可愛いだけでなく、OPも印象的でしたね。
これは実写を加工したもので、普段は実写を加工したものに良いと感じることは少ないのですが、本作の場合は女子高生らしさが上手く表れていました。
ここまで上手いと思えた実写加工系のOPは、今でも他にないかもしれません。
そのため、これは他のゲームとちょっと違うなって雰囲気が、この時点で出ていたように思います。

ストーリーは、端的に言えばハーレム系の恋愛ものになります。
2股どころか、出てくる10人以上全員に対し同時に手を出せちゃいます。
ヒロインの攻略を目的とした主人公とヒロインの関係を縦軸とするならば、この縦軸自体は普通の作品であり、あまり印象に残らないものかもしれません。

しかし、魅力はむしろ別の部分にありまして。
『こうかん日記』では、まず3人のメインヒロインから1人を選択するのですが、このメインヒロインの視点から、プレストーリーとしてゲームが始まります。
そして3人のプレストーリーの後に、主人公のシナリオが始まるわけですね。
最初にヒロイン視点を用意することで、ヒロイン側の心情が伝わってきますし、何か少女漫画っぽくて他とちょっと違った雰囲気で良かったです。

それに加え、本作には、上記のとおり非常に多くの女性が登場します。
メインヒロインは一応3人の扱いなのですが、サブヒロインも加えると10人以上になったはず。
その彼女らが主人公にアタックするので、ハーレムものとなるわけですが、ヒロイン同士が共に認め合った上で頑張ろうとしたり、縦軸と異なるヒロイン間の横軸のつながりが優れていたのです。

一見するとよくあるゲームのようでいて、微妙に他の典型的な恋愛ものと異なる雰囲気を持っていたわけですね。
女性側の視点とか、ヒロイン間のつながりとか、そういうのは比較的アダルトゲームでは軽視されてきただけに、余計にも本作の特徴が際立ってくるのです。

そういう意味では非常に優れていたとも言えるのですが、フェアリーダストは毎回システム周りが弱かったわけで、それは本作でも同様です。
どうにもやっててイライラしてくるのですよ。

<評価>

長所だけなら名作級だし、それくらい良い面も幾つもあったのですが、同時に悪い面も併せ持ってしまったということで、総合では良作とします。

たぶん主流の恋愛ものに多いパターンが好きな人は、本作をプレイしても物足りなく感じるだろうけれど、そんな普通の系統に違和感を覚え始めた人の方が案外楽しめる、そういうタイプの作品だと思いますね。

ランク:B(良作)


PC-9801 3.5インチソフト こうかん日記

Last Updated on 2024-10-03 by katan

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