『妹と彼女 それぞれの選択』は2023年にWIN用として、Waffleから発売されました。
兄と妹との近親関係について正面から取り組んだ作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・六月の梅雨。
大学四年生の慧は、大きな岐路に立たされていた。
妹、陽香からの告白を遮ってしまった花火大会のあの日。
あれから、妹との関係は冷え切り、もう三年もの冷戦状態が続いている。
二人で正しく幸せになる――その『答え』が見つかるまで、妹の想いに応えるわけにはいかない。
慧は、妹への想いを必死に抑え、『善き兄』として振る舞い続ける。
一方で、陽香は、想い合っているにも関わらず、自分の気持ちに応えてくれない兄に対して、冷たく当たり続ける。
梅雨が長引くにつれ、慧の悩みは深くなっていく。二人で正しく幸せになる――。
その『答え』さえ見つかれば、妹の想いに応えられるのに。
そんなある日、慧は、友人の大地に相談を持ち掛けたことを切っ掛けに、夜の店へ連れていかれる。
どうしても会わせたい女の子がいるからと。
気乗りしない慧の前に現れたのは、最愛の妹と見間違えるほど、陽香と瓜二つの顔を持つ少女だった。
少女は『満月』と名乗り、『似た者同士』の二人は○烈に惹かれ合っていく。
『満月』との出会いは、『慧』と『陽香』、兄妹の関係を大きく変えていく……。
<感想>
本作は『初めての彼女』のライターの作品ということで注目した人も少なからずいたと思います。
私は、Waffleの作品は基本的にチェックしているのですが、それに加えて『初めての彼女』のライターの作品ということで、より一層気になった作品でした。
『初めての彼女』ではNTRを題材にしていましたが、今作では近親関係が題材となっています。
近親関係を正面から扱ったストーリー重視作品は、近年では珍しいのでしょう。
そもそも、最近はストーリー重視作品自体が減っていますからね。
そのような状況の中、ストーリー重視作品であるだけでなく、そこに珍しい題材で挑戦してくるわけですから、まずはこのような作品で挑んだことに敬意を表したいです。
というわけで、本作に対するプレイ前の最初のイメージとしては、よくぞ作ったという、とても好意的なものになります。
ただ、実際にプレイし始めて抱いた大雑把な印象としては、実は『初めての彼女』と同じだったりします。
『初めての彼女』の時も私は、ヒロイン視点のテキストが秀逸だったと書いています。
他方、主人公の男視点はいらないから、最初からヒロインを主人公として描いていれば、名作になりえたと思っています。
本作も同じでして。
本作はまず、主人公視点で始まるのですが、正直なところ、これが凄くだるかったです。
主人公視点のあとの妹視点のシナリオは良くなっていっただけに、最初から妹を主人公として構成していれば、もっと面白い作品になりえたでしょうに。
前作の課題がそのまま残ったようで、残念です。
そもそも、『初めての彼女』よりも本作の方がボリュームが多いです。
しかし、ボリュームが増えれば良いというものではありません。
つまり、全体のボリュームをそのまま増やしたことから、読んでて苦痛な男主人公視点のシナリオのボリュームも増えたわけで、前回以上に欠点が浮き彫りになったと思いました。
近親関係の掘り下げにしても、肝心なところが端折られてしまったようで、結論ありきのような内容に、少し疑問を抱いてしまいました。
<評価>
内容だけでいえば、私は凡作相当の作品だと思います。
『初めての彼女』から題材だけかえて、ボリュームだけ増やしたことでバランスを失してしまい、欠点までより強調されてしまった作品という印象です。
期待していただけに、正直残念でした。
ただ、上記のとおり、今時、このような題材で挑戦しようとしたことは嬉しかったですし、こういうのを待ってたという人もいると思うのですよ。
その点を考慮して、総合ではギリギリ佳作とします。
ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2025-02-04 by katan
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