『片恋いの月』は2007年にWIN用として、すたじお緑茶から発売されました。
演出の優れた作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
商品紹介・・・
学校まで続く長~い坂道を、君と歩く。並んで歩く。
朝は上り、夕方は下る。毎日、その繰り返し。
今日の次に明日が来て、そうして時間が過ぎていく・・・。
と信じていたのだけど、瞬き一つするたびに、ゆがんで行く時の歯車。
十六夜の月の下、色のない指先がいざなう時の惑い道。
ほつれた糸の合間からゆっくりと、見知らぬ時間が顔を出す。
時を隔てて欠ける月は、互いに呼び合い、引かれ合う。
どんなに離れても。隔てられても、あきらめない。きっと、君にたどり着く・・・。
<グラフィック>
順番が逆になってしまったのだけれど、後の『恋色空模様』で長めに書いてしまったので今回は短めにおさえておきます。
すたじお緑茶の作品は、立ち絵が良く動きます。
立ち絵の動きに力を入れるブランドは、他にも増えてきていましたが、他作品よりも動きに意味が感じられるので、個人的にはかなり好きなわけでして。
立ち絵が動くと、背景も連動されていたりして、また、立体感も意識されているようで、きちんと考えて作っているのだなと思わされますから。
それと、これまたすたじお緑茶の特徴でもあるのだけれど、セリフ欄が可動式になっています。
ワイド画面になり、表示されるキャラの数も増え、立ち絵の数も豊富になってくると、画面下部固定のテキストを読みながら絵の動きも漏らさず見ろというのは、どうしても限界が生じてしまいます。
画面内の変化はユーザーの視線の先に集中させるべきであり、テキストは話すキャラのそばにあるべきなのです。
その点で、本作は好印象でしたね。
『恋色空模様』よりも本作の方が先ですし、インパクトという面ではこちらの方が上でしょう。
他方で、イベントCG(一枚絵)に関しては、時々首を傾げたくなる場面もありました。
グラフィックと言われて立ち絵を重視するという人には、本作は凄く良いのかもしれません。
しかし、それよりも一枚絵の出来を重視するという人には、本作は、それほど良い作品にも見えないでしょうね。
何というか、賛否はどちらでも構わないのですが、ゼロ年代後半から逆転現象が生じ始めてきたよなと思うわけでして。
WINDOWS初期の90年代後半からゼロ年代前半にかけては、とにかく一枚絵の質を高めようという方向にばかり力が注がれ、それ以前の90年代半ばまでの、つまりPC98までの時代に比べ、一枚絵以外の演出が退化しました。
それがここに来て、立ち絵などにより一枚絵以外の演出が発展し、その代わりに一枚絵の質が伸び悩んだり低下するという、逆転現象が見え始めたんですよね。
一枚絵重視の90年代後半~ゼロ年代前半と、立ち絵重視のゼロ年代後半。
どちらが良いか一概には決められないし、別に結論を出す必要もないのだけれど、変化が生じてきているということ自体に対し、少し興味深いなと感じたものでした。
<感想>
大雑把に言ってしまえばタイムリープものなのだけれど、何かいろいろ超展開の出てくる作品と捉えた方が早いかも。
演出の良さもあって、会話とかは凄く楽しめたのですけどね。
如何せんストーリーが残念でした。
凝った作りにしようと考えに考えて、おもいっきり明後日の方向に行ったみたいな、野球で打たれないコースを考えすぎて、結局投げた球はビーンボール(打者の頭近くをねらって投げる球)だったみたいな。
何これ意味分かんね~、ライター馬鹿だろ~って感じで、笑って楽しめる人には良いのですが、整合性だのリアリティを求める人とは相性が悪い作品でしょうね。
<評価>
総合では良作とします。
シナリオにしか興味がありませんっていう人には合わないだろうなとは思いつつも、個人的には素直に楽しかったです。
長所だけなら名作級なのですが、それだけに演出面での気配りの少しでも構わないから、もう少しストーリーに配慮してもらえれば文句はなかったのですけどね。
その点だけがちょっと勿体ない作品でもあり、ストーリーを普通にまですれば作品としては名作になりうるような、次への期待と勢いを感じさせる作品でもありましたね。
Last Updated on 2026-03-07 by katan


