亜紀子プレミアムバージョン

1993

『亜紀子プレミアムバージョン』は1993年にPC98用として、レッドゾーンから発売されました。

レッドゾーンのデビュー作であり、名前シリーズ最初の作品になります。

<概要>

レッドゾーンはフェアリーテールのサブレーベルで、実用性を重視しつつも、リアルなアダルト路線を目指したブランドでした。

この辺は、知らない人からすると、状況がややこしいかもしれませんね。
80年代の有名ブランドにジャストがありますが、そこから独立したのがキララでした。
そのキララは、90年代に入った頃に、アイデスという社名に変更します。
そしてWINゲーの時代に入った頃に、F&Cと更に社名を変更します。
期間的なもので言えばF&Cになってからが一番長いのでしょうが、多くの名作を輩出し一番輝いていたのはアイデス時代なので、個人的にはアイデスという名称に愛着がありますね。

そして、更にややこしいことに、社名と作品を発売するブランド名は異なっていたのです。
アイデスの有する代表的なブランドとしては、フェアリーテールやカクテルソフトがありました。
だから当時としてはアイデスという会社で、フェアリーテール名義で作品を出していたところ、そのフェアリーテールの更にサブレーベルとして、レッドゾーン名義で本作が発売されたということになります。

ブランド名やレーベル名を変えたのは、ブランドごとにコンセプトが異なるからで、このレッドゾーンは、より大人なゲームということからか、発売される作品のグラフィックも劇画調になっています。

本作は、そのレッドゾーンのデビュー作になります。
また、以後ブランド代表作として続く、「名前シリーズ」の最初の作品になります。

ゲームとしては、ジャンルはコマンド選択式ADVになります。

内容としては、女子高に赴任した女教師が次々に襲われるというもので、美少女ゲームというより、本当にアダルトゲームって響きの似合う作品でしたね。

<感想>

あぁ、そう言えば、確かこれだったかな。
本当は月間で売上1位だったのだけど、抜きゲーが1位じゃ見栄えが悪いってことで、雑誌編集者が雑誌の売上ランキングで、故意に2位に下げたとかって話がありました。

今でも雑誌の売上ランキングは実情にあってないという話がありますが、こういう話を聞いてしまうと信じられなくなってしまいますよね。
いつの時代も抜きゲーの扱いは不当に軽いのです。
好きなゲームの売上順位が気になるという人もいるでしょうから、正しくやってもらいたいものです。

それに加えて、今でも小売店の店員の話なんかみてみると、月間売上1位の萌えゲーの売上数を、ランク外の抜きゲーが年間のトータルでは上回ったって話もあります。
圏外の数値の集積は雑誌のポイントでは反映されにくいので、このような実態は雑誌ランキングでは把握できないのでしょう。
初動が命の萌えゲーと異なり、抜きゲーは最初の爆発力が低くても持続力がありますからね。
雑誌のランキングだけを見て、抜きゲーは売れないと結論付けるのは誤りなのでしょう。

本作に関しては、月間でも最も売れていますし、エロエロな過激路線の作品ですからね。
年間を通して考えるならば、かなり売れたのではないでしょうか。
抜きゲーは数年後にまで語られることは少ないので、今は知名度も落ちているでしょうが、昔は名前シリーズは凄く有名でしたからね。

91年の沙織事件を受けて92年にソフ倫が発足し、92年はエロ薄ゲーが増えました。
その反動のように登場した本作は、待望の過激路線でもあったでしょう。
今見ると単なる抜きゲーの1つにしか思えない人もいるかもしれません。
しかし、92年路線が続けば、エロゲはずっとエロ薄作品になってしまいます。
93年になり、前年のエロ薄路線に反発するかのように過激なエロ作品が増えていきます。
本作は、その先駆けとなった作品でもあり、その存在意義は非常に大きかったと思います。

本題に戻りまして、システムはコマンド選択式のADVで、ここはいたって普通ですね。
内容はひたすらHばっかりであり、この主人公は何でこんなに懲りずに、あちこちで犯られるんだろとも思いますが、オカズゲーと考えればこんなものでしょうか。
最近のアダルトゲームはラノベに近いと言われますが、本作はノリ的にはアダルトビデオみたいな感じでしょうね。

完成度やシナリオという観点からは決して褒めたものではないですが、アダルトビデオみたいな雰囲気に劇画調のグラフィックは、近年のゲームにはなかなか見られない傾向です。
当時は劇画調がそもそも好きではなかったのですが、人はなければないで、ねだりたくなるってものですからね。
たまには可愛い路線の作品ではなく、こういうのもプレイしたくなるんですよね。

<評価>

まぁ、エロだけを極めようとした作品なので、そこをどう評価するかで印象は変わってくるのでしょう。

ストーリーやゲーム部分が平凡であることから、過激なエロで実用性が高かったことを加味しても、単純に内容だけで判断するならば佳作程度なのかなと思います。
しかし、上述のとおり、本作の発売された時代背景も考慮するならば、よくぞ出したとなるわけですし、その存在意義を考慮して、総合でも良作扱いで構わないのかなと思います。
本作とかが出て来なければ、その後の淫靡なアダルトゲーム路線なんてのも、ありえなかったかもしれませんからね。

個人的には、昔よりも今の方が劇画調の作品は好みになっており、今では単純に懐かしく思ったりもするわけでして。
私と同じような好み、特に劇画調のリアルなキャラが好みな人ならば、おそらく楽しめるのではないでしょうか。

内容はともかくとして、エロ薄だった92年に反発するかのようにして生まれたゲームですし、92年から93年への変化と時代を象徴するという意味では、絶対に外せない1本だったように思いますね。

ランク:B-(良作)


亜紀子プレミアムバージョン

Last Updated on 2024-09-15 by katan

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