『芙蓉の浄土に安き給う』は2021年にWIN用として、サキュレントから発売されました。
いろいろ気になる点はありましたが、山野詠子さんらしさは感じられる作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・フレキシブルに成長するとある国の都市。
流れ者の女――ミータオは、幼馴染のリョウと共に住処としていた貧民窟を政策で取り壊され、今ではストリップ劇場の踊り子をしながらアパートで二人暮らしをしている。
かつて悪い薬に侵されていたリョウは、ミータオの介護をうけて薬断ちの最中だ。
そんなある日、ステージに一目惚れしたという富豪の男・ウツブシがミータオをつけ回すようになる。
ウツブシは言う。
「君は本当は、こんなところにいるべき者ではないのではないか」
リョウとミータオの関係は少しずつ壊れていく。
概要・・・「芙蓉の浄土に安き給う」は背景、文章、音楽、
音声のみで進行する一本道の18禁サウンドノベルです。
どこか噛み合わないまま日々を過ごしていく男女や、出自からして自分を肯定する力が一切なく生きていることが後ろめたい男や、そんな男を心から愛して支えようと空回りを続ける女や、選択によってはけなげな女が、実にあっさり別の男に奪われてしまう展開が好きな人におすすめです。
つまり今回はマルチエンドです。
選択肢は一度、エンディングは二種類です。
恋仲の男女が引き裂かれて、女が他の男に寝取られる展開を好ましく思わない方へは、あまりおすすめできません。
<感想>
サキュレントというか、ライターの山野詠子さんの作品は、ここ数年、結構注目していました。
それで興味を持った作品ですね。
本作でも山野詠子さんらしさが出ていますし、元々一定のファンのいるライターだと思いますが、ファンであれば、それなりに満足できる内容になっていると思います。
特に音楽と相まって、雰囲気はとても良かったと思います。
女性主人公が他の男に寝取られるという内容になっていますので、そういう作品が好きなら満足できる可能性はさらに高くなるでしょう。
ただ、これは事前情報からも分かることではあるので、分かったうえでのプレイではあるのですが。。。
本作のグラフィックは背景だけであり、立ち絵もイベントCGもありません。
演出が凝っているというような事情もありませんので、グラフィックは全然期待できません。
また、本作はボリュームもかなり少ないです。
まぁ、価格を考慮すれば、決して少なくないのかもしれません。
しかし、絵がない短編作品ということもあり、ゲームをプレイしているというよりは、短編小説を読んだというような印象になるでしょうか。
もう一つ気になるとすれば、上記のとおり本作は、立ち絵もイベントCGもなく、ただテキストを読むだけの作品です。
そうであるならば、昔のサウンドノベルがそうしていたように、テキストは画面全体に表示して良いと思います。
本作のテキストは、普通のADVのようにテキスト欄に表示されます。
そのため、読みにくい小説みたいになっています。
なんでこのようなデザインにしたのか、ちょっと理解できません。
<評価>
ストーリーだけなら佳作相当かなと思いますし、独特の雰囲気があるのも十分分かるのですが、他方で減点材料もいろいろあることから、総合では凡作とします。
私は、どうしてもゲームとして総合的な観点から考えてしまうので、ストーリーだけという作品には厳しくなりがちです。
他方で、ストーリーが面白ければそれで良いと考える人であれば、私が気になった点も気にならないでしょうから、本作を楽しめる可能性は高まるのではないでしょうか。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-06-15 by katan
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