『イバラード ラピュタの孵る街』は1997年にPS用として、システムサコムから発売されました。
井上直久氏のイバラードの世界をゲーム化した作品になります。
<概要>
画家・イラストレーターである井上直久氏が考えた世界・イバラード。
最初の画集は81年であり、知っている人も結構いるのでしょうか。
もし個人の名前や世界の名前を知らないという場合でも、95年に公開されたジブリの『耳をすませば』の中の挿話、「バロンのくれた物語」の舞台となり、氏が背景を担当したと言えば、多くの人が分かるのではないでしょうか。
2007年にはジブリが『イバラード』を製作していますね。
本作はその世界観をゲームとして表現した作品になります。
<グラフィック>
MYST系ADVとかインタラクティブムービーと方向性が同じであり、基本的に世界観を肌で感じるタイプの作品です。
だからこそグラフィックの出来が重要になってくるのですが、本作は一人称視点でポリゴンで表示されています。
97年の作品なので今見るときつい画質ですが、当時のポリゴンとしては標準的なのでしょう。
とにかく元のイバラードの世界が素晴らしいので、これでも十分に凄いなと思ったものです。
まぁ、ポリゴンで無理に3Dにするよりも、こういう作品は素直にCGで表現した方が、もっと魅力を引き出せたように思うのですけどね。
少し勿体無い気もします。
<ゲームデザイン>
勿体無いとはいいつつも、グラフィック・世界観は十分に長所足りえるでしょう。
問題があるとすれば、それはゲーム部分になるのだと思います。
ジャンルは一応、アクションADVになるのかな。
HPがあって、ダメージをくらうと減っていきます。
一応攻撃手段もあるのですが、あまり戦闘メインではありません。
ゲームの目的が各ステージのゴールを目指すことなので、アクション要素はあくまでもオマケという感覚でいた方が良いでしょう。
他方でADVとしても、謎解きらしい謎解きはないですし、自由度も低い上にボリュームが少ないこともあって、ゲームとしてはかなり物足りなかったです。
<評価>
こういう世界観重視の作品は、あまり人の意見は参考になりません。
最近で言えば『風ノ旅ビト』がありますが、あれもゲーム部分はかなり物足りないです。
しかし無二の世界観に魅力を感じた人が支持をしているのでしょう。
本作もゲーム部分は誰がやっても物足りないと感じると思いますが、世界観は秀逸ですからね。
雰囲気にはまれば、最高の作品にもなりえるでしょう。
己の感性を信じ、楽しめそうだなと思ったら買いだと思います。
それにしても、もう少しボリュームと自由度を増し今の技術でリメイクしたら、凄く化けると思うのですけどね。
或いは、iOS用とかなら、そのままでもいけるか・・・
決して大絶賛とはいかないのですが、このまま埋もれさせるのも惜しい作品ですね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-12-10 by katan