柊坂の旧館

1996

『柊坂の旧館』は1996年にPC98用として、U・Me SOFTから発売されました。

U・Me SOFTの初期の代表作となるでしょうか。
個人的には結構好きな作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

そこは、あまり知られていない隠れた温泉街「湯殿ヶ淵」。
主人公は、しがないフリーライター。
お約束通り、失業中…さらに悪いことに、しつこい喘息持ち…
そんなわけで、病気療養のため、しばらくここ「湯殿ヶ淵」の温泉旅館でやっかいになることになった。
主人公が宿泊している旅館は、ひなびた感じで居心地の良さそうな古い温泉旅館「仙水館」。
この町「湯殿ヶ淵」には、柊坂という遊歩道がある。
柊の木々の間を縫う様に道があることから、そう呼ばれているらしい。
主人公は、この坂道を散歩するのが好きである。
軽い運動にはもってこいだ。
そして、坂を上りきった場所には、古い洋館が建っている。
今は空き家だという。
最初の内は、旅館に訪れるOLや女子学生らと楽しくやっていた。
しかし、ある日柊の並木の中で、変死体が発見される。
「仙水館」の女中「美咲」を助手に色々と調べていく内に、この温泉街に昔から伝わる「妖怪伝説」を知ることに。
主人公は、何かいわくありげな空き家の洋館、そして「妖怪伝説」の調査へ本格的に乗り出すのだが…。

<感想>

面白いですかとか名作ですかと聞かれて、はいと断言はできないし、オススメできるわけでもないのだけれど、自分は好きなんだよなという作品が、誰しもあると思います。
私にとって、U・Me SOFTの作品というのは、まさにそれなんですよね。
特別優れているところがあるわけではないし、標準的な水準の作品ではあるのだけれど、私は楽しめたし何故か妙に好きなのです。
そんなU・Me SOFTの初期の代表作の一つが、本作になります。

上記のとおり、主人公は失業中のフリーライターで、療養のために温泉街を訪れます。
しばらくの間、まったり過ごしていたものの、ある日、変死体が発見され、主人公は女中の美咲と一緒に、事件を調べることになります。
舞台となる場所で事件が発生し、主人公が事件の真相を探るというのは、PC98時代の作品にはよく見かけられた構造でした。
舞台が学校ではなくひなびた温泉街であること、主人公も学生ではなく社会人という辺りが他との違いといえますが、基本的には当時としてはオーソドックスなタイプといえるでしょう。

これが名作クラスの作品となれば、謎解きとかも凝っているのかもですが、当時の平均的な作品の場合、事件を調べているうちに、いろんな女性と会い、時にはHをして、プレイしているうちに謎が勝手に解けていたりしました。
本作も、基本的にはそうした作品になります。
そのため、どうしても名作とかという話にはなりにくいのです。

ただ、この手の作品の多くは古くからあるのですが、古い作品はコマンド選択式が多いです。
本作はノベル系ADVになりますので、コマンド選択の煩わしさがなく、ストレスなく楽しむことができます。
また、目的意識がハッキリしていますし、途中にHシーンも結構入りますので、減点要素もなくすんなりと最後まで楽しむことができるのです。

本作は、グラフィックも少し特殊でして。
具体的には背景の表示方法で、下の画像のような画面になります。


これがアダルトゲームとして最適かと聞かれたら、必ずしもイエスとは言えないのですが、本作の場合は独特の雰囲気を醸し出すのに成功していましたし、本作に限っては成功していたと言えるでしょう。
ちなみに、本作にはリニューアル版があります。
リニューアル版では、キャラが萌え絵になっています。
どっちの方が可愛いかと聞かれたら、それはリニューアル版となるでしょう。
しかし、私は本作の独特の雰囲気が好きなので、個人的にはこのリニューアル版はないなぁ~って感じです。
この作品には、オリジナル版のキャラデザと塗りの方が良いです。

<評価>

当時はあまり意識していなかったけれど、本作は、今風に言うならば、雰囲気ゲーとなるのでしょうか。
作品の内容を客観的に判断しようとかいろいろ考えると、おそらく佳作相当の作品なのだと思います。
しかし、標準的な内容から、いろんなところで少しアレンジが加えられており、そのアレンジした部分が、個人的には好きな変更であること、作品全体の雰囲気も良かったことから、個人的には楽しめた作品でした。
ゲーム内にチャット画面とかが出てくるのですが、それも今となっては懐かしいですしね。
うん、たぶん、そういう誰も評価しそうにないところでも手を抜かず作っているところが、私の気に入った理由でもあるのでしょうね。
そういうこともあり、少し甘いかもしれませんが、個人的にはギリギリ良作としておきます。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-05-13 by katan

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