『グノーシア』は2019年にPS Vita用として、プチデポットから発売されました。
2019年の話題作となった本作。
私にとっては、とある理由から敬遠し、とある理由から興味を持った作品でもありました。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
厳密には、ノベルゲームに人狼ゲームがついた形になります。
そのため、ADV+TBLと解釈しても良いかもしれません。
あらすじ・・・
グノーシアは嘘をつく。
人間のふりをして近づき、だまし、そして身近な人間を一人ずつ、この宇宙から葬り去る――。
漂流する宇宙船内にて、人間を襲う未知の敵「グノーシア」に直面した乗員達は、誰が敵なのか分からない状況でこの危機を収束させるために、一つの解決策を試みる。
最も疑わしい人物から一人ずつコールドスリープさせ、船内に紛れ込んだ全てのグノーシアを活動停止させるのだ。
しかし、その人物が本当にグノーシアだったのか、あるいはスケープゴートにされた哀れな人間だったのか、知ることは難しい。最後に笑うのは人間なのか、それとも――?
商品説明・・・
『グノーシア』はSF世界を舞台にした人狼ゲームです。
1プレイは15分程度で、周回するたびに、主人公及び各キャラクターの配役や展開が変化します。
誰がグノーシアなのかを話し合う会議パートでは、主人公を含めた各キャラクターがそれぞれ名指しで疑いをぶつけたり、かばって疑いを晴らしたりした後、それぞれの判断で最も疑わしい人物に投票します。
そして最も得票数の高い人物がコールドスリープされることになります。
その後の移動パートでは、船内を移動し、各キャラクターと会話をすることができます。
相手の好感度を上げて自分を信用してもらうも良し、怪しい相手に出向いて探りを入れるも良し、ゲームを有利に進めるために活用してください。
<感想>
一言で本作を説明するならば、SF人狼ゲームとなるのでしょう。
ベースとなるのはSF系のノベルゲームであり、そこに人狼ゲームが加わった作品となります。
本作は繰り返しプレイを前提としており、ADV内のジャンルとしては、ループものと呼ばれる作品になります。
このループ系作品、ノベルゲームにおいては、一時期かなり人気のジャンルでもありました。
私も最初は好きだったし、中には本当に凄い作品もあります。
しかし、ジャンルとしては、次第に好きではなくなっていきました。
その最たる理由は、同じ場面を何度も強制的に見させられ、繰り返しプレイがだるく、途中がつまらない作品が多いことにあります。
ループ系作品の場合、ここをいかに解決するかが大事であり、評価にも直結しうるところなのでしょう。
おそらくループ系作品を多くプレイしている目の肥えた人ほど、この問題点は気になるのではないでしょうか。
そして本作の場合、人狼ゲームを混ぜることにより展開に変化を加え、この問題を解決してきました。
すなわち、ループ系作品に内在する問題点を解決してきた点が、本作の一番の魅力と言えるでしょう。
ループ系に内在する問題に注目する人向けという意味では、本作は玄人向けといえるのかもしれません。
さて、問題なのはここからでして。
冒頭で私は、本作を敬遠していたと書きました。
その理由は単純で、人狼ゲームが好きではないのです。
たまたまリアルで初めてやった時、その時の中心人物が意地悪な行動ばかりをしていて、人狼ゲームの嫌な部分ばかり見てしまい、それで人狼ゲームに苦手意識を持っていたのです。
だから本作を最初は敬遠していたのですが、その私の苦手意識を本作が払拭してくれれば、逆に本作を絶賛していたでしょう。
上記のとおり、私は人狼ゲームに苦手意識はありますが、他方で大人数でプレイする人狼ゲームの奥深さは、十分に理解しているつもりです。
そして残念なことに、本作をプレイしていて、リアルで人狼ゲームをしたときの深みを、全然感じることができませんでした。
リアルで人狼ゲームを楽しんだ人ほど、本作の出来では満足できないのではないでしょうか。
人狼を楽しみたいなら本作をやるよりリアルの方が良い、そう感じてしまった以上、本作を絶賛することはできません。
ハッキリ言って人狼ゲームとしての出来はそれほど高くはなく、リアルでやっている人には物足りなく感じ、苦手意識を持っている人に楽しさに気付いてもらうほどの魅力もなく、どうしても中途半端さを感じてしまいました。
なお、仮にシステム自体は及第点だったとしても、もう少し必要な周回数を減らすようにした方が良かったと思います。
あまり出来の良くない人狼を何度も何度もプレイする必要があり、もう少しバランスを調整すべきだったのかなと。
RPGでいうならば、戦闘システムとかは良いのに、エンカウント率が異常で楽しめないみたいな、そんな感じです。
ADVではあまり使われない言葉ではありますが、簡単に言えば、ゲームバランスが悪いのだと思います。
その他、キャラは魅力的で良かったと思いますが、ストーリーやグラフィック等は良くも悪くも普通という印象でした。
<評価>
気になった点はありますが、キャラは良かったですし、ループゲーの問題点を克服した点等を考慮すると、総合では良作と言えるでしょう。
本作の内容とは直接関係ないのですが、最後に、私が本作に興味を持った理由は、本作を開発したのが、同人ブランドのグロビュールのメンバーとほとんど同じだからです。
2004年と2006年に発売された「百色眼鏡」シリーズは、当時最も完結を期待していた同人ゲーであり、
未完であっても素晴らしさが伝わってくる作品でした。
私の記事を読んでいる方であれば、「百色眼鏡」シリーズを知っているとは思いますが、一般的には必ずしも知名度は高くないでしょう。
でも、私みたいにシリーズの続編を今でも待っている人は、きっといると思います。
本作に出会えたことで、まだ続編の出る可能性があると思えたことが、個人的には何より嬉しかったです。
ランク:B-(良作)


Last Updated on 2024-08-09 by katan
コメント
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katanさんの感想を読んでなるほどって感じですね。
リアルの人狼ゲームは動画を少し見たくらいで、実際にやった経験は無いので、ある意味知らない自分にとっては楽しめたのでラッキーだったかなと。
個人的にはリアルの人狼ゲームはやりたいと思わないけれど、本作に関しては、最初は理不尽に殺されながら徐々にレベルアップで勝てるようになるのは気持ち良かったです。
長い周回も楽しめましたが、確かにダレる人もいそうだなと。
ちょうどプレイした時期の調子が良かったから?かも知れません。
以上、最近ゲームをやってない門外漢の戯言でした。
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RPGとかだと、ストーリー重視であるなら、戦闘自体はアッサリで構わないと述べていますが、本作もストーリー重視なのだから、人狼部分を凝っている必要はなくて、むしろもう少しアッサリで良かったのかなと思いますね。 時間を費やすわりには単調ということなので、ゲームバランスを少しかえれば、また違った印象になっていたように思います。
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本編内にミニゲームのある『リトルバスターズ!』なんかは読む時間の方が圧倒的に長いので、ノベル系ADVにミニゲームが付いているという感覚でしたが、
『グノーシア』は体感で人狼パートとノベルパートが半々くらいだったので、複合ジャンルの「成長要素ありのテーブルゲーム+ノベル」と捉えていました。
このページで「ノベル系ADV」となっているのは、ノベルに人狼ミニゲームが付いているという感覚からですかね?
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>通りすがりさん
NVL+TBLという形で記載しても良かったでしょうし、その辺は少し悩みました。
実際、特にこだわりはないですし、どちらでも良いと思います。
ただ、結局ノベルADVとしたのは、本作を評価する人がいるとしたらどういう人かというと、ストーリー目当てでストーリーを楽しんだ人だと思います。
人狼パートについては、人狼未経験の人なら楽しめるでしょうが、実際に遊んでいる人にお勧めできるほどの完成度があると、個人的には微妙に思います。ゲーム部分目当てで購入するものでもないかなということで、ノベルという部分を強調した感じですかね。