廃村少女[弐] ~陰り誘う秘姫の匣~

2025

『廃村少女[弐] ~陰り誘う秘姫の匣~』は2025年にWIN用として、Escu:deから発売されました。

シリーズ2作目ではありますが、前作とのつながりはないので、本作からのプレイで支障はありません。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
ある夏の夜、海辺の限界集落『心珠町』を直撃した嵐。
災害は土地と住人の心に大きな傷をつけ、やがて町からは人の姿が消えた。
多くの満たされない想いと秘密を置き去りにして……。
それから7年後の夏、大学生の川倉黎一は廃村となった心珠町にひとり足を踏み入れる。
きっかけは亡くなった祖父の遺言。
一時期祖父と暮らしていた家の処遇を決めるための、ちょっとした里帰り。
そして――懐かしい景色と匂いを残しながらどこか別世界のような廃墟の町で、黎一は『シンジュ』と名乗る少女に出会った。
「黎一……貴方には巫女と匣を満たす、贄になってもらうわ」
外界から切り離された心珠町に閉じ込められる、黎一と4人の少女たち。
共に囚われた彼女たちを犯し孕ませろと、シンジュは黎一に求める。
協力し脱出する術を探す黎一たちだが、町を閉ざす淫靡な力が、過去と因縁が、彼らを淫蕩の渦へと誘い、町は嬌声に満ちていく。
鏡合わせの二人の少女。欠けた記憶と、かつて交わした約束。町で祀られる神の正体。
置き去りの廃村に眠る、願いと罪。
隠された真実と対峙し、黎一たちは元の世界に帰る事ができるのか?
秘められし匣に眠るのは、約束の希望か、甘美に堕ちる欲望か――――

<感想>

エスクードの作品は、2000年からプレイし始めていると思うので、それなりに長いですよね。
そして、その中でも、個人的にブランド代表作の1つといえるくらい楽しめたのが、前作の『廃村少女』でした。
そのため、その続編が出るとなると、気になってしまうわけでして。

本作は前作とはつながっていないものの、シリーズとしてのここまでの傾向を挙げるとすれば、クローズドサークルの伝奇ものであり、ストーリーとエロの両立を図っているフルプライスの作品ということでしょうか。
特に長編作品でストーリーとエロが両立されているというのは、これこそエロゲにしかなしえないものといえるでしょう。
エロゲの存在意義が薄まった今日において、エロゲが生き残りを図るためには、このストーリーとエロの両立を求めていくしかないと思うだけに、こういう作品の存在はありがたいものです。

もっとも、上記のような大枠としての傾向はあるものの、本作と前作とは構造がまるで異なる作品だといえるのでしょう。
そこが、本作に対する印象にも直結するように思います。

そもそも前作は、90年代的な作品を現代の技術で再構築したような作品でした。
例えば、ヒロインごとのシナリオというのではなく、核となる主人公の物語があり、ヒロインとのENDはあるにしても、それはあくまで派生でしかなく、ストーリーの中心はあくまでも主人公というものですね。
ゲーム構造としても、あくまでも主人公の行動・選択でストーリーが決まっていくわけですから、シナリオロックとかもなく、最初からグランドエンドのようなものに行くことも可能でした。
また、ゲーム構造と直結する話でもないのですが、クローズドサークル、すなわち閉鎖空間から脱出するサスペンス的な作品というのは、90年代中盤のPC98時代後半頃に流行っていたものの、その後、次第に廃れていったジャンルでもあります。
前作のストーリージャンルやゲーム構造というのは、90年代中盤には流行っていたものの、その後に急激に見かけなくなったことから、前作をプレイしていると懐かしさを感じたわけですね。

さて、何かしらの特徴を有するということは、それ以外の部分は薄くなるということでもありまして。
前作の場合、主人公中心のストーリー構造であったことから、ヒロインは従的な立場でした。
この場合、当然ですが、ヒロインは中心ではありません。
90年代後半からの恋愛ゲーブーム以降、ヒロインルートの充実が図られていきました。
これだけ聞けば良いことのように思いますが、結局のところ、主人公の物語ではなく、ヒロインの物語が数本用意されるという構造にかわったわけであり、単にオムニバスの派生版へと構造が変化したにすぎません。
この構造が、今のキャラゲーとなるわけです。

本作は、前作よりもヒロインルートを充実させてきました。
他方で、前作と異なりシナリオロックもあります。
この構造は、恋愛シナリオゲー全盛時代に増えた構造であり、今でもごく普通な構造です。
勘違いしないでほしいのですが、この構造だから良いとか、この構造だから悪いという話ではありません。
ただ、前作の場合、90年代的な構造の作品は少なくなっていたことから、それを現代的に再構築した作品は珍しく、そこに希少性にも似た存在価値を見出すことができました。
しかし、本作では、今風への構造へと変化し、90年代的な構造がなくなったことから、その方向性での価値が見いだせなくなったということなのです。

ストーリーについても、前作はクローズドサークルのサスペンスものとしての色合いが強かったのですが、本作では伝奇としての色合いの方がかなり強くなっています。
これも、良い悪いの問題ではなく、方向性の違いでしかないのですが、クローズドサークルのサスペンスものというジャンル自体、今のノベルゲーでは少なくなっているので、私はそれで楽しめたという側面はあるのでしょう。

すなわち、本作の場合、今風のノベルゲーであり、ヒロインルートを強調し、伝奇ものとしての側面を強調してきたわけで、簡単にいうと、今のユーザーに好まれそうな路線に変更してきたのです。
今のユーザーに好まれそうな路線にかえてきたわけですから、まぁ一般的には好まれるのだろうなとは思いますし、前作の方向性が本質的に合わない人とかには、前作よりも本作の方が楽しめるのでしょう。
実際、この可愛いキャラでエロ多めで、伝奇ものとしてストーリーもそれなりに楽しめる仕上がりになっているわけですから、幅広い層が楽しめる内容に仕上がっていると思います。

しかし、人気路線で勝負をするということは、当然ながら競合作品や競合要素がいくつもあるということになります。
キャラゲー全盛の時代において、本作が他所の作品よりも優れたキャラを用意できたかとなると、キャラゲー特化で人気のブランドの作品ほどではないように思います。
また、伝奇ものにしても、前年の2024年は、様々な切り口からアプローチされた伝奇の良作佳作が多かった年でもあり、その後の本作となると、前年の伝奇作品らと比べると特徴に乏しいと言わざるをえません。

<評価>

前作と方向性をかえること自体は構いませんが、そうなると前作の特徴を捨てることになります。
他方で、新しい方向性で特徴を示せれば問題はないわけですが、そこで他所の作品に及ばないとなると、どうしても印象が薄くなってしまいます。
本作も普通に楽しめる作品ではあるのですが、如何せん、これという特徴に乏しい作品になってしまった感が否めないことから、総合でも佳作といったところでしょうか。

本作のようなストーリーとエロの両立を図る作品は、個人的には応援したいところでもありますので、あとちょっと何か他との差別化を意識していただければなと思いますね。

ランク:C-(佳作)

DL版

Last Updated on 2025-11-09 by katan

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