『グレイストンサーガ外伝 動乱の魔都』は1995年にPC98用として、ペガサスジャパンから発売されました。
出来が良いのに時期的な面でマイナーに終わってしまった、グレイストンサーガシリーズの2作目となった作品でしたね。
<はじめに>
PC-98末期の一般PCゲーってのは、大手(ファルコムとか光栄とか)以外の場合は、どれだけ中身が良くてもマイナーだったりするわけで、そういう意味では非常に不遇な存在でもありました。
特に95年前後はPC98末期でPC98ゲーとして円熟していただけでなく、SRPGの良作が結構あったように思うわけで、それらが軒並み埋もれてしまったのは残念なように思います。
そして本作もまた、そんな中の一本だったのです。
<感想>
本作のゲームジャンルはSRPGになります。
特徴としては、魔法を生成していくことや、魔物を仲間にしたり売りさばいたりできることが挙げられます。
他にもHPの他に行動力があったり、一つ一つは単独で画期的と呼べるほどではないにしても、システム的には結構凝っていたのではないでしょうか。
うかつに進めばあっという間に瞬殺されてしまう一方で、上手くやればすんなり進んだりもするわけで、プレイヤーに考えさせる点でバランス的にも良かったように思います。
システム面自体は前作と大きくは異ならないのですが、前作はいろいろ大味、というか制限が多かったので、バランスを改良したりプレイヤーの選択の幅を増やしたという感じですね。
マイナーチェンジ故のインパクトの低下は否めませんが、まるっきり同じようなゲームもありませんし、完成度も高まったということで、非常に良質な作りだったと思います。
SRPGって、どれも何だかんだで欠点があるわけですが、本作は比較的欠点の少ないタイプのSRPGだったと思いますね。
そういう観点からは、95年でも随一だったかもしれません。
例によって私はインパクト重視なので、こういう形式のゲームはあまり高く評価しないのですが、完成度重視の人であればより一層楽しめたのではないでしょうか。
ストーリーもダーク系でしたが、これまた前作より大幅に強化されてきましたし、普通のファンタジー作品よりははるかに面白いものでした。
ただ、凄く地味でしたね。
8頭身で動くキャラも書き込まれていましたし、グラフィックも良質ではあるのです。
でも、オッサン率が高い上に女性も地味だし、それに加えてシリアスな暗めのストーリーですから、とにかく地味な印象を受けてしまうのです。
まぁ、翌年に『サクラ大戦』なんかがヒットすることを考えれば、如何に世間の需要とかけ離れていたかが分かるってものですし、これじゃあどうしても埋もれやすいよなとは思うわけですが、地味なだけであって良質ではあるわけですから、地に足のついた本格派としてむしろプラスポイントなのでしょう。
<評価>
そういうわけで、あらゆる面で水準を越えたSRPGでした。
完成度を重視する人であれば、おそらくかなりの高評価になるでしょう。
ただ、いつものことではありますが、私はこの作品にはこういう特徴があるから評価するってタイプですので、この手のゲームは点が伸びにくいんですね。
これで普通のボリュームだったら良作にしていたかもしれないのですが、本作にはボリュームという武器があったわけでして。
本編だけでも普通のSRPGより多いのですが、キャラごとのエピソードを扱ったサブシナリオも多く、全体のストーリー部分だけでも他のSRPG数本分あったのです。
平凡な内容でボリュームが増えても嬉しくありませんが、高品質な内容でこれだけのボリュームがあれば圧倒されてしまいます。
その点を評価して、総合でも名作と言って文句ないでしょうね。
萌えキャラが欲しいという人は別なのですが、それ以外の人にはオススメできる良くできた作品だったと思います。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-10-24 by katan
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