『西村京太郎ミステリー 北斗星の女』は1990年にPCエンジンのCD-ROM2用として、ナグザットから発売されました。
西村京太郎トラベルミステリーをゲーム化した作品の3作目です。
アニメのゲーム化とか誰々監修っていうゲームにはハズレが多いのですが、西村さん関連のゲームにはハズレがないから凄いですね。
<感想>
1990年というのは、基本的にはまだファミコンが主流の年でした。
SFCの本体自体はこの年の後半に発売されましたが、ゲームが本格的に出てくるのは翌年以降の話ですからね。
本作が発売されたのは、そんな時期になります。
本作はPCエンジンのCD-ROM2として発売されたのですが、CD-ROM2用ということで、グラフィックは非常に綺麗でした。
ファミコンの画面とは全然違いましたね。
この頃の家庭用ゲーム機のADVをやるのなら、やっぱりPCエンジンのゲームに限ります。
キャラのモデルは土曜ワイド劇場をベースにしてたみたいでした。
土曜ワイド版が大好きな私は、凄く嬉しかったです。
これだけでも大きくプラスに評価できるでしょう。
しかし、それ以上にインパクトがあったのがサウンドなわけでして。
上記のとおり本作は、媒体にCD-ROMを使用していました。
そのおかげで、音声も導入することができたのです。
声とか効果音とかがね、やっぱり違うんですよ。
ファミコンのピコピコ音もそれはそれで好きなんだけど、こういったADVの類ではやっぱりリアルな方が良いですね。
本作をプレイして、つくづくそう思ったものです。
今なら大したことないかもだけど、あの当時の生音のインパクトは本当に凄かったです。
家庭用ADVの新時代の到来を告げる、本作はまさにそんなゲームだったのではないでしょうか。
ただ、それを踏まえたうえで、あえて贅沢な注文をするならば、1点だけ言いたいことがありまして。
もちろん、これは私の個人的な思い入れでしかないのですけどね。
具体的には、上記のようにグラフィックは土曜ワイドに出てくる俳優陣をモデルにしています。
そのため、土曜ワイド好きとしては、セリフもそんな風に変換されてしまうのです。
ところが、ところがですよ。
このゲームで聞こえてくる音声は別人なんです。
顔は似てるのに音声は別人。。。
私には、どうにも違和感があり、慣れるまでにしばらく時間がかかりました。
そういう意味では、むしろドラマを見ない人の方が、素直に楽しめたかもしれません。
音声があっただけでも凄かった時代なんで仕方ないのかもだけれど、欲を言えばTV版と統一して欲しかったように思いますね。
さて、ゲームシステム的には、これまで同様コマンド選択式のADVになります。
システムの斬新さという点に限ってみれば、据え置き機の西村京太郎全4作品の中でも一番控えめかなって気はします。
それでも時刻表トリックは健在なので、並の推理ゲームよりはずっと楽しめますけどね。
ストーリーも言うまでもなく水準以上です。
<評価>
つまり作品全体としては、グラフィックやサウンド等の演出面で他を圧倒しつつ、その他の部分は水準以上をキープしたって所でしょうか。
ボリュームはかなり少ないですが、この頃のゲームは皆似たり寄ったりなので、欠点とまでは言えないでしょうし。
総じてどこも水準以上の内容を維持しつつも、演出面で他との違いを見せつけたということで、名作とします。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2025-02-03 by katan
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