白衣性恋愛症候群

2011

『白衣性恋愛症候群』は2011年にPSP用として、工画堂スタジオから発売されました。

PSPオリジナルで、久しぶりに話題になったノベルゲーでしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

商品紹介・・・『白衣性恋愛症候群』は、女の子同士の友情を描いたキラ☆ふわガールズラブ看護師アドベンチャーゲームです。
物語の舞台は、都会からし離れた田舎町、神庫市百合ヶ浜。
小さな私立病院に新人看護師として着任してきた主人公“沢井かおり”は、そこで多くの人々と触れあうことになります。
看護学校時代の憧れの先輩、厳しくも優しい看護主任、病院に入院する多くの患者たち。
様々な経験を通じて成長する一人の女の、成長、光と影、彼女をとりまく個性豊かなヒロイン達との友情物語をお楽しみください。

<感想>

まず最初に、本作は、翌年にリニューアル作品である『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy』が発売されています。
今プレイするなら、『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy』の方が良いでしょうね。
まぁ個人的な印象としては、翌年にリニューアル版を出すなよと、その点には激しく不満を抱いてしまいますが。

さて、本作は簡単に言ってしまうならば、看護師である主人公を中心とした成長物語であるとともに、百合ゲーでもあります。

工画堂スタジオは以前にも百合ゲーを作っていますし、最初から注目していた人ってのは、ほとんど百合目当てなのかなと。
もちろん百合ゲーとしても十分に楽しめるものの、今回は看護師としての側面の方が強かったりもします。

本作は百合ゲーなので少し特殊ですが、例えば二次元のノベルゲーの大半は恋愛ゲーであり、様々な舞台の作品が存在します。
ただ、設定を活かした作品ってのは、ほとんどないように思います。
小説家が作品を作る場合、設定に関することを事前に調べるものですが、ノベルゲーのシナリオライターの場合、この下調べが慢性的に不足しているように思うわけでして。
そのため、シナリオライターの脳内だけにある思想が展開されたり、上っ面だけの薄っぺらいノベルゲーが量産されてしまうのでしょう。
特定のライターの信者になる人もいますが、私がノベルゲーのシナリオライターの信者になれないでいるのは、この部分がかなり大きいのです。

その点、本作は、まぁちょっと変則的ではあるんですけどね。
シナリオライターの人たちが現役の看護師だということで、ゲーム用に調べたのとは少し事情は異なるけれど、それでも実体験を基にしているからか、リアリティとか説得力が全然違うので、読んでて楽しいのです。

つまり、他所が看護師の百合ゲーを作るとすると、たぶん百合分が主であり、看護師設定は従的な扱いになるでしょう。
しかも看護師分は取材もされていないから適当で、それっぽい制服を着ているだけの本当にオマケ程度でしかなく、結局他の百合ゲーと大差がなくなってしまうと。
しかし本作は看護師としての物語がまずあり、そこに百合が加わってくるわけですね。
そしてその看護師としての物語の土台部分がしっかりしているから、全体もしっかりとした作品に感じられてくるわけです。

<評価>

パッケージイラストほどにはゲーム画面が良いと思えなかったとか、ストーリーも面白いけれど、もう一押し欲しかったなとか、名作というにはもう一つ何か欲しかったこともあり、総合でも良作としておきます。
極めて主観的な話をするならば、やっぱ携帯機でノベルゲーを読む気になりにくいので、作品に入っていきにくかったというのもありますし。

もっとも、こういう土台のしっかりしたノベルゲーも非常に少ないわけで、本当ならば、こういう作品こそ評価されるべきだと思いますね。

ランク:B-(良作)


白衣性恋愛症候群
白衣性恋愛症候群[限定版]

Last Updated on 2024-12-20 by katan

タイトルとURLをコピーしました